今回の目玉かもしれません。私的にはパロマピカソです(しつこい)。
界隈でいうところの40年代のフランスというやつです。実際には、第二次世界大戦があったりなんだかんだで激動の只中でしたから、60年代頭とか、20年くらい年代の幅がありそうな気はしています。デザインのバリエーションを、まだまだメガネの存在がネガティブな時代に沢山作っていたのかというと、手元に資料が無いので分かりかねますが、それは考えにくいなとも思います。
放射性炭素同位体の検査ではなくて、40年代周辺と指すときの根拠にあげられるのが、この蝶番の作りです。外付けで、カシメ留めするときのピンのツラを擦り切っています。それが美しくて至高云々みたいな話です。
ようやく、この辺りの商品もちらほら入ってきたから言えますが、メガネの道具としての見方をしますと、やはり良くは無いです。自分の商品だからこそちゃんと言いますが、少なくとも至高では無いです。緩んでいない状態であれば、現行のものと遜色なく使えます。緩みやすさや、緩んだときに難があります。
外付けの金具について。そもそも、プラスチック部分に段差を設けていないので、金属の駒がテンプルと噛み合っていません。何らかのきっかけで緩みはじめると、駒が上滑りしますから、テンプル全体がすぐにガタつきます。
ピンのツラについて。カシメタイプにおいて、緩んでしまった場合は、ピンの打ち直しを行います。50年代のアメリカ物とかは、よくこの処置を行います。ピン先が残っているので、それを潰して再度しっかりと止めることができます。
ただ、ツラが切ってある場合は、打ち直すことが出来ません。あまりにもぐらつく場合は、ピンを抜いて打ち直すという対処になりますが、なかなか時間とお値段がかかります。また、これが1番の問題で、一回り太いピンを打って再固定となりますから、生地に亀裂が入るリスクがあります。
大事に扱えば問題なしです。ただし、やはり古い物ですから、それなりの心構えが要るよという話でした。現行品に比べてなんでも勝っているわけ無いです。構造として消えた理由として、手間が掛かるから70年代に入って大量生産云々…とするのは早計でして、良くなかったことが解消されたから、ただ消えたという理由も当然あります。
なるべく現在を肯定するために、この変更はこういう点でアップグレードなんだという理解を、物の観察と現行品との対比、体験から行うことも、ヴィンテージの醍醐味の一つだと思います。
あとは、何と言っても見た目と風合いですね。フロントが黄ばんでやや生成りになっていますが、黄ばみが少なめな方だとは思います。レンズをやや青にして、補色の関係を活用してインパクトがあるようにしました。