つい勢いで。1日で6回もにょっとしちゃいました。特に1冊目と2冊目、あとがきが良かった。
よく、初めて来ていただいたお客さんに、ヴィンテージ眼鏡について勉強不足で云々と言われます。そういう店が多いんですかね。ブルバキ的には、無い方が歓迎ですよ。
何となくですけど、ワオが消失する方向の知識が巷には溢れているので、多分あたまに詰めない方が幸せだと思います。にょ×6から、そういう近さを感じました。勘違いかも。
19.07.29
つい勢いで。1日で6回もにょっとしちゃいました。特に1冊目と2冊目、あとがきが良かった。
よく、初めて来ていただいたお客さんに、ヴィンテージ眼鏡について勉強不足で云々と言われます。そういう店が多いんですかね。ブルバキ的には、無い方が歓迎ですよ。
何となくですけど、ワオが消失する方向の知識が巷には溢れているので、多分あたまに詰めない方が幸せだと思います。にょ×6から、そういう近さを感じました。勘違いかも。
19.07.24
アマゾンのサジェスト機能は、欲しがる私に、気づいていない角度から更に欲しがらせるので困ります。
わりと川上未映子さんの本は読んでいたつもりでしたが、対談集が出てたみたいで。アマゾンにサジェストしてもらいました。川上未映子さんに限らず小説家さんは、対談が上手なイメージです。NHKの番組《達人達》も、一方が小説家さんの回は、大体深掘りがスイスイで面白い回が多い気がします。
この本も面白いです。編集も素晴らしいのか、一個ずつは短いですけど、物足りなさ無く、直ぐに対話が沸騰している感じがします。読み始めて4秒で深い部分に届く感じです。
個人的なハイライトは穂村弘さんの語りの部分、119ページかと。
『…僕たちが食事をするように、あるいは楽しみで何かのメディアに触れるように、表現されているものを見たときに感じる共感的な意味での感動の精度はとても低くて、自分に関係あることがそこで行われていれば人は感動するよ。だけど、その精度や価値を疑うこともやっぱり必要で。みんなが追い詰められて打ちひしがれている今みたいな世界だったら、「君はそのままでいいんだよ。頑張っているよ」と言われただけで、人は感動するわけだよね。それは嘘じゃないけど、でも表現の価値はそれだけじゃない。共感による感動とは逆のものの価値をもっとアナウンスするべき。でも今はそういうものにはみんな非常に冷淡でしょう。わからないことが書かれていれば、それは勉強しろという意味ではなくて、その垂直性には切実な価値があるんだというアナウンスがされないと。」(六つの星星 川上未映子対話集 川上未映子著 文藝春秋 2010年 引用は‘世界はコトバで満ちている 穂村弘’ページ119・120より)
私がこの箇所に感動したということは、これを借りれば精度が低いと言いますか、ブルバキの在り方に直結する話なのでそりゃ共感して当然でしょうね、ということなんでしょうけどね。ブルバキを始めた理由にもかかわることでして、上手く言葉に出来なかったところが、こうも簡単に1ページいかないくらいでスパッと表現されていると凄いなと。そして、そのアナウンスが難しくて3年間ずっと悶えておるわけです。
19.07.24
デニーロの映画の方です。あのサングラスについて。特に形状について実験してみます。
イージーライダーとタクシードライバーは、今もサングラスの問い合わせが多いので、さすがに見とかないとそれはヴィンテージ眼鏡屋としていかんなぁという動機で見ました。ともに面白いです。あとは、タクシードライバーでいえば、M-65の着方とかアルミジップって良いよね的な方面も面白かったりします。
それで、冒頭のアレになるわけです。普段は積極的に扱っていないアメリカンヴィンテージの、ランドルフのフレームです。ちなみに積極性が無いのは、他がやっているのと、店頭に出した時の価格のバランスと、あとはこれが一番だと思うんですけど、これまでのカッコいいの蓄積がありすぎて新規参入のブルバキがいまさら言わなくても…というところです。ブルバキで付け足せるカッコいいの余地が無かったです。
とか言いつつですね、訳あって手元にランドルフがあります。ちなみに、デニーロはランドルフなのかAOなのか論争等々あると思うんですけど、そこには触れません。今回考察したいのは、形状です。
