ヴィンテージ手前
ヴィンテージのメガネ

21.02.16

認識か言い方の違いだけで、ヴィンテージのセカンドハンドなのか型落ちの中古なのか、なんとも形容しがたい時代の999.9です。あと10年経てば、確実にヴィンテージのカテゴリーに入るのでしょう。

初期の頃とは伺っていますが、ツーリング以前・以降みたいなところは私は分からないです。それ抜きにしましても、チタンをゴリゴリ削って作られたおそろしく存在感を放つフレームでした。

リムの部分です。フランスの50年代のamorと同じ構造でフルチタンです。わたしには聴こえます、工場の悲鳴が。よく作ったなぁのため息が止まりません。

リムのネジを開くと、微妙に隙間が開いてくれます。これがレンズのサイズを見るときに助かります。閉じがピッチリ過ぎると、チタンみたいな素材は広げたときにメキッといきそうですからね。

リムがこんなにも分厚いチタンとなりますと、天地幅が時代を反映して浅めというのもあり、レンズが歪んでしまいます。それか上とか下の溝が抜けるとか。ということで球面-3.00位というのも考慮して、あのレンズの設計の場合はカーブ深めだよねというので勘で収まりました。カーブ指定云々もありますが、本当に必要なとき以外は、お値段高くなりますしレンズが高いとハッピー感が減るので、今回はピリッと勘を効かせてみた次第です。

これはお持ち込みだったんですけど、見て触って久々に欲しくなっちゃうパターンでした。

ちょっと前の製作
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

21.02.10

サンプラチナのツーポ、製作例です。

手彫りの箇所は、元のダンヒルの様にトップバーのみです。柄は30年代のボシュロムのダイヤです。そろそろお馴染みになってきました。

やっぱり、左右対称なセンターシンボルが欲しいよねって話になりましたので、ボシュロムの元ネタと同じような、ちょっと抜け感のある朝日マークを彫っています。

レンズは緑の10%です。

回数を重ねる毎に、より精密になってきています。

マジかあ
雑記

21.02.10

名駅のとぐろは、飛翔という名の芸術作品です。私も去年くらいに知りました。なんなら、噴水っぽく水も出せる仕組みが搭載されているみたいですね。

飛翔がいつか飛翔しちゃうのは知っていましたが、それが今年の3月だとは。引退のセレモニーも無いって。最後、水出して欲しかったなあ。

日曜日は検眼あるので閉めます
営業案内

21.02.05

日曜日は、検眼の予約を頂いております。いまのところ、開始が14時ごろらしいのと、一応緊急事態宣言中ですし、店は閉めておきます。明日の土曜日は通常営業です。

バッファロー
修理とメンテ

21.02.01

問い合わせ自体はそこそこありますが、店頭受付のみなので実際の加工までとなりますと結構久しぶりですね。バッファローホーンです。

セルフレームの上位互換で買うとなかなか大変ですよ的なことを書いた気がしますが、やはり大変だと思います。確かIOFTでも、山羊かなんかの骨をテンプルに使ったフレームがナントカ部門の大賞をとっており、フレームがどうこう骨がどうこう動物の種類がどうこうではなくて、業界として細やかに救って掬っていくのかどうか、それが大事な気がしていましたが、旧態依然っぽいです。いろいろしょうがないにしても、値段が高いからという理由だけで、とにかく最高峰だからみたいな販売の仕方は何だかなと考えてしまいますね。

今回のフレームは、メガネルートではなくてアパレルルートの物でした。ブリオーニのバッファローホーンです。ブリオーニもメガネ作らせているんですね。今回の見所は、フロントのカーブにありまして、なんと6カーブという深さでした。初期レンズも6カーブです。顔面にピタッと張り付くようにサングラスが掛かるのがカッコいい感じです。

こういうところが値段に繋がるのでしょうけど、おそらく何度も不良を出して、振り絞って1本の眼鏡が出来ているはずです。バッファローホーンくらい硬くて、収縮性なくて、粘りもなくてとなりますと、このフロントのカーブを深く付ける際にも元の状態や毛細血管の入り方次第では割れていそうですし、メタルのバネ蝶番の取り付けでネジ穴切るときも亀裂が入ってダメになることもありそうですし、製作過程のあらゆる箇所で、コントロール出来ない破損リスクを抱えながら加工して出来ているはずです。最後は、いろんな汗と涙とパワーで乗り切っているのだと思います。

バッファローホーンで6カーブは初めてです。それが効いていて、凄くて強いペルソールみたいな雰囲気です。こういう粗野な天然素材は、エレガントな雰囲気に持っていったほうが良いですね。とにかくかっこいいのは確かです。

レンズを外しました。外す方が怖いです。どれくらいの溝の深さで、どんな感じの処理がしてあるレンズが入っているのか分からないので。なんとなくリムとレンズを摘んだときの感覚で探ります。今回はレンズがキツイのか、フレームが縮んでパツパツになったのか判明しかねますが、とにかくバッファローホーンで怖かったので、元レンズを駄目にしてレンズ毎加熱しています。そうすることでリム全体が均一に温まり、外す際のリム切れを防いでいます。写真では分かりませんが、左レンズに熱クラック入っています。やっぱりダメになりました。

