カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

実は終わっています
ヴィンテージのメガネ

19.09.11

月曜日お渡しの分は、今日で加工が終わっております。ということで今週の金曜日にお渡し可能なんですけど、金曜日は出張の準備もあって全員お越しになるとややパニックですから、ここでこっそりアナウンスしておきます。早めにお渡し可能です。

これが難敵でした。Sol-Amorです。完全に「勝手にしやがれ」の世界観です。フォレストの50〜75%くらいのレンズを入れても良さそうですが、今回はクリアにて承りました。

ブリッジに刻印

フレームの傾斜が凄いです。25度くらいあるのかもしれません。頬に突き刺さります。頑張って10度〜15度くらいまで起こしました。

鼻パッドの角度も変えないといけません。高さを一杯一杯まで出した上で、鉛直方向にパッド先を向けたいところですが、そこまで先を下げると、正面から見たときにリムを超えるので、やや甘い設定です。

比較すると歴然

先セルは交換です。まだ使えなくは無い状態ですけど、やや黄色く劣化していること、摩擦が一切生じない構造でフィッティングに難があることから、交換です。

初期装備

枠入れが冷や冷やです。プチっと切れそうなくらい細いので。

リムが歪んでいるので、さっと温める程度で熱を入れます。フレームカーブとレンズカーブを合わせて、なんならチルトをかけて差を1カーブ以内にしております。これくらい気にかけておけば、はち切れ無いはずです。

細さが肝ですね。このデザインで、まだ上品が勝っています。現行のは、耐久性や加工のしやすさから、リムもフレームも全部が一回り太いですからね。

穴明け
ヴィンテージのメガネ

19.09.05

持ち込み。フルビューのニューモントタイプですね。

穴あけるだけなんで、加工自体は普通のメガネと変わりません。ただ、当時の精度というものを把握しておく必要があると思います。ヴィンテージ=失われしクラフトマンシップの塊=至高みたいな感覚ですと、痛い思いします。

穴の高さが左右で違います。あと、今回の持ち込みは中古でしたが、ブリッジも傾いておりました。というよりも、全体を操作することで上手く均衡を得ようと試みた形跡があります。当時は加工機も無いですし、レンズがぴっちり0.1ミリ単位で同じということも無いでしょうし、全てがほどほどで良かったんだと思います。現在はダメですね。レンズが綺麗過ぎて、左右の対称性の崩れが目立っちゃいます。

ということで、ネジの位置は諦めてブリッジを水平に戻しております。これが一番分かりやすいズレなので。もちろん、そのネジ位置に置いて、光学中心がそれぞれ狙った位置にくるように、ほじほじと穴をあけています。

どうしても巻きつるの部分はダメになっちゃいますから、今回はシリコンチューブを巻きつけて目隠し且つ掛け心地の改善をしております。

下拵え
ヴィンテージのメガネ

19.08.27

ガラスのレンズを入れる前に、プラを入れてます。ガラスは待ち状態。お持ち込みです。

というのも、フロントがカーブ0なので。真っ平ら。ではフラットレンズ入れるべきか?と言われれば多分そうじゃなくて、ただカーブが初期で付いていないだけだと思います。ヨーロッパでその年代であれば、まず近視ではなく遠視で使われるでしょうし、であれば凸レンズです。収差の問題でカーブはおそらく深いはずです。

値段がアレらしいんで、いつもはしない下拵えです。プラのレンズを入れて、フレームにカーブをつけます。念のため。外付けの蝶番、熱入ると直ぐにガタつきますしね。

修正後。レンズが40ミリちょっとなので、カーブが浅いように見えますが実際は5カーブ。これつけておくだけでも、枠入れが違います。そりゃスコンと入ります。

クレイジーパターン?触ってて気づきました。ブルックスのシャツみたいですね。

スペイン製
ヴィンテージのメガネ

19.08.20

イレギュラーで少量、日本から仕入れています。上はレイバンのラージメタル風で、下はAOの何とか(忘れました)風です。傾斜は抑えめ、鎧智なので70年代のそのままっぽく、色無しのメガネで掛けるとフニャッとした雰囲気が出てカッコ良さそうです。

ちなみにスペイン製です。久々にお目にかかれましたスペイン製。ドイツやフランスから輸入することが多かったはずですが、当時の日本はスペインからも輸入していたようです。村井が入れていたと聞いていますが、カタログ等で裏取って無いので未だなんとも。

