今まででこれ一本のみ
ヴィンテージのメガネ

23.12.12

アダムアンドイブのメガネです。

家でコーヒーカップを使っているので気付けました。陶器のブランドです。そこから派生して、服やメガネもあれこれやっていたみたいです。アダムアンドイブのホームページがあるので、そこが詳しいです。ドンピシャ世代は私よりもっと上の世代のはずで、60代くらいなんですかね。

このブリッジがとてもカッコ良いんですよね。ただ高い位置にあるだけではなくて、厚みの具合とかリムに向かって滑らかな処理がされていたりとかいろいろで、とにかく綺麗です。このブリッジがまず目に付いて他はごちゃごちゃ無く、このブリッジこそ一番のご馳走ですよと、ハッキリしている感じが潔いです。

智の周辺の処理も良いです。段差をつけて、リムを強調しつつ智はボリュームが減ることで、フレーム全体が優しく見えるようになっています。

54ミリのレンズサイズや、ナス型とかオート型と呼ばれるフレームの派生的なデザインと捉えられることから察するに、80年代のフレームと思われます。ただ、アダムアンドイブのホームページの年表を確認しますと、1988年にメンズファッションの発表とありますから、メガネもそれくらいかもしれません。80年代の後半以降で90年代の線もあるかもです。

ロゴの入り方が左右非対称で片側だけなのも、80年代メガネに多い傾向です。アップル製品の刻印サービスみたいなロゴの入り方で、なんか良い感じです。

ちなみに鼻盛り部分のみ黄ばんで痩せていました。ブリッジが狭く十分顔に乗せられると判断して、ひとまず鼻盛りを除去しています。それでちょっと前の、ゴージャス路線になる前のカトラーアンドグロスみたいな雰囲気になりました。


メガネのはなし

23.12.10

木をはじめます。

今まで銀無垢だ不変だなんだかんだと言いながら、木もめっちゃ好きです。家具に近い感覚をメガネに接続させるなら、木でメガネが出来たら最高ですよね。

お金が高い物となりますと、ヴィンテージとかあれこれ背景やら文脈やらストーリーやらソフトな部分も大事ですけど、まず物質として良い素材が欲しいところです。とりあえずヒュレーです。だから銀無垢でしたし、これからも銀無垢ですし、今後は木もやります。

 

インスタの2019年の2月6日の投稿にも、木は載せています。

一番上のモデルが、トップ画像と同じモデルです。工房樹さんの凛之十七です。木も選べて、以前拝見したときは黒檀でした。今回の入荷は黒柿でした。真ん中の丸メガネは、樹之十九というモデル名で、これも良いですよね。王道のセル風の丸メガネ。

突然のアレでしたので予算の都合で今回は見送りました。仕入れ出来るように頑張ります。これこそ、黒檀で作ったら藤田嗣治であり、デイヴィット・ホックニーであり、わくわくさんでもあると。知的にも見えて、でもクール過ぎずにややイジられつつ笑いも取れる万能なメガネになりそうです。個人的には、この前の銀無垢のファイヤーパターンにも通ずる話なんですけど、メガネはちょっと笑われるくらいが丁度良い気がしています。だからわくわくさんという構成要素は大事です。とりあえずまた手元に届きましたら載せます。

 

ちなみに2019年2月のブルバキの状況を思い出してみますと、銀無垢のサーモントの開発がどちらも一切進行していない状況でした。そもそも開発が出来るのかどうか何も分からない状況でした。もし開発出来そうとなり、ことが進んだときにお金がどれだけ必要となるのか未知という状況のため、あれこれ手を出すことが出来ず、あのときも当店へ紹介があったのにも関わらず“ごめんなさいnothingで”と、なっていました。それと新品は、銀無垢だけじゃ無いとブレるかな?とかその辺も気にしていたと思います。

セルの一番厚い物くらいの厚みがあります。結構迫力があるんですけど、木の風合いで威圧感が抑えられ、最後はほっこり感が勝ちます。

フレームにナイロールのガイドが取り付けてあります。レンズはナイロール加工で枠入れです。これが天才のひらめきで、美観としては外付けのネジや切れ込み等々が無く(フロント裏面に、ナイロールガイドを止めるネジが左右1本ずつあるのみ)、ほとんどセルのフルリムに見えます。

バネ蝶番です。バネ蝶番の埋め込みも綺麗です。メガネを畳んだ姿がとても美しいです。置いた時のメガネの佇まいも、なんだかんだ大事ですよね。

セルフレーム的な鼻盛りっぽい木片を取り付けてあるパターンもありますけど、とりあえず店頭はアーム付きにしました。このアームが嫌いとか意見が分かれるところですけど、木の鼻パッドがかわいくないですか?本体とおなじ黒柿で合わせてありますし、これかわいいんですよね。とりあえずアーム有りが店頭にあります。