ちなみにネットで調べたところ、某ファッション雑誌ではガラスのレンズと書いてありました。嘘ぴょんでプラスチックでした。

溝が深いのと、薬研ではないことから察するに、あまりレンズ替えを想定していないっぽいですね。正直、初期レンズが本当にパツパツだったので、私が上手く外せたのも運かもしれないですね。この深さは、後から見ると割とゾッとします。先にこれを見ていたら、はじめから割って外していました。

度付きの枠入れ完了するとこんな感じです。今回は、強めの近視の方で通常レンズだと2カーブほどの平らなレンズになってしまうので、ハイカーブレンズを使っています。あとは、元レンズと同様の裏面マルチコーティングで、白い反射をキラリとさせています。サングラスを度付きに変えると何か雰囲気が変わっちゃうんだよなといつも感じている方は、カーブとコーティングを変えると良いですよ。今回は、フレーム保護の観点と美観の維持という二つの観点から、ハイカーブレンズを選択しています。

一応2、3日置いておいて、リムの亀裂がないことを確認してお渡しです。

明日と明後日は休みます
営業案内

21.01.31

月曜と火曜は休みます。火曜日は定例の眼科さんへの出張です。明日は、あれこれあって開けれても16時くらいでしょうし、結局火曜日に向けての準備があるので店は閉めます。

また水曜日によろしくお願い致します。

いまはこんな感じが気分だネ
ヴィンテージのメガネ

21.01.29

ごめんなさい、私だけかもしれません。

アクティブでスポーティーで金持ちっぽい感じの、80年代の良いところ全部みたいなフレームです。

ブリッジとテンプルは、当時のエアコンみたいな仕上げです。

クリスマスにプレイステーションのロゴのロンTを頂きました。そろそろ80年代〜90年真ん中ごろのコスプレちっくな格好も許される雰囲気なのかなと思いまして、超久々に在庫載せてみました。

3周回ってスピルバーグ
雑記

21.01.24

昨年12月の100分de名著が「稲妻の一撃」でした。ようやく録画を見れましたし、テキストも読めました。年末の買い出しのときに、高島屋でついでに買って店に積んでおこうと思い本屋に寄りましたら、そのときは在庫切れでした。やはり、稲妻の一撃だった人が多かったんだなと妙に納得した次第です。今後の展望としては、ディスタンクシオンの本チャンを読む前に、迂回してテキスト内でオススメされている磯直樹さんの本を読もうと思っています。

『ディスタンクシオン』のテーマは、趣味とか嗜好という個人的な領域が、いかに社会と結びついているか(テキストp.5)ということでして、自分が好きで選び取った(区別した)はずの趣味というものが、実は社会構造によってはっきりと傾向づけられていることを明かしたそうです(テキストp.5)。

私個人で言えば、例えば最近だとスニーカーなんですけど、ニューバランスが好きです。そりゃ好きなんですけど、それもニューバランスがファッション界隈でどういう位置付けで、ニューバランスを履いているとどういう風に見られるのか込みで好きであるということが既に暴かれているという話がディスタンクシオンだそうです。そうしますと、私みたいなファッション天邪鬼は、一周回って逆に超王道だなということで、最近はナイキのジョーダン1を履いていますが、一周回った時点で大いに社会構造に巻き込まれています。ディスタンクシオン的には、あなたの経歴を見ていると、まさにそう言うと思いましたよ、ということでしょう。あえてのハイカットじゃなくてミッドなのも読めていましたと、どこまでも恥ずかしい限りです。ダンクのローじゃなくて、ジョーダン1のローって次は言うと思いましたよ、まだ続けますか?と。しくしく。何を履けばいいのか…。

テレビ放送では、映画を例に出していました。伊集院さんが「…そうしますと、3周回ってスピルバーグとか言う奴が出てくる訳ですね」と仰っており、本当に私を見てそのまま批判されているのかなと思うくらい的確に突かれた気分でした。ちなみにそれへの解説者の返しは、「3周回った奴の次は、8周回ってスピルバーグが出てきます」だそうです。だから、それも私が言いそうなんだよね。

ことさら私が核心を突かれてイタタタとなったのは、ということはですよ、純粋経験というものは無いですねと、そこです。散々、それについて苦悶しながら店を開けてきましたが、そもそもそんな純粋さは無いですよと。そこが、店にとってイタタタなポイントです。今まで拠り所にしていたところが、打ち砕かれてしまったことです。

テキストでは「『稲妻の一撃』の否定(p.19)」という章があります。たまたま出会ったということの否定です。冒頭で、稲妻の一撃とわざと使いましたが、全然そうでは無いみたいです。確かに、そう言われればそんな気は今までも何度となくしてきましたが、科学的な観察をもとに、統計学を用いて結論づけられているとなると、流石に凹みますこたえます。