ツーブリッジ、やっぱり流行らなかったですね。ボストン型にトップバーが付いたタイプはそこそこ見かけましたが、ツーブリッジガチ勢は、ブルバキ周辺だけかも。そこが良いですよね。掛けたらすぐに、まあまあの異端になれるんで。

タクシードライバー
ヴィンテージのメガネ

19.07.24

デニーロの映画の方です。あのサングラスについて。特に形状について実験してみます。

イージーライダーとタクシードライバーは、今もサングラスの問い合わせが多いので、さすがに見とかないとそれはヴィンテージ眼鏡屋としていかんなぁという動機で見ました。ともに面白いです。あとは、タクシードライバーでいえば、M-65の着方とかアルミジップって良いよね的な方面も面白かったりします。

それで、冒頭のアレになるわけです。普段は積極的に扱っていないアメリカンヴィンテージの、ランドルフのフレームです。ちなみに積極性が無いのは、他がやっているのと、店頭に出した時の価格のバランスと、あとはこれが一番だと思うんですけど、これまでのカッコいいの蓄積がありすぎて新規参入のブルバキがいまさら言わなくても…というところです。ブルバキで付け足せるカッコいいの余地が無かったです。

とか言いつつですね、訳あって手元にランドルフがあります。ちなみに、デニーロはランドルフなのかAOなのか論争等々あると思うんですけど、そこには触れません。今回考察したいのは、形状です。

ランドルフだろうが、AOだろうが、レイバンだろうが、ジェネラルだろうが、比べてみてもさほど変わらず、上のようなツーブリッジです。注目したいのは、レンズとブリッジの関係で、レンズは耳側に釣り上がり、上段ブリッジは水平かやや反り上がっています。

検索で「タクシードライバー サングラス」とか「タクシードライバー デニーロ」で調べると、モヒカンにしてサングラスを掛けたデニーロが画像で出てきます。それを詳しく見ますと、レンズ耳側が水平もしくは垂れ気味で、上段ブリッジはやや膨れ上がってアーチを描いているように見えます。角度によってそれぞれの具合が変わってきますが、やはり全体の雰囲気はティアドロップのような、程よく垂れ目のように見えます。

さらにその周辺を調べますと、曲げてフレームにオリジナリティの味付けをした説が出てきます。たしかに、私より上の世代になりますと、フレームをわざと怒らせたり(ツリ目にさせる)泣かせたり(ティアドロップぽく垂れ目に)して、改造する方もいらっしゃいます。セルフレームは基本、全部怒らせちゃうみたいな。デニーロがそうしたかどうかは不明ですが、真正面を捉えた写真を見ますと、下段ブリッジが斜めにひしゃげており、味付けというよりキャっ!と尻で軽く踏んだ的な、ハズキなら防げたであろう単なる歪みというだけの話かもしれません。

そんな話をしていましたら、おそらく80年代のランドルフが貰えました。レンズサイズが57ミリだからだと思います。ブルバキに期待されていることはただ一つ、眼鏡屋として綺麗に、下段のブリッジを歪めず垂れ目の味付けが出来るかどうかです。改造しろと、誰も居ないのに聞こえるわけです。デニーロに近づくには、おそらく味付けが不可欠です。

(味付け後)
(味付け前。トップ画像と同じ)

結果を先に貼っておきます。出来ました。コツとしては、レンズを掴んでそのまま曲げるとロー離れ、または下段ブリッジの型崩れを起こしますから、レンズを外して行うことです。

変更の順番としては、①下段ブリッジの横の開きを2度ずつくらい閉じる②上段ブリッジを真ん中で摘んで引っ張り、アーチを整える③リムの形が①と②の影響で崩れている為、ある程度整える、です。③に関しては、そもそもアメリカのフレームは左右非対称なことが多いので、神経質になる必要も無いです。大体で良いでしょう。ちょっと気合い入れ過ぎて、垂れ目にし過ぎました。

ただ、それによる代償もありまして、レンズがリムに沿わなくなります。周径が一緒なので嵌らなくなることはありませんが、微妙にフカフカ浮きます。面取りとコバ磨きをしっかりして、欠けが生じないような配慮は欠かせません。

