カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

シチズン
ヴィンテージのメガネ

18.12.14

枠入れ完了しました。シチズンのフレームです。大きめの四角で、ゆるゆる感が抜群です。まさにあの世界観ですけど、カーディガン、デニム、ローファーにこれとか良さそうです。

黒のベースに、ブリッジと智の部分だけ金色でペイントしてあります。そして見どころは、左の智の「CITIZEN」ロゴのプレスでしょうね。

ロゴさえ入れなければ、製造元が持っている型で作れたのに…。このために型から作ったと考えますと、さすが80年代と思います。プリントではなくて、模様に忍ばせて”CITIZEN”を主張しておりまして、色々と、いい時代だったんだろうなと想像を掻き立てます。

また今回、お客さんの度数がやや強めですから、それが尚良しです。目が小さくなって、ナードさ爆発です。それがカッコいいんです。

開き過ぎているフレーム
ヴィンテージのメガネ

18.12.11

持ち込み品の枠入れ。小豆色っぽい茶色です。貼り合わせで表面はクリアで光沢が綺麗です。水羊羹に近い表面です。

困ったことに、初めの段階では、腕が開き過ぎています。側頭幅170ミリ以上、尚且つ左腕のみが異常に開いています。

今回は、フロントに着目しまして、リムが0カーブ(ほぼ平ら)であることを利用し、枠入れと同時に型直しを行います。

特別なことではなくて、ただ球面レンズを枠入れするだけです。この方はガラスを所望しておりまして、度数が低いことから屈折率1.52のガラスを選択しました。この条件でのレンズカーブが5カーブでして、それであればリムを削ったレンズに沿わせることで、丸まる様にテンプルも閉じていきます。

右レンズのみ入れた状態です。向かって左です。理想的に閉じています。

5カーブのレンズ。レンズ自体は特別なものではありません。フレームとレンズカーブが著しく異なる為、枠入れはやや大変です。

枠入れ後。レンズに沿って、リムにカーブがついています。ガラスレンズであれば、レンズごと温めても表面のコーティングの割れが起こりません。一緒にヒーターに当てて、しっかりと両者のカーブを合わせています。それに伴って、テンプルの開きがしっかりと抑えられます。

完成しました。側頭幅150ミリまで、自然に閉じました。このお客さんは、これくらいの幅なのでたまたまピッタリです。とりあえず、何とかかけられる状態にまで戻せました。

リムにカーブが既についている場合は、蝶番部分にセルを貼り付けて開き量を調節します。それはそれで良いですが、あまり弄らずに直せる場合は、まずその方法を優先しています。

ブルバキのサイズ感
ヴィンテージのメガネ

18.12.05

リスト上は、みんなNOSだったりするんですけどね。まあ、古物なので想定内です。泣きながら全部弾きます。

割れとか欠けとか、そもそも使用済み等々あります。全部ボツ。

新品の店と違って、ここが興奮と落胆を生みます。もっと大きい店だったり、勢いのある店であれば、安定して供給があるのでしょうけど、まあそこは、この形態を崩さずに出来るかどうかにも大きく関わりますので、今のところは現状維持です。

珍奇眼鏡
ヴィンテージのメガネ

18.11.27

今回の入荷分より。八角形の、程よくレトロでいい感じのフレームの上部に謎のバーがくっついています。ツーブリッジとサーモント眼鏡を合体させたような、謎の塊が上に乗っかっています。

ネジが見当たりません。おそらく接着剤か樹脂で固定でしょう。眼鏡好きな方なら、何となく伝わると思いますが、ウォルフガングプロクシュ感が強くてカッコいいと感じてはいます。ただ、あまりにも唐突に、フレームの華奢さを搔き消す塊が乗っかっているというところが、カッコイイだけでは終わらせない、面白さも含んだ、いい眼鏡だなと感じております。

ヴィンテージの眼鏡というカテゴリーがまだまだ新しい為か、古ければ古いほど価値があるという尺度しか許されていない雰囲気があります。もう少し経って、それぞれの年代の面白い箇所をおさえていくことがヴィンテージの醍醐味みたいにならないかなと、たまに願っています。

とりあえず80年代は、ブランドのライセンス物が、それぞれに個性が強すぎて面白いです。

おそらく今年最後の
ヴィンテージのメガネ

18.11.27

昨日、入荷がありました。11月は碌に稼動もしておりませんでしたが、入荷をさせてしまいました。

昨日の夜と、今日の半日使ってレストアをまず一本。相当磨きに時間がかかりました。イギリスの60年代のブローです。

個人的に大好きな、挟み込んだフィルムで艶がとても強く出るタイプの生地です。ボーリングの球みたいなマーブルの光沢が特徴的で、しかも渋い茶色です。布だと、ビロードに近い風合いです。

表面に細かい筋がありましたが、ヤスリで全て削ぎ落としております。ぬるま湯につけて爪で引っ掻きましたが、セルが削がれるようなこともなく、中は健康でした。少なくとも4時間はかけましたが、ちゃんと提供できる物でした。報われました。

ちょっと残念なのが、リムにやや緑青があって、下弦にちょっとした腐食があります。とりあえずそのままお見せしますが、嫌な場合はメッキをかけて、リダン的なこともします。

鼻パッドの無いブローも、なかなかカッコいいです。レンズは横幅48ミリで、今の時代の商品と変わらないくらいの大きさです。

フロントが2枚
ヴィンテージのメガネ

18.11.09

セルの複式です。レンズ入れました。

外側:フラット ネイビー50% ハードコート

顔側:球面 クリア マルチコート

レンズの形状が違う組み合わせでの製作は初めてでした。以前、フラットレンズ2枚、しかもガラスで製作したことがありましたが、

・重すぎる

・レンズの反射が重なって使い辛い

という点が気になっていました。今回はプラスチックレンズを使うことで1個目を解決し、フラットレンズと球面レンズを組み合わせることで2個目を解決して(特に顔側は反射防止コーティング付き)、ある程度の使いやすさを確保しようという算段です。