ただ、ドン底まで凹まなかったのは、まさに純粋経験のような外的要因に左右されていない、主観と客観が分かれていないみたいなピュアなものを、実無限的に捉えることが間違っているのでは無いかと、ぼんやりと考え始めていたからです。つまり、純粋経験という圧倒的に高潔な経験が存在すると仮定し、何気ない日常の経験を非純粋な、不完全な経験とみなすことに間違いがあるのでは無いかと気づき始めていました。最近のブログで載せた、小林秀雄の経験に関する文章にて、経験というものはそういうことじゃ無いんだよと既にたしなめられており、それが緩衝材になってくれたおかげでディスタンクシオンにパッと出くわしてドンっとぶつかっても、衝撃で再起不能になるというまでには陥らなかったのでしょう。

稲妻の一撃は無い、純粋経験は無い、それを呑んでしまうと何を高らかに宣言すれば良いのかと、そこは正直困ってしまいます。個人のお店が存続するにはそういうスローガンみたいなものが、強く惹きつける何かがあった方が実際は経営しやすいですからね。そこで勇気を持って良心に従い、知ってしまったからにはもう戻れないと、純粋経験は無いぞと腹を据えたところで、さてどうしようと困ります。わたしは、何を拠り所に頑張れば良いんだっけ?と。

純粋経験的なものを、実無限的に捉えることは間違っていると、そういったものは無いぞという話でした。では、ディスタンクシオンは純粋経験を可能無限的にも無いぞと、そう捉えるのは間違いだぞと、そこまで拒否しているのかといいますと、まだ原本まで到達していないですから微妙なところなんですけど、テキストを読む限りではどうやらそこに希望が見出せます。そこまでは拒んでいなさそうです。以下、引用します。

「(テキストp.98)もしみなさんが『ディスタンクシオン』を読んで、自分のやっていることを台無しにされた気分になったのであれば、自由の神話にとらわれているのかもしれません。本質主義的な「稲妻の一撃」にとらわれている。私たちは、自由とは何の規則にも従っていないことだと考えがちですが、何の規則にも従わないことはそもそも私たちには不可能です。すでに述べたように、有限の規則から無限の行為を産出していくこと、それこそが私たちに与えられている自由なのではないでしょうか。」

以前に紹介した、『無限論の教室 野矢茂樹著 (講談社現代新書)』にも、近い表現があります。こちらの方が、これからどのように過ごせば良いのかイメージを湧かせてくれる気もするので、もう一度同じ箇所を引用します。

「(無限論の教室 p.229)可能無限の立場からはこう言えます。公理系が必要ならば作ってもよい。しかし、完結した公理系など作れっこないのです。無限は完成を拒んでいます。そこからはみ出たものを捉えようとし、捉えたと思ったときには新たなものがはみ出ていく。このたえざる歩みこそが、人間が無限を生きるということにほかなりません。そもそも完結した全体としての完全なんていうものがないのですから、“不完全”ということも無意味でしょう」

文章に似たような箇所があるからといって、純粋経験が可能無限的には、ディスタンクシオン的には完全に拒否されていないと関連づけるのも科学的論理的では無いなと思うんですけど、まあでも、なんとなく余地が残されている気がしませんか。特に、はみ出ては捉えてのくりかえしであるという無限論の教室での表現は、お店にしても例えば物作りにしても開け続ける作り続けることの、マネーの側面だけでは無い動機づけにもなりますから、案外ポジティブな話だったのかもしれません。

長くなりました。本当に反省したので長くなりました。竹原ピストルさんの何かの歌詞で、「自分の積み上げたもので闘うのではなく、自分の積み上げたものと闘う」みたいな歌詞があった気がします。ようやく自分ごととして沁みました。

つまりブルバキよ、お前はもっと黙って物を売れということですね。今まですみませんでした。いまは一周回って値札付けっぱなしです。番号管理やめました。

再メッキ例
修理とメンテ

21.01.24

白山眼鏡の古いのの持ち込みでした。元々は、925シルバーのような黄みがかった銀色でしたが、今回の再メッキによってこんな感じになりました。これは、色味としては「ホワイトゴールド」だそうです。銀色の再メッキは、真っ白な銀とorホワイトゴールドの2色しか無いです。ホワイトゴールドよりも、9Kのイエローゴールドに近いと思います。

レンズはマロンの10%です。

下がもとのレンズです。玉型変更もしています。玉型は、上のめっちゃ古いサンプラチナのフレームからトレースして、40ミリに変更して組んでいます。

先セルも交換しましたが、たまたま発注ミスで手元にあった先セルを使ってみました。これかっこいいですね。これからは積極採用します。

明日から開けます
営業案内

21.01.22

加工も追いついたことですし、お渡しもぼちぼち出来ましたから、明日から予定通り再開します。

またこれでおかげさまで忙しければ、混雑回避の意を込めて次の週は休もうかなと考えていましたが、いや待てよと。もしこの土日が暇であれば、緊急事態宣言通り世間は自粛しきっていることですから、宣言中は開けても意味が無いからそれはそれで休むのか?みたいな混乱をしています。

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