外れることはなさそうなので、レンズはとりあえずそのまま。グレーが入っているので、G15のガラスに替える際にキッチリしたレンズにし直せば良いでしょう。

雰囲気は、中々近いのでは無いでしょうか。腕組んでニヤニヤしたい感じのサングラスになりました。

願望込み
ヴィンテージのメガネ

19.07.23

フォックスフレームまでいくと、マリリンモンロー的なセクシーさが付加しすぎるのでNGというのであれば、これくらいの程よい小悪魔さ、可愛らしさのフレームならいいかもしれません。

男性もいけるのかも。ダブルのスーツとかに良さそう。あまりにもサーモントフレームの紹介が続いたので載せます。

例題
ヴィンテージのメガネ

19.07.22

トップの画像のフレーム、めちゃくちゃカワイイんです。小ぶりで色も形も良いです。なんかエロい表現になりました。小説を読みすぎたのかもしれません。珍しいオーバルのサーモントです。FPD66です。レンズ50ミリとなると、ブリッジが狭いので、おそらく女性用です。

かわいらしいし、雰囲気も良くて披露したいのは山々でしたが、一切の情報が無く、半年ほど値付け出来ずキープしていました。金の光沢とフレームのくすみ具合から、おそらく金張だと推測はしていました。ただ、もしメッキだったときに、値段を多く取りすぎてしまうケースが生じてしまい、それはイカンなという考えがありましたので、引っ込めていました。明朗会計のブルバキです。

(左右テンプルに刻印なし。先セルに50のみ)

情報が一切無いと書きましたが、実際はブリッジに刻印があります。

(大きく載せておきました。丸に文の刻印があります。)

写真だと分かりにくいですが、実物は深く綺麗に、丸に文のマークが刻印されています。先ほどの一覧、上から二つ目に「石福金属興業株式会社」の金張商標と記載があります。そうなんです、これが鍵だったんです。古のフレームメーカーかと勘違いしていました。

(再掲)

さすがに、これには日本の美学が詰め込まれすぎて驚きました。わびさび過ぎます。刻印の意味を知らない場合、フレームを見ただけでは、金張かどうか確信持てませんね。美学と陶酔することも無く、さすがに金張としっかり書こうよ!と、突っ込みたくなりました。それに所有欲もね、物に金張と書いてあると無いとでは違いますから、書いて欲しいですよね。

ちなみに、以下は推測です。当時、フレームは吊り下げの飾りが付けられて、店頭に並んでいることが多いです。

コレはSPMのアピール用で、こういうプラスチックの飾りがフレームに添えられています。なぜか手元に無くて残念なんですけど、一度、田中貴金属の金張と書かれた札は手にしたことがあります。記憶ではその札に、カラットと厚みが記載してあったと思います。試着の時に邪魔なので、納品時に添えられていても値札をつけるときに取っちゃうお店も多かったのだと思います。

サーモント2
ヴィンテージのメガネ

19.07.21

引き続き。昨日、謎のサーバーのアレコレでアップ出来なかったので、時間の許す限り載せます。

フランスのサーモントです。フランスのサーモントは、実に良いですよ。何だかんだでエレガントなんです。眉毛フレームなんですけど、野暮ったさや粗野な感じが控え目なんです。サーモントといえば、やはりドイツフレームの方が今も人気でしょう。眉毛フレームがそもそも孕む厳ついデザインに対して、ドイツらしい堅牢な作りから醸し出される何かしらがマッチして、当時も売れたんだと思います。フランスのサーモントは出てくる数も少ない気がしています。要は、中途半端だったんでしょうね。ここが大事で、謂わば中途半端を愛せるかどうか、全てに共通する肝です。

これの見所も多いんですけど、一番は眉パーツを止める構造でしょうか。

画像奥、眉パーツを上から抑える謎の金属パーツがあります。構造的な利点は、分解清掃な際に分かりませんでした。上から見て綺麗というアクセントの為だけなのかどうなのか。でも、とりあえずカッコいいので良しです。

(眉を外すと、パーツの特徴が分かりやすいです。)

金張の表記はフランス式です。各所で勘違いされていることですが、この表記の場合は、欧米の(1/20 12KGF)の分数と異なります。この表記は張られている金の厚みを直接示しており、20/1000ミリの厚みの金を張っているということです。つまり20ミクロンの金の厚さが台金に乗っかっています。その辺もポイント高いです。

テンプルは真ん中を膨らませて紡錘形にしています。だからなんだって言われると困るんですけど、デザインに関して全部に目が行き届いてますよというエスプリが、少なくとも伝わります。