とりあえず、製作で苦労しました。元々製造時は、フロントの2枚とも同じフレームカーブで製作していますから、どちらかを0カーブ付近まで落としますと、お互いを繋ぐ駒の箇所が合わなくなります。写真は撮り忘れましたが、駒のギザ一つ分、フラットレンズを積んだ方は横に伸びていました。

お互いのそり角を微調節して、合わせる作業が要ります。駒のオスメスの角度も異なってきますので、なかなかの手間です。

また、日常で気兼ねなく使おうとしますと、跳ね上げの肝となる2箇所のヒンジの修繕が必要でした。

径1.4ミリのネジ穴に、1.2ミリのネジが差し込んであり、度重なる開閉で(連続20回くらい)、ネジが浮いてきました。これではいけませんね。今回は、都合のいいマイナスネジが供給品で見当たらないので、ツーポイント用のプラスネジから、欲しいネジを作りました。

ネジ先のカットと、面取りをしています。切らないと、ぼちぼちはみ出します。

さらに、ネジ先を底付きナットで共締めです。開閉が堅くなりますから、そこは現代科学を駆使して、砥粒入りのオイルを注油しております。これだけやっておけば、脱落の心配ありません。

フロントのデザインは普通ですが、同じものが2枚重なるだけで、ここまで面白くなるというのも、このメガネの良いところです。これが、他人から見たときに、カッコいいのか変態的なのか分かりませんが、とりあえず掛け続けて「メガネが2枚の人」になりきったら勝ちですね。昨今のSNSなんかを見ていますと、カッコイイ人もかわいい人も数多居ますが、メガネが2枚で可笑しい人は居ないですからね。特に日本人の場合は、メガネで特異性が出やすい気がします。

70’s フランス
ヴィンテージのメガネ

18.11.06

おそらく、以前もご紹介したかもです。もう一回します。販売となりましたので、記念に。

生地の透明感が、大きめなレンズの存在感を和らげています。少々歪な作りも、カッチリとしたスーツみたいな雰囲気を出さないことに貢献しております。同じような生地のとか、安っぽくならない歪さとか、狙って出せる風合いではありません。偶然の産物でしょう。それこそ、いつの日かオリジナルで作りたいとも考えました。しかし、おそらくそれらの要素は再現不能でしょうし、下手すればのっぺりとした、ただ大きくて四角いフレームが出来上がる予感がしましたので、ヴィンテージ品をそのまま販売しました。レンズはブラウンの15パーセントです。

レンズの形も大変良いです。ただの四角です。ブリッジの厚み、それに対比してリムの細さ。何だかんだ色々計算され尽くした感があります。良いメガネでした。

透明で大きいボストン
ヴィンテージのメガネ

18.11.05

好きなんで、ひたすら集めています。どの年代も満遍なく売れている感じはしていますが、ピンポイントで、ここはあんまりかもしれません。女の子はぼちぼちですが、男性は皆無かもしれません。

サイズ52〜56までの、80年代前後の大きめのボストンです。

一応、こんな感じいいなあというイメージはありまして、2016年の雑誌ポパイ40周年記念号の中に載っています。

(831号 p.116~p.117)

海外の方に多い気がしますが、厳つく屈強な感じとオタクっぽい弱さの混在ですね。なんかカッコいいです。タトゥー入れなくても、ゴツいアクセサリーで何とかそのバランスを実現させてみたい気がします。

流行り廃りもあるでしょうけど、何よりも文化の違いを感じます。そこをビシビシ感じていますが、好きなんで体力あるうちは、仕入れは出来る限りする所存です。

ひし形
ヴィンテージのメガネ

18.10.31

ここ数日、忙しくは無いですが接客が続いていたので、紹介するのを忘れていました。ひし形のメガネです。なかなかのクレイジーさですが、掛けると“今日掛けてきたみたい”な、馴染み方を恐らくします。割と、遠目は楕円のサングラスに見えますので、たしかにぼちぼち普通です。

図鑑では、近いものが60年代として掲載されています。大体どの図鑑も60年代か70年代で紹介していることが多いです。

レンズの色は悩みどころですね。このままでも良いですが、レイバンカラーでも良さそうです。紫とかで、もう少し狂気的な方向に振ることも有りだと思いました。いずれにしましても、どの方向にもイメージを振れるという点が優れています。

テレビが快調です
ヴィンテージのメガネ

18.10.31

テレビメガネです。テレビ系のデザインとしては、60年代中頃から存在していた模様です。フロントの埋め込みの蝶番や、やや大きめなレンズから察するに、70年入っていると思われます。これでも、FPDは67ミリですから、言ってもそんなに巨大なフレームではありませんが。販売の時には、そのあたりの年代云々の話をしないことが多いので、ここでフォローを入れておきます。

とりあえず、デモレンズとしてノンコートのプラスチックを入れています。落ち込んだレンズ周囲によって、レンズの凸感が強調されています。滑らかなその凹凸を、目が勝手に追ってしまいます。右から左、左から右へと絶えず行われる視線の移動が、フレームにダイナミックさを与えているのでしょうね。

フロントの左右の角を落とした部分も、全体のボリュームや威圧感に対する配慮が感じられて、大変良かったです。珍しく、普通のメガネ(色無)でかけたとしても、抜け感がなく格好良いテレビメガネでした。

あれですね。そろそろブラウン管を知らないことが普通になるので、“テレビ”と形を形容したところで、「何すか??」ってなってしまいますね。

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