暗黒面
ヴィンテージのメガネ

23.04.14

いままで見過ごしてきた気がします。加飾してあるフレームたちが急にめちゃくちゃカッコ良く見えてきています。80年代のエアコンとか扇風機と同じで、カッコ良く見せようとした一手間がやっぱり良いよねっていう感覚がじわじわと。

どうやってセルフレームを彩ろうかなとなったときに、何だかんだブランドロゴがカッコ良かったりしますよね。ヴィンテージですと例えば古いディオールのロゴとか、ロゴ自体もロゴの大きさも質感もアレコレ凝っていたりして、ちょっとネガティブに「ブランドロゴだけ」とは言われがちなものの、かなりの意思決定がそこにされているわけですから、会社にとって大事なロゴですし、やっぱり良いですよね。

それでこれはといえば、ロゴがきそうな部分に金属パーツがありまして、日本製の純朴なロゴ無しフレームなんですけど、この加飾が80年代に各所で想い描かれていた未来感があってカッコ良いです。郷愁を誘います。

台紙が残っていました。モデル名が「マーシャル」で、意味を調べると“元帥”とか出てきます。妙に納得できる名前でした。

カラー名が“ダークサイド”ということで、それも何だかじわじわきます。

フレームもフットワークも重くてもいい
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

23.04.12

この前の軽いTR90のメガネを運動用に作ったものの、、、。あれは球技とか町内会の運動会とか、第三者が居てもっとアグレッシブなスポーツの類いのときに、メガネの破損のリスクが高いときに使おうかなと。

何年前か忘れましたが、トム・ブラウン(デザイナーの)のランニングの様子が紹介されておりました。シャツにカーディガンを着て、超短パン(スラックス?)を履いて、エッサホイサと走っていました。それの衝撃たるや!検索してみてください。ウルトラカッコいい、走る事務員って感じです。

記憶違いで、トム・ブラウンはアシックスを履いていると思っていたんですけど、その写真ではナイキでしたね。パーフォマンスの意図も若干はあると思いますが、それにしましても自分と切り離せないし日常とも切り離していませんよ僕の服は、みたいなそんなメッセージが強烈に伝わりました。

その伝説を思い出したところで、そうだそうだと留まりました。やはりランニングも銀無垢のメガネだなと。私の場合は、1秒でも長く顔に銀を乗せていたいと、それは常々思っていますからね。

それと冒頭のあの画像、70年代のランニングブーム時における眼鏡の広告なんですけど、あの雰囲気でランニングしたいなという願望もありました。めっちゃ清々しくてカッコいいなと気に入っている広告です。だけど時代感もありまして、軽やか過ぎず男性も女性もちょっとゴージャスなんですよね。

スポーツだからティアドロップ型のメガネを選ぶという思考は、現代にはほとんど残っていないのでは無いでしょうか。その部分を再現したいなと。

結果、画像のあれを掛けて日々のランニングをすることにしました。ランニングの再開は4年ぶりくらいです。朝の4時半くらいだとまだまだ暗いですから、レンズの色は薄めでマロンの15%に交換しました。

雑記
雑記

23.04.10

この2週間くらい、店頭でしっかりとメガネの話をしていました。その反動で、雑記の中の雑記というものを書きたい衝動が。

30代の真ん中になりますと、たしかに味覚といいますか嗜好が変わりますね。若い時には信じられなかったことが現実に起こります。

年齢的にちょっとその変化が訪れるのが早いかもですけど、ご飯のおかずは冷奴があれば最高ですね。もはやそれさえあれば。気温が高かろうが低かろうが、キンキンに冷えた冷奴はいつでも安定して美味いです。ちょっと前までは、冷奴はおかずにカウントしないという、ご飯の準備をしてくださる方全てを敵に回すような危険な思想を持っていたんですけど。回心しました。

スライスしたトマトが入っている形式のハンバーガーがありますよね。あれはどう思いますか?今までは生のトマトが好きではなかったので、外すまではしなくとも要らんなぁって思っていました。それもここ最近変わりまして、あった方が美味しいから入れるんだなと、ようやく理解できました。

