新しい生活のリズムに慣れてきまして、昨日の休日は、念願の暇を手に入れました。午前中からずっと家で本を読んでいました。
それが、写真の『暇と退屈の倫理学』です。本屋さんで見かけて、まず題名でグッと来て買いましたが、多分お客さんに教えて頂いた本だったなと、書いていて思い出しました。
まず序章、〈「好きなこと」とは何か?〉という章題で、すでに読んでみたくなった方がいらっしゃるはずです。とにかく、通読しないと意味がありませんし、私のような浅学な者が掻い摘んで要約など拵えることは到底出来ない内容でした。ただし、今年で一番、いや読んできたものを思い返してみても、近年稀にみる感動を覚えた本でした。自分にとって大事な一冊になったと思います。
お店を構えて1年あまり、定常状態が実現されつつあります。そこに不安を感じていた時期です。居候の豊橋時代を含めて3年、荒波しかない毎日でしたから。その先に訪れる平静、まさにそれが本に出てくるハイデカーの退屈の分類に当てはまりました。退屈の第三形式です。何となく退屈というやつです。
そして、本に書いてあるダメな解決例、まさに大きな決断をするべきか、それともしないべきか考えているところでした。決断をしたところで、またその決断をベースとした定常状態が訪れるわけですから、長い目で見れば繰り返しているだけです。その永遠に終わらない循環によって疲弊し、自己喪失するところでした。
この本の題名は緻密でして、倫理学となっています。つまり、何を為すべきか、暇と退屈に対して、人間としてどういう態度で接していくのか?みたいなものがふんわりと提示されています。このふんわりさがミソだと思っています。通読すると分かります。