 

ちょっとまだ時期とかあれこれ決まっていないんですけど、丸っこい何かをオリジナルで作っていただく話をしています。それで一旦、既存モデルのまん丸をパスしています。

デザインソースのフレームは、私が消費者だった頃に買ったフレームです。もう10年以上前ですね。そのときから眼鏡業界の人間ではありまして、工房樹さんも存じ上げておりました。当時からアレは木で作ったら最高なんじゃないかと思っていまして、使わないのに青田買いしたフレームでした。まず図面の確認があるんですけど、とにかく図面が待ち遠しいです。

ソースはイギリスのフレームです。昨今の銀無垢の開発のときに「アメリカがアメリカが」言いすぎて、そんなにアメリカ好きなんですか?と訊ねられるくらいなんですけど、メガネで言えばアメリカのヴィンテージはほとんど買ったことがないです。金張が2回くらい。セルは店でもオークションでも買ったことないですね。

銀無垢のサーモントの開発において、どこかにアメリカの要素を組み込むというのは、ルールに従ってみようという試みでした。論文は英語で書くみたいな感じです。ルイヴィトンやその他諸々がアメカジの時代ですから、メガネもやるべきだなと思ってアメリカを要素に、特にカジュアルになる方向で組み込もうとしたのが銀無垢のサーモント2型でした。ということで、どこの国が好きとか嫌いとか考えたことないですね。そして今回は、あれこれ文脈無視して一番自分の好きなセルフレームを木で作ってみる予定です。

セル巻きと七宝
修理とメンテ

23.12.06

修理のセル巻きと、七宝塗装の在庫が同時に届きました。ちょうど良い機会なので並べておきます。

ヴィンテージのアルガのセル巻きの交換をしました。アルガとかヒルトンクラシックでいうところの、チェストナットというカラー名の巻きです。割と近い色と柄の物で新品に変えられます。

仕上がりはこんな感じです。

 

七宝塗装のブームの為かどうかはさておき、納期が結構かかったのがこちらのフレームです。

これは、もともと在庫で店頭にあったサンプラチナのクラウンパントに七宝塗装を施しております。この前のお客さん受注分のクラウンパントに七宝塗装のこのパターンがとても良かったので、店頭在庫も作りました。

こっちの加工の方がボリュームは少なくて、セルっぽい雰囲気があまり足されないです。パッと見で、やっぱりメタルフレームだなとなるのが七宝塗装です。セル巻きは、コンビフレームかな?と一瞬思わせてくれます。

セル巻きよりリムの飾りが脱落しにくい利点があります。

明日と明後日は休みます
営業案内

23.12.03

明日は急遽休みます。

明後日は、月例の眼科さん出張のため休みます。

とりあえず何か詰めておく
修理とメンテ

23.12.03

はじめての手法です。

真ん中のコマが折れています。微妙に元のコマが残っています。コレのせいで詰め物が出来ないので、上下を傷つけないように注意しながら真ん中のコマだけ狙って取り除き、あとはたまたまワッシャーが良い感じにハマりそうだったので、隙間が埋まるまで重ねました。ラッキーで3枚でぴったり。

取るとこんな感じです。やはり真ん中が無いと、ネジの締め上げが出来ずにテンプルがパタパタしっぱなしです。なんだかなぁということで直してみました。予想より綺麗に仕上がりましたし、今のところテンプルの開閉はスムーズです。ただ、詰めた物はツーポフレームで使うワッシャーなので、開閉で摩耗し易いかも知れないです。

かなり蝶番の打ち直し痕があります。大事に直しながらたくさん使っていたんでしょうね。

はじめての壺
雑記

23.12.03

いろいろありまして、小鹿田焼を久々に買いました。

日常で使う器が結構揃ってきてしまいましたし、そんなに好きならもっともっと大きい何かが欲しいなということで、この大きさの焼き物を初めて買いました。子どもの頃、テレビ番組のなんでも鑑定団を見ていて、なぜ大人は食器以外の大きい焼き物を買うのか謎でした。まだ謎は謎のままなんですけど、謎がゆえに魅了されているのか、無事に私も壺を買う大人になりました。

それに合わせて、今年はストーブをバーラーからニッセンに戻しました。今年は炎ですね。

同封の小鹿田焼のパンフレットに

「みだりに昔をくずさぬように…」

と書いてあります。これがグサッと心に刺さるささる。直近の彫金のファイヤーパターンのことですかね??