それって結局、のどごしが良い方に嗜好が流れているかと思いきやそうでもないようです。チロルチョコのアソートがありますよね。小さいときからあれのミルクが好きで、コーヒーヌガーはちょっと苦手でした。いまは逆で、コーヒーヌガーが一番で、ミルクは1個あれば十分という感じです。

変化しないことには超人的として憧れますし、変化し続けないとダメというのも納得で、そうなりますと、その都度自分の心が落ち着く方に陣取れば良いと思うんですけどね。そうは言ってもとにかく変化しなくてはと焦るときもあります。意外にも内側を探すと他人からしたら屁みたいな変化かもですけど、生きてる以上なにかしら変わっていることがあるものですね。

おじさんの味覚の変化ということで、本当にしょうもない情報だったんですけど、自分としては特にトマトが入っている形式のハンバーガーが好きになったことはかなり大きな変化でして、久々に発見の鋭い喜びを得ました。

美の呪力を読み終えました
雑記

23.04.10

美の呪力 岡本太郎著 より抜粋。

 

あとがきによると原稿の執筆が1969年とのことで、万博の準備と並走してこの内容の本を仕上げていることに驚きました。やはり超人です。

これまで私も、名言集くらいしか本は読んでいませんし、芸術は爆発だ!的なイメージからくるような、トンデモない感じで面白い人という認識だったんですけど。文章からくるイメージは、トンデモないキレ者でした。

タローマン等々の、まず爆発だ!的な雰囲気にフォーカスが当たっているからこそ、この手の読み物の冷静にずっしりと語りかけてくる感じが一層重みを増しているように感じます。まさに岡本太郎の目指していた、弁証法的な対立の衝突を感じます。

デュシャン以降は、芸術は美を追求しないみたいなことを何かしらで読んで、そう言うもんですかと、納得したふりをして今まで生きてきました。岡本太郎がタイトルに「美」を使っていたという事実だけで、読む前からちょっとホッとしました。

明日と明後日は休み
営業案内

23.04.03

明日4月4日(火)は、月例の眼科さん出張のため店は休みです。

明後日4月5日(水)は、家の用事で休み確定です。

J.M.M.
修理とメンテ

23.04.03

ついにここにも運び込まれましたね。ジャックマリーマージュです。

色々コンテクストがありますけど、そこに怖気付かずに物を見て触って、直接感じるべきことは、要は日本製のアセテートフレームということです。ここはひとつメガネ屋としてドシッと構えまして、フィッティング上、鼻盛りが必要であればいつも通り取り付けを行います。

 

 

 

取り付け前。モデルによっては、鼻盛りパッドが散斑で本体と共色だったりします。そうしますと、流石に鼻盛りは勿体ないなあと思うところです。今回は、透明のバージョンでしたので、そこは未練なく着手出来ました。

鼻盛りが終わりました。総重量がなかなかありますから、鼻の乗り具合は重要かもしれないですね。例え幅が合っており、オリジナルで下げ止まっていたとしても、もとのパッド面が小さいため圧を感じるのであれば、交換するのも手でしょうね。

カッコ良さの感覚としましては、車のレクサスとか新型のクラウンに近いものを感じました。元々のフレンチヴィンテージのクラウンパントは、角が立ってパキパキで、あれはあれで物の質量が際立ってカッコいいんですけどね。いま作るとなったときに値段なりのゴージャス感が欲しいなとなりますと、エレガントな感じも欲しいよねということになりまして、そうしますと曲線の優美さの出番なんでしょう。そういう、直線的な質量の表現と曲線的な流動体のような表現と、対極の融合が一つのフレームの中で起こっているように感じました。

ここからは余談で。触ったときの勘だけの話ですけど、クロムハーツのメガネと工場が一緒なのかなと思いました。いまはブルバキとして川下の産業に従事しておりますから、本当に触った時に感じた何となくの感想なんですけど。

作りがどうとかいうよりも、例えばメガネに対しての目の付け所が一緒な気がします。この前の話みたいに、ラグジュアリーなメガネを作るとなったときに、着手としては細部の作りからコツコツと積み上げるということになるんでしょうけど、その細部の組み合わせと言いますか、メガネに向ける視線が同じな気がします。同じ目線の違う表現みたいな。もちろん企画の会社が違うんですけど。製造が一部重なるとか、人間で言うところの癖が似ている感じがしたんですよね。まあ気のせいですね。

どちらのブランドのフレームも、是非他所の店頭で見てみると面白いですよ。

本日は通常営業
営業案内

23.03.26

今日は開きます!