ランドルフだろうが、AOだろうが、レイバンだろうが、ジェネラルだろうが、比べてみてもさほど変わらず、上のようなツーブリッジです。注目したいのは、レンズとブリッジの関係で、レンズは耳側に釣り上がり、上段ブリッジは水平かやや反り上がっています。
検索で「タクシードライバー サングラス」とか「タクシードライバー デニーロ」で調べると、モヒカンにしてサングラスを掛けたデニーロが画像で出てきます。それを詳しく見ますと、レンズ耳側が水平もしくは垂れ気味で、上段ブリッジはやや膨れ上がってアーチを描いているように見えます。角度によってそれぞれの具合が変わってきますが、やはり全体の雰囲気はティアドロップのような、程よく垂れ目のように見えます。
さらにその周辺を調べますと、曲げてフレームにオリジナリティの味付けをした説が出てきます。たしかに、私より上の世代になりますと、フレームをわざと怒らせたり(ツリ目にさせる)泣かせたり(ティアドロップぽく垂れ目に)して、改造する方もいらっしゃいます。セルフレームは基本、全部怒らせちゃうみたいな。デニーロがそうしたかどうかは不明ですが、真正面を捉えた写真を見ますと、下段ブリッジが斜めにひしゃげており、味付けというよりキャっ!と尻で軽く踏んだ的な、ハズキなら防げたであろう単なる歪みというだけの話かもしれません。
そんな話をしていましたら、おそらく80年代のランドルフが貰えました。レンズサイズが57ミリだからだと思います。ブルバキに期待されていることはただ一つ、眼鏡屋として綺麗に、下段のブリッジを歪めず垂れ目の味付けが出来るかどうかです。改造しろと、誰も居ないのに聞こえるわけです。デニーロに近づくには、おそらく味付けが不可欠です。
結果を先に貼っておきます。出来ました。コツとしては、レンズを掴んでそのまま曲げるとロー離れ、または下段ブリッジの型崩れを起こしますから、レンズを外して行うことです。
変更の順番としては、①下段ブリッジの横の開きを2度ずつくらい閉じる②上段ブリッジを真ん中で摘んで引っ張り、アーチを整える③リムの形が①と②の影響で崩れている為、ある程度整える、です。③に関しては、そもそもアメリカのフレームは左右非対称なことが多いので、神経質になる必要も無いです。大体で良いでしょう。ちょっと気合い入れ過ぎて、垂れ目にし過ぎました。
ただ、それによる代償もありまして、レンズがリムに沿わなくなります。周径が一緒なので嵌らなくなることはありませんが、微妙にフカフカ浮きます。面取りとコバ磨きをしっかりして、欠けが生じないような配慮は欠かせません。
外れることはなさそうなので、レンズはとりあえずそのまま。グレーが入っているので、G15のガラスに替える際にキッチリしたレンズにし直せば良いでしょう。
雰囲気は、中々近いのでは無いでしょうか。腕組んでニヤニヤしたい感じのサングラスになりました。
19.07.23
フォックスフレームまでいくと、マリリンモンロー的なセクシーさが付加しすぎるのでNGというのであれば、これくらいの程よい小悪魔さ、可愛らしさのフレームならいいかもしれません。
男性もいけるのかも。ダブルのスーツとかに良さそう。あまりにもサーモントフレームの紹介が続いたので載せます。
19.07.23
いざ目にすると色々考えてしまうことがありまして、しまった23日が発売日で発売日の昼に買い来てるということはめちゃくちゃ発売日が待ち遠しくて前のめりな奴じゃんとか、そこを恥ずかしがらなくてもいいような社会が出来ると良いね的なメッセージを彼女らはこの雑誌でも発信しているわけなので、買うのを恥ずかしがらずに漢ブルバキの意気地をいまこそ発揮しないと逆に恥ずかしいとか、割と店内で逡巡しました。結局、ブルータスとセットで買うことでインテリジェンスを足してみたんですけど、改めて机に並べてみると、それこそそういう小賢しさが一番ダサかったのかもしれませんね。
そんな31歳の夏のスタートです。サングラスをかけて自転車で通勤するだけで楽しかったです。何なんでしょうね、この夏の日差しのアクティブさは。
19.07.22
トップの画像のフレーム、めちゃくちゃカワイイんです。小ぶりで色も形も良いです。なんかエロい表現になりました。小説を読みすぎたのかもしれません。珍しいオーバルのサーモントです。FPD66です。レンズ50ミリとなると、ブリッジが狭いので、おそらく女性用です。
