それは階段なのか
雑記

19.12.11

店をはじめて分かりました。一番多い会話の端緒は、ここ始めてどれくらい?かもしれません。例えば、ちょめちょめ原子がちょめちょめ回振動したくらいですとか。それは伸びたり縮んだりして、流れの最中では人生の全体で長く苦しく、いま岸から上がって眺めてみると、それは人生の一部であり一瞬でしたなぁはっはっはっ、みたいな仙人的な返事をするでも無く、それらを妄想に留めて普通に返事します。その私の返答に対して、さらに何かがあった試しがない、相手が腑に落ちた感じとか、納得の相槌とか、若造が所詮そんなもんかとか、それらが無いです。虚無ないし、ふぅ〜んという空気が流れるこの感じは、今日も良い天気ですね、今日も寒いですね、に近いものを感じます。そういうジャブみたいなものだろうと、いまは思っています。

でも、この問いは、個人の心の中で時間をかけて転がすにはもってこいの題材だったりします。店を始めて、そろそろ通算4年になりますが、眼鏡士になったのはいつからだったかなと。例えばこんな風に問いを変化させます。同じようなことを言っているようで、微妙に違います。要は、眼鏡屋を始めたら眼鏡士に自動的になるのかならないのか?そこは本当に不可分なのか?眼鏡士とはなんぞや?資格のことか?とかとか。

そこでウィトゲンシュタインが要るわけです。言語ゲームとか、映画の中でも「ふるまいの一致」というキーワードが出ていたはずです。いまの流れを受けると、一体いつから眼鏡士としてふるまうようになったのか?みたいな話です。そもそも眼鏡士のふるまいとは何か?も含まれます。

私個人で言えば、子どもが先日生まれ、皆からお父さんになった実感は?とめちゃくちゃ聞かれますが、子どもが産まれてすぐで父としてのふるまいをした記憶も無いですし、そもそも父としてのふるまいって何だ??みたいなところがやはり未着手ですから、基本は「無い」と即答しています。すると、こいつには人の魂が無いんだな…と思われていそうな気配がいつもするんですけど、そういう、要らん逡巡があるんですよ。嬉しいかどうかで聞いてくれたら、嬉しいで返事出来るのに、みな、なぜ。

少しのらりくらりしましたが、とても大事なことのように思えます。アパレル業界からついに、メガネ店が生まれましたよね。別にそれがどうのこうのは興味が無いんですけど、自分のポジションを確認する機会ではありますからね。

快適なパイナップル
雑記

19.12.10

タイトルで気になったら、観てみてもいいかもしれません。ブルバキもそろそろだなと思ったときは、見ない方がいいでしょうね。

久々に、インスタでカルチャーいいね!が欲しいなあと思いまして、真面目に紹介しても何だし、ややくだけた紹介で載せてみました。結果は、全然よくないね!でした。眼鏡よりもいいね!が少ないです。珍しい。賢そうなカテゴリーのものは、大体無批判的にいいね!が押される傾向にあったのですが、もしかインスタの世界も倦怠感から変化のうねりが生まれようとしているのかもしれませんね。それか、ひょっとしたら本当に洋物のavと思われたかもしれないですね…。まあ、上半身裸だし。一人で見た方が良いのは間違いないんですけど。

これ1本で70分くらいかな、大まかなウィトゲンシュタイン年表が頭に入るので、良い映画でした。

なんとか形には出来ました
修理とメンテ

19.12.10

テンプルの磨きも終わりました。パッと見た予想以上に、クラックは深く、広範囲に及んでいましたね。取り敢えず、思い切って全体を棒ヤスリで慣らしてから、ツヤを出す為の磨きに取りかかりました。

大分やせ細ってしまいました。金具と合わせると、段差が出来てしまいます。さらに、シューティングの芯が、薄っすら見える箇所もあります。今回の救済で最後でしょうね。もう、削る余白は残ってなさそうです。

あれこれやってみて、バフに負けてすぐ生地が溶けるとかはありませんでした。水につけるとネチョネチョするとか。中身は丈夫でした。あと5年くらいいけそうですね。

そういえばの話
修理とメンテ

19.12.08

空き時間でぼちぼち作業中です。大体10年くらい使ったメガネのレストアです。

表面の白化なら序の口なんですけど、細かいひび割れが全面にありまして、そうとう時間をくってます。冒頭の写真は、とりあえずフロントだけ終わりましたの画像報告です。

ここからが、そういえばの話なんですけど、多分メガネだけじゃ無いかな、職人物が使い捨てなの。職人物がすぐ、フルモデルチェンジしちゃうの。今回、それは構造からも言えて、セルを固定する部分がネジでは無くて、はめ殺しでした。取り外し不可で、例えば黒のセル部分だけを取り換えるという思想がフレームに宿っていないことを意味します。それでめちゃくちゃ時間かかりました。でも、それで磨けないというのも癪なので、何とかしました。

もともと、メタルの部分はシャーリング加工がしてあったんですけど、セルを磨く時に一緒にツルっとしちゃいました。やろうと思えば、ここから番手の高いヤスリで表面をなぞると、ある程度マットな質感が戻るはずです。セルのところどころに、バフが入りきらずに完璧にピカピカに出来なかった箇所があります。その為、ややムラがあるので、メタル部分はピカピカで清潔感あっても良いのかなと思って、磨いたままにしています。

今週で、テンプルを磨ききる予定です。

鼻盛り
修理とメンテ

19.12.08

エフェクターの鼻盛り。触ってみて、改めて随所に気の利いた意匠が施されたフレームだなと感じました。フィッティングがめちゃくちゃ難しいんですけど、手を加えれば、しっかりと下がらず掛けられます。