次は蓋つきの壺で、打ち掛けか流し掛けの技法が組み込まれた大物を収集したいなと目論み中です。

そうなりますと民陶祭が気になります。年によってまちまちですけど、ちょうどメガネの展示会IOFTと時期が重なりますね。

後日談
雑記

23.12.01

怒濤のレストア連発が終わりました。平常運転に戻りました。

 

ファイヤーパターンの後日談。

日本だけかどうかは分かりませんが、手仕事=ほっこり感みたいな無意識の接続がなんだかある気がしまして、そこを打破出来るのでは無いかと思ったんですよね。瞬時にインスタのフォロワーが4人減ったので、やり過ぎたかもしれません。炎なので、ほっこり通り越して熱いですからね。

ああいう柄は、おそらくハーレーとかその周辺の文化から生まれた柄ですよね。私は大きいバイクは乗らないけれども、古いBMXやMTBの自転車に乗ります。ということで、BMXと言えばKuwaharaで、Kuwaharaと言えばライトニングパターンだということで発想をぐんぐんと膨らませました。そもそも柄の緻密さの回避とかブルジョワジーの回避から、ファイヤーパターンなり何なりのアメリカの大味でDIY的な柄を、敢えて日本の彫金でやってしまうという発想がスタートしています。それだったら自分にもっと関連のある柄を、自らの手でジグザグ稲妻を描いて、それを彫金して頂こうかなと、そんな心持ちでした。

岡本太郎もこう言っています。他人が笑おうが笑うまいが、自分の歌を歌えばいいんだよ、と。そしてレストアの納期に追われているというのにも関わらず、一日中稲妻を描くだけの日がありました。

 

バランかな?パック寿司食べたあとかな?みたいなイラストにしか到達出来ずに断念しました。自分の歌を歌うにしてもやっぱり限度というものはありまして、自主規制が入りました。テンプル裏面に彫金したとして、テンプルを閉じた予想は煉獄杏寿郎です。炎じゃん。

BMXのサドルで、サドル側面にあんな感じで3・4連のジグザグ稲妻が入る物が割とあるんです。それが好きで応用してみたのですが、結果は寿司ライダーになりました。

フラグメントデザインのような、小さい稲妻を数個散りばめる方が上手くいくかもしれません。いずれにしても、一旦ライトニングパターンは保留となりまして、原案通りのファイヤーパターンを彫金して頂くということになり、トップの画像の彫金が生まれました。だれかカッコいい稲妻が描けたら教えてください。

 

Flames
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

23.11.27

発想は私からではなくて、お客さんからでした。手彫りでファイヤーパターンです。

レンズはグレーの35パーセントに、シルバーミラーです。

銀無垢のサーモントが完成したときのブログに、日本が日本を題材にして日本を伝えるのも良いんですけど、日本がアメリカを題材にして日本を伝えることの方が、広く伝わるのでは無いか?みたいなことを書いた記憶があります。服でいう、日本人がアメカジを作ったみたいな話とリンクさせて、つらつら書いた気がします。

頭で分かったつもりでした。これは思いつきませんでした。彫金でもっとアメリカをやると。案を聞いたときは、今年一番で脳汁が溢れ出たと思います。これだ!!!と。

一気に軽快になりました。そして和彫りでファイヤーパターンという未だかつて存在しなかった違和感の小気味良さ。最後に足りないのはこれでした。

見本となる図柄をお渡しして、完成は輪郭の線だけになるかなと思いきや、画像の通りそうではありませんでした。職人さんの即興で炎の内側と、炎と炎のユニットの間が上手く描き分けられています。鎚目みたいな彫りの使い分けで実現されており、特にそれが素晴らしいです。その描き分けが全く無ければ、仕上がりは線だけで物足りないでしょう。しかし描き分けをはっきりくっきりやり過ぎると、華美になり過ぎて、なぜファイヤーパターンを選んだのか?という意味が薄れてしまいます。

ファイヤーパターンの醸し出すアメリカらしさと、日本の美しさが上手く融合していい具合で上がってきました。尚且つ絢爛で重厚感が足されるという結果にならずに、躍動感のみが付加されるというファイヤーパターンである意味が尊重されています。

 

何だかんだで私はチキンなので、テンプルの表はやめて裏に彫ったんですけど、畳んだときの壮大なおバカ加減が最高です。

もちろん、今までの緻密で美しい手彫りも最高です。最近は私も、この2つばっかりですし。型通りも型破りもどちらも美しいということでしょうね。

12月の頭くらいまでに40本くらいレストアと枠入れという案件がありまして、昨今はブログを書かずに引きこもっていました。その間にもこういう仕込みはしておりまして、疲れのピークでドバッと脳汁出ましたね。これで元気出ました。

11月26日(日)は休みます
営業案内

23.11.24

11月25日(土)は営業します。

11月26日(日)は休みます。

明日は14時に閉めます
営業案内

23.11.20

11月21日(火)は14時に閉めます。

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