かわいらしいし、雰囲気も良くて披露したいのは山々でしたが、一切の情報が無く、半年ほど値付け出来ずキープしていました。金の光沢とフレームのくすみ具合から、おそらく金張だと推測はしていました。ただ、もしメッキだったときに、値段を多く取りすぎてしまうケースが生じてしまい、それはイカンなという考えがありましたので、引っ込めていました。明朗会計のブルバキです。
情報が一切無いと書きましたが、実際はブリッジに刻印があります。
写真だと分かりにくいですが、実物は深く綺麗に、丸に文のマークが刻印されています。先ほどの一覧、上から二つ目に「石福金属興業株式会社」の金張商標と記載があります。そうなんです、これが鍵だったんです。古のフレームメーカーかと勘違いしていました。
さすがに、これには日本の美学が詰め込まれすぎて驚きました。わびさび過ぎます。刻印の意味を知らない場合、フレームを見ただけでは、金張かどうか確信持てませんね。美学と陶酔することも無く、さすがに金張としっかり書こうよ!と、突っ込みたくなりました。それに所有欲もね、物に金張と書いてあると無いとでは違いますから、書いて欲しいですよね。
ちなみに、以下は推測です。当時、フレームは吊り下げの飾りが付けられて、店頭に並んでいることが多いです。
コレはSPMのアピール用で、こういうプラスチックの飾りがフレームに添えられています。なぜか手元に無くて残念なんですけど、一度、田中貴金属の金張と書かれた札は手にしたことがあります。記憶ではその札に、カラットと厚みが記載してあったと思います。試着の時に邪魔なので、納品時に添えられていても値札をつけるときに取っちゃうお店も多かったのだと思います。
19.07.22
たまには、ヴィンテージの裏を取る努力も頑張っていますよアピールをします。あんまりその辺を書かないので、雰囲気で適度にやっていると思われてもあれなんで。
それというのも多分、ブルバキが頑張らなくても、他の店や、はたまた個人であれこれ調べてフレームの様々を分析してブログなり何なりを書かれていると思うので、私としてはそこに時間を割くのをやめています。もはや見て分かることは、大体検索すれば詳細も分かりますからね。情報社会と呼ばれて久しくて、つまりそれは、情報に価値があるというよりも情報は減価を免れないということなんでしょうね。そんなこと考えていますと、ブログに書くことが無いなあと思いつつ、なんだかんだで3年で85×10ページも書いています。昨日はメガネだけで3件も。自分のブログのページスクロールみて、引きました。ページスクロール85は、中々気持ち悪いですね。
数学で学んだことは何だ、みたいなことをよく聞かれます。数学科卒が眼鏡屋をやっていることが不思議なんでしょうけど、それは皆んなも大体そうだと思いますよ。仕事とダイレクトに結びつくのは稀だと思われます。
そんな思いを秘めつつ、聞かれてよくお伝えするのは、立ち止まったら定義に還るということですね。これはお陰様で染み付いています。常に一本の鎖をイメージするわけです。進まないときは、その発端に戻ります。高校までの数学は、どちらかと言えば数学というよりパズルなんでしょうけど、大学はひたすらそれを言われた記憶がありまして、むしろそれしか頭に残っていないです。
ということで、暇があると我々にとっての定義的存在である、認定眼鏡士の教科書を眺めるわけなんですけど、見る度に、めっちゃ凄いことがサラサラーっと書かれていて驚きます。もちろん教科書ですから、参考文献もあげてありますし、全て裏を取っているのでしょう。
話は変わりまして、日本の古いフレームは未だ、めちゃくちゃ面白い余地が残されております。例えば40‘sフランスみたいに、年代をまるっとブランド化するということを施されていませんから、カテゴリーで検索することが難しく(例えばフレンチヴィンテージ的な)、また品名やブランド名が80年代に入るまで記載されていないことも多々で、特定のフレームを指して探すことが困難です。つまり偶然出くわす、たまたま掘り出すという楽しみがまだまだ残されています。
その時に、写真のアレが活躍してくれるわけです。
19.07.21