3月25日(土)は急遽休み
営業案内

23.03.25

すみません、本日急遽休みます。ちょっと、子どもをみないといけないことになりました。

もしかすると、明日もかもです。お渡し予定の方、ご来店予定だった方、すみません。

鼻盛りの追い込み
修理とメンテ

23.03.24

お持ち込み。既に鼻盛りの改造済みでした。それのブラッシュアップです。

かなり綺麗で、水平面もキッチリですし接着面に気泡も無いです。工業製品の観点からキッチリ綺麗ということですけど、確かに正面視の鼻パッドの迫り出しや、顔につける側の接着剤による面の揺らぎが、気になるといえば気になります。

となりますと、僕みたいな存在の出番と申しますか、時間かけ放題の店ならではの処理を施していきます。

こんな感じです。鼻パッドの余りを削り落として、あとはひたすら磨いています。

本当はもうちょい何か書こうとしていたんですけど、一晩寝たら忘れました
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

23.03.22

気がつけば、金の価格が1グラム9,000円を超えていまして、ついに1グラム10,000円を突破しちゃうんでしょうか。凄い時代です。

ファッションの良いところでもあり、権威なき権威ということで、権威に靡かないでちょっとスカしているんじゃないの?というところでもあるんですけど、ゴールドを使えば使うほど物がカッコよくなる訳では無いので、より一層金を使ったメガネの製作から遠ざかるだろうなあという心持ちです。やや残念。何を作りたいか、それが念頭にあって、金の素材の持つイメージとか特性とか見た目がそれに合致する場合は、この値段でも避けずに挑まないといけない素材ではありますけど。確か2年前?に一度金無垢でブリッジパーツを金無垢で作成しました。あの時ですら、めっちゃ高いなあと思い、製作後に金価格が暴落したらどうしようとビクビクしていましたけど、今となってはあの時でも作り時でしたね。

銀無垢のサーモントです。使用8ヶ月ほど。

ブルバキを始めたときから、ヴィンテージのメガネと銀無垢のメガネという二本立てでした。意味の割り振りがありまして、銀無垢には普遍性(普遍だから不変なのか、不変だから普遍なのか。鶏と卵的な問題がここにもあります)という担当を与えていました。それだけだと先程紹介の金も含めた他の貴金属も、不変な輝きを帯びているという性質から、その目的に適う素材ということになるんですけどね。いろいろあって、創業時から銀無垢を推す店になっています。

銀の経年変化となりますと、深みとか重厚感とか渋みとか、色々な表現があると思います。まずそれは煌びやかな雰囲気だけでは無いよというメッセージが、そこから読み取れると考えています。それは他の貴金属には無い良さですよね。

それで、その燻しの変化が銀無垢のメガネに起こったときに、全体としてどんな印象をもたらすのか?しかもそれが、かつて存在していたメガネからデザインを興したフレームだった場合にどうか?そこが肝です。例としては上の写真です。使用した痕跡が堆積する事で、ヴィンテージメガネよりも年数は浅いのにも関わらず、それに匹敵する重み(雰囲気の)がプンプンしていると思っています。

ブルバキは初めから、完全再現を諦めています。初めから諦めていることは、怠慢ではなくヴィンテージへの敬意からです。例えばヴィンテージの物自体がもつ雰囲気は、細部の検証と追及から逃れます。部分最適の総合は必ずしも全体の最適を形成しません。そうは言ってもいつでも部分から着手せざるを得ない人間の小ささに挟まれて、毎度毎度のことですけど苦しかったりします。

そこで、無垢とか手彫りとかの素材に良さを付加したり、眼鏡士としてフィッティング上の問題を取り除くことで、メガネそもそもの良さを足してみたり、覚えたての言葉を使えば新品とヴィンテージの脱構築をそこで図っています。でもまずは、細部の追求が全体の雰囲気の再現に対して思ったよりも近くない行為であるということから、そしてヴィンテージへの敬意から、銀無垢で何か作るときは始めから完全再現は避けています。

 

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