サーモント1
ヴィンテージのメガネ

19.07.21

イレギュラーで、日本の入荷です。主にサーモントなんですけど、すべて日本製のサーモントでは無いところが乙なんで紹介していきます。舶来物と呼んでた頃のフレームたちです。

その1、ボシュロムのサーモントです。金張り(12K 1/20)ということから、70年代中頃かなと推測が出来ます。これで3度目なんですけど、日本の在庫から、似たようにボシュロムのサーモントが出てきています。しかも、3回とも「W.GERMANY」刻印でして、70年代ごろからボシュロムがフレームの製造から手を引き始めていることが伺えます。

(MADE IN W.GERMANY)

これの見所は、さらにあります。これは初なんですけど、おそらく、元々はレイバンのオリンピアン的な、カールトンタイプのフレームとして販売していた物を改造して、サーモントにしていることです。

眉パーツを外してみてビックリでした。みごとに普通のフレームが現れました。トップバーにプレスが入っていますし、おそらくこのまま販売していた物を、売れ行きが鈍って在庫がダブついてきたタイミングで、販売促進の為に改造したのでしょう。

裏からみると、サーモントでは珍しく、パーツがネジ一点で止めるタイプです。それでガタつくことも無いですし、ネジ二点で止めるタイプにありがちな、ネジで生地が引っ張られ、経年変化で眉パーツが割れることも無いので、むしろ優れた機構かもしれません。

トップバーの裏に、ネジ穴をロー付けしています。はみ出さないように気を利かせてありますから、眉がなくなったとしても表からは見えずに、オリンピアンとして使える訳です。

その辺の構造の面白さ、垣間見える合理性も良いですけど、物としても、デザインが良く素敵です。サーモントの要となる眉部分は、リムとトップバーを挟み込まないといけない為、厚みが出てしまいます。それに対して、眉の色を濃いクリアレッドにすることで、軽やかさと上品な感じを付加しようと試みています。それもいい感じです。

スペースエイジ
ヴィンテージのメガネ

19.07.16

雑誌の昭和40年男だと、パストフューチャーと呼ばれていました。個人的には60年代ごろの、宇宙船っぽいデザインがたまらなく好きでして、店もちょいちょいそんな感じの物を、棚やらペンダントライトに用いています。

それで、メガネとなるとどうかと言えば、やっぱりメガネもその辺りが好きです。ひょっとすると一番。ゾーンとしては60年から、70年代のオプチル黎明期くらいまででしょうか。未だに見たことのないデザイン、今にない作り、そんな珍品のオンパレードだったりします。シナプスがバチーンってきます。

ということで写真のこれ。推定60年後半です。オーストリア製。

写真が全てですから、特に言えることも無いんですけど、絶妙におじさんメガネっぽく、絶妙に宇宙船っぽい、未来感があります。眉の部分の侘び寂びを見てください。裏から止めて、正面から見たときにチラリと覗くだけです。だったら無くても良いじゃん、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。初めから無いことと、消去ということは違いますから。

レンズを囲うリム、どうですか、おかしいでしょう。上下と左右で厚みを変えた、カットリムの中でもやや特殊なやつです。シートメタルには出来ない、奥行きのある柔らかい曲面がもたらされ、有機的な印象を与えます。つまり、掛けた時に冷たい印象になり過ぎないと言いますか、ロボットぽくなり過ぎない感じです。カットリム自体は失われた技術では無いんですけど、コストが高く、まず意匠がふんだんに盛り込まれたフレームに対して採用されることが無いと思われます。

散々言いましたがあれですね、なんといっても一番はブリッジの唐突さですね。何でここだけデザインを諦めた?みたいな、ただの棒がくっついているのが見所であり、一番目を惹きますね。棒というか、グラタンのチーズの溶ける前みたいな、はたまた千切れたうどんみたいな、謎の偏平が真ん中に鎮座しています。リムと違って艶ありですから、明らかに目線をここでストップさせたいという意思を感じます。自信がありそうです。

でも確かに、不思議なことに見ればみるほど、これしかブリッジとして合わない気がしてきます。これ以外、そしてこれ以上のものは浮かびません。むしろ、デザインをしないというデザインを最後にブリッジに施し、全体にダイナミックな躍動感を足したのでは無いでしょうか?そんな気さえしてきます。

そして、なんといっても、何だかんだ遠目はサーモントだったり、カールトンぽくも見えたり、普通の四角い銀のメガネに見えますから、現在のファッションとの親和性が高いところもポイントが高く、なかなかの一本でした。

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