鼻側の溝に汚れが溜まっているなと思っていたのが、実際は溝セルでした。つまり、サイズが緩くてレンズがガタついたので、専用の両面テープで埋める処置がされていたということです。

個人的には溝セルは極力回避したい派です。なぜ耳側では無くて、両眼とも目立つ鼻側にテープを貼ったのか分かりかねますが、除去しました。写真は鼻盛り後、テープ除去後です。

ちなみに、レンズがガタつくということは、おそらくレンズサイズを-0.10ミリ程度小さくし過ぎたという話なんですけど、それくらいならフレームを縮めれば済みます。

完成はこんな感じでした
雑記

19.12.08

金無垢のツーポイント、仕上がりました。それにしても堅かったです。曲がらないので、調子とるのに苦労しました。これくらいの時代になると、曲がったり破損といったあれこれを気にせず、ガシガシ使えそうです。

日曜日15時オープン
営業案内

19.12.07

例によって、検眼で籠っています。15時ごろ、一般開放します。

銀無垢はまだです。もうしばらくお待ちください。

金曜日休みます
営業案内

19.12.06

体調不良のため、今日は休みます。

明日は、昼くらいから健康診断のため、14時にあけます。

素材と形状
雑記

19.12.02

本鼈甲です。上が上トロ甲で、下が白甲です。鼈甲は、柄が曖昧になればなるほど良いとされるので、それってフランスのヴィンテージみたいですね、このケースでは特に下の白甲が強いです。これがオール白だとどうでしょうか。まず3桁は越えますかね。これはそこまでいかないんでしょうけど、ワナワナ震えるような、どえらい物です。

唯一、強いて言うならの抜け感演出ポイントは、蝶番がSPMということでしょう。個人的には、金無垢よりも堅牢ですし、金無垢みたいに透き通っていますから、遜色なく、ピリッとしていると、抜け感無しと感じます。けど、おそらくこのパターンの基本は、金無垢の蝶番な気がしますので抜け感として、書き留めておきます。

鼈甲と言えども様々で、透かしてよーーーく見てみると、柄が途切れていたり、連続かつ滑らかではない部分があったりするもんです。パーツを少しずつ切り出して、最後に圧着させて1本を作りますし。

柄が続いているので、大きい部分から贅沢に切りだしていそうです。バラフとトロ甲の作り方が違うのかもしれません。それは、これを観察することで初めて認識しました。

調光のブラウンのレンズを入れました。迷った挙句、プラの調光です。まだどっかのメーカーで、ガラス調光の度付き出来るはずなんですけど、やっぱり枠入れが怖くてやめました。

鼻パッド無いんです。白甲で盛ると、いくらなんでしょうね。怖いです。

ただし、素材の持ち味を加味して考えることが大事です。鼈甲は、クスんでくるのを磨きながら使っていき、光沢を維持するとか、柄が良く見えるようにとか、あれこれあって大体太いフレームが世に出回ります。しかも、プラスチックの1/3くらいの重さなので、テンプルを太くしても平気とか、接地面を広くすることで摩擦がより生まれるとか、美観もフィッティングもフレームの維持も考えて、恐らく太いです。太さにものすごく意味が詰まっています。

そして、使い込むと分かりますが、亀の成長とともに大きくなった甲羅の層が表面に浮き出てきますが、それがプラスチックには無い、強烈な摩擦を生みます。ですから、通常のプラやメタルのときのフィッティングで重視される、テンプルの鮮明な曲げ点が無くても、止まります。鼻パッド無しでかけてみましたが、鼻の部分にドシッと乗っていない、浮きかかって鼻をかすめる感じがします。1日使用しても、赤く鬱血することはありませんでした。

そういう時代だったということもあるんでしょうけど、ウェリントンが多いのも、何となくフィッティングをすると分かります。例えば現在であれば、ボストン型なら良いのになぁと、まず言われると、予想がつきます。蝶番の位置、つまりフロントの全幅を稼ごうと思うと、ウェリントンの方がデザインしやすいでしょうね。これも、ボクシングで48□22.5でフロント全幅が140ミリちょっとです。わりと全幅が稼げていますから、蝶番の開きも少なく済み、フレームが顔を包み込むようにフィッティングさせることが可能です。

銀にしてもSPMにしても、素材によって実現不可能なデザインや構造があって、それが興味をそそったり、逆にもどかしかったりします。そして、まさに「していい」と「許される」の違いなんですけど、特に許されるとして、何かでカバー出来るのか?というのは凄く考えるようになりました。

ちなみに、「していい」のときは、私はしないです。それをしなかった先人の選択を尊重します。きっと私よりも先に試したはずなので。そして、遺っていないことを重んじます。

鼈甲は、より素材がもたらすデザインの制約が多そうですね。制約が多いほど、デザインは難しく研ぎ澄まされるはずなので、面白いなと体感しながら、しばらく使ってみようと思っています。

時価
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.11.29

金無垢フレームはお持ち込み、鼻パッドをこちらで取り寄せて交換しました。やはり今は、金がめっちゃくっちゃ高いので、フレームの需要が少ないのでしょうか?オプションパーツ的な無垢パッドも似たように出荷は少なめで、久しく作っていないとのことでした。取り寄せるのにあれこれ苦労しました。泣きの一回と、一生のお願いを組み合わせて、そこを何とかと頼みこみました。この前のK14のホワイトのときは、偶然ストックがあったということみたいです。

保護テープとる前、調子とる前です。

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