最後もフランスのサーモントです。エッセル製です。エッセルは、ナイロールフレームの祖ですから、厳つさが売りのサーモントだろうが、問答無用でナイロールで軽やかにしてしまう感じが最高です。おそらく店頭出しの時にレンズサイズを変更しており、表記53ミリで55ミリのレンズが入っていました。しかもガラス。危ないのでプラスチックにて入れ替え済みです。レンズ縁が智と干渉するので、サイズは53ミリに戻しました。
レンズはもちろん鏡面仕上げです。実はこれ、2年ほど前にドイツから仕入れたことがありました。セルは色違いです。個人的には日本でも仕入れしていたのかと、当時の日本の感覚の豊かさに驚いた次第です。ローデンストックが強かった時代に、対抗馬でこれをあてるかと。サーモントという土俵は同じなんですけど、それぞれの個性が真逆でいい時代だなぁと感じます。
昨今、よく訊ねられるクリアーのセルフレームに通ずる軽快なポップさが微かにあります。
19.07.21
引き続き。昨日、謎のサーバーのアレコレでアップ出来なかったので、時間の許す限り載せます。
フランスのサーモントです。フランスのサーモントは、実に良いですよ。何だかんだでエレガントなんです。眉毛フレームなんですけど、野暮ったさや粗野な感じが控え目なんです。サーモントといえば、やはりドイツフレームの方が今も人気でしょう。眉毛フレームがそもそも孕む厳ついデザインに対して、ドイツらしい堅牢な作りから醸し出される何かしらがマッチして、当時も売れたんだと思います。フランスのサーモントは出てくる数も少ない気がしています。要は、中途半端だったんでしょうね。ここが大事で、謂わば中途半端を愛せるかどうか、全てに共通する肝です。
これの見所も多いんですけど、一番は眉パーツを止める構造でしょうか。
画像奥、眉パーツを上から抑える謎の金属パーツがあります。構造的な利点は、分解清掃な際に分かりませんでした。上から見て綺麗というアクセントの為だけなのかどうなのか。でも、とりあえずカッコいいので良しです。
金張の表記はフランス式です。各所で勘違いされていることですが、この表記の場合は、欧米の(1/20 12KGF)の分数と異なります。この表記は張られている金の厚みを直接示しており、20/1000ミリの厚みの金を張っているということです。つまり20ミクロンの金の厚さが台金に乗っかっています。その辺もポイント高いです。
テンプルは真ん中を膨らませて紡錘形にしています。だからなんだって言われると困るんですけど、デザインに関して全部に目が行き届いてますよというエスプリが、少なくとも伝わります。
19.07.21
イレギュラーで、日本の入荷です。主にサーモントなんですけど、すべて日本製のサーモントでは無いところが乙なんで紹介していきます。舶来物と呼んでた頃のフレームたちです。
その1、ボシュロムのサーモントです。金張り(12K 1/20)ということから、70年代中頃かなと推測が出来ます。これで3度目なんですけど、日本の在庫から、似たようにボシュロムのサーモントが出てきています。しかも、3回とも「W.GERMANY」刻印でして、70年代ごろからボシュロムがフレームの製造から手を引き始めていることが伺えます。
これの見所は、さらにあります。これは初なんですけど、おそらく、元々はレイバンのオリンピアン的な、カールトンタイプのフレームとして販売していた物を改造して、サーモントにしていることです。
眉パーツを外してみてビックリでした。みごとに普通のフレームが現れました。トップバーにプレスが入っていますし、おそらくこのまま販売していた物を、売れ行きが鈍って在庫がダブついてきたタイミングで、販売促進の為に改造したのでしょう。
裏からみると、サーモントでは珍しく、パーツがネジ一点で止めるタイプです。それでガタつくことも無いですし、ネジ二点で止めるタイプにありがちな、ネジで生地が引っ張られ、経年変化で眉パーツが割れることも無いので、むしろ優れた機構かもしれません。
トップバーの裏に、ネジ穴をロー付けしています。はみ出さないように気を利かせてありますから、眉がなくなったとしても表からは見えずに、オリンピアンとして使える訳です。
その辺の構造の面白さ、垣間見える合理性も良いですけど、物としても、デザインが良く素敵です。サーモントの要となる眉部分は、リムとトップバーを挟み込まないといけない為、厚みが出てしまいます。それに対して、眉の色を濃いクリアレッドにすることで、軽やかさと上品な感じを付加しようと試みています。それもいい感じです。