カテゴリー:修理とメンテ

箱足取り付け
修理とメンテ

19.04.23

ネイティブサンズのメガネ。ブルバキも、とうとうアパレルの流れが来はじめましたかね。初です。ウェイファーラー系なんですけど、リムの緩急のつけ方と横幅を小さくすることで、ウェイウェイ感が控えめでカッコいい感じになっています。リベットもゴツくていい感じです。

で、問題はこれを女性がつけているということです。男向けで鼻幅が21.5(ボクシング表記で0.5というのは初めてかも)、さらに腕が145ミリです。

鼻盛りのご依頼でして、プラスチックを付けようか足を付けようか迷いましたが、足にしました。

修正前です。水平になるようにテンプルを置いた時に、鼻パッドの方向が鉛直方向に向いていません。お客さんの要望の中に「フロントが重たい」というのがありました。テンプルの添わせがありませんでしたから、フィッティング不良による重量バランスの崩れも考えられます。それともう1つはこのパッドの方向です。掛けた時に鼻パッドが鉛直方向を向いていない場合、鼻で支えきれません。懐かしい、物理のモーメントが発生します。それでメガネが飛び出ます。重量バランスは一層崩れ、重みを感じる訳です。

このフレームのカッコよさは、横にも潜んでいました。テンプルの傾斜もウェイファーラーみたいにキツくかかっています。頬っぺたに触れれば化粧が落ちるので、そこも回避したいところです。そうなりますと、やはりフロントとの距離を確保しつつ、鼻パッドの方向を鉛直方向に持っていくべく箱足の装着となります。

もうちょっと鼻パッドの角度をつけてもいいかも。とりあえずほぼ鉛直方向に向きました。確かに箱足をつけますと、セルフレームのスッキリとした醍醐味が失われますが、昨今はチタンパッドがあるおかげで、さほど野暮ったくなりません。箱足の取り付けも、必要であれば積極的に施していきます。

よくある修理
修理とメンテ

19.04.19

鼻のところが、ゴキッと捥げちゃうパターンです。この手の時代のものは、全然全ての観点において最強最高でも何でも無くて、金属は柔らかくロー付け部分は弱いです。気を付けないと、こうなっちゃいます。熱処理なのか何なのか、金属の鍛え方は、今のほうが当然優れています。だからこそ、これはフルビューの保護メガネタイプでしたが、なんとか堅牢さを付加するためにリムも智も全部太くゴツくしてあって、それが現代には無いカッコ良さを秘めているという感じでしょう。

オススメ修理は、両方箱足に変える、です。どうせベークライトの鼻パッドもいつかは割れてしまいます。交換パーツを手に入れることは、まず難しいでしょう。そしてロー付け箇所が、また折れる可能性もあります。であれば、交換パーツの供給が豊富で、尚且つ折れにくい現行の箱足に変えた方が、長く付き合えると思います。

やや、刻印部分にはみ出してロー付けが。
交換後。チタンパッドがチラリしてます

古っぽさと、堅牢さが売りのフレームですから、チタンパッドは素材としては最新ですが、堅牢さを加えるにはもってこいです。色付きのパッドが差してあれば、遠目で古っぽく見えますから、これくらいで良しとしています。

顔幅
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19.04.18

未だ、ネットはすごいなと感じるタイミングがありまして、それは入店早々「鼻盛りして下さい」と伺うときです。業界用語が、さも標準語のように浸透しているのは、ちょっと考えると凄いことです。むしろフレームの方を盛っているのに、それでも鼻盛り。フレームの鼻当ての部分を盛るから鼻盛りか。

暖かくなってくると、メガネが下がる季節です。本当にややこしくて説明しにくいですが、何だかんだ鼻だけ直して、メガネが下がるのが解決出来ないことが多々です。もっと複合的です。

トップの写真は、修正後です。顔幅(業界では側頭幅)140ミリに修正しました。この修正も、腕の付け根の部分をこちょこちょ弄って曲げただけでは無くて、レンズサイズを小さくして、リムも曲げています。正確には、初期のレンズサイズが0.3ミリくらい大きく、尚且つ非球面レンズで1.5カーブくらいの割と平らなレンズをちょっと無理矢理嵌め込んだ感じでした。それに従って、フロントが開いてしまったのでしょう。解決すべく、レンズを小さくして、フレームのカーブを元に戻した感じです。

今の若いひとたちは、総じて顔が小さいです。平均でマイナス10ミリ、男の人で150ミリくらいかなと思います。今回、フレームが下がり易かったのも、耳後ろの添わせの不良で摩擦が足りずに滑り落ちるのもありますが、もう一つ原因は折角のバネが活かしきれていない状態でした。

まつ毛が当たることもあって、鼻盛りも行なっています。バフがけもして、気持ちよくリスタート出来るように準備しました。

進化
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19.04.11

トムフォードの鼻盛り(アジア用)が、さらに良くなっていました。リムのラインより内側から、鼻パッドのカーブが迫り出しているのが何となく分かりますでしょうか?段差をつけて、正面からは鼻パッド部分が迫り出しているようには見せない工夫がしてあるので、実物見ないと分かりにくいかもしれません。

ヴィンテージ眼鏡店と言いつつトムフォードをずっと見てきましたので、進化・成長を見守っている感覚が芽生えています。昔の、美宝堂のCMを見ている気分です。

平たい顔族の私でも、ガシッと顔に乗りました。


今回のご依頼は、それがゴツゴツして痛いので取るという作業です…。鼻が高くて、尚且つ目と眉毛の距離が近いから、眼鏡をかけるとリムと眉毛が重なって可笑しくないか?みたいな相談も受けましたが、それはつまりイケメンということであって可笑しくないし、皆んな羨ましいと思っていると返事をしております。お互いに無いものねだりなんだなと、改めて感じます。

リムの修正も行なっています。他所で枠入れをした物でしたが、全体の傾向としてレンズがデカイ場合が多いです。尚且つ、面取りをする店が減ってきています。そして一回り以上大きく角が立ったレンズを無理やりはめ込む際に、リム周りを浅く抉っています。フレームを温めていれば、なおさら抉れます。

写真は修正した後です。レンズ周辺に擦り傷がある場合は、枠入れで擦ってます。折角のメガネなのに美しくないので、ここに届いたものに関してはある程度直します。今回は-0.4ミリくらい調整し、面取りのあと熱を加えずに枠入れを施しました。度数も弱く薄いレンズだったので、歪みが出ていたかもしれませんね。

とりあえず滑らかに、2ミリくらい広がったと思います。

シリコン
修理とメンテ

19.03.29

向かって左です、右テンプルに被せて反対は比較の為、そのままです。もとは肌色の樹脂がコーティングしてありましたが、バリバリに劣化して剥がれ落ちてしまいましたので近い物で代用です。だいたいテンプルの径が1.2ミリ、このシリコンチューブが0.9ミリですから、ぴったりと被さります。抜け落ちません。空気をしっかり抜けばより密着して色々と安全です。

巻きつるかと思いきや、ただの長いテンプルを巻きつる風に曲げただけのタイプでした。先が尖っていますから、樹脂を捲って終わりといかず、シリコンで保護です。

本物のケーブルテンプルでも、そのまま使えばいつかは地が見えてしまいますから、早い段階で被せてもいいかもしれません。滑りにくく、やわらかいので装用感の向上も見込めます。

被せる前
被せた後

斜面に対する鼻盛り
修理とメンテ

19.03.12

色々悩みましたが、ひさびさに水平面では無いところに盛りました。貼り付けタイプという手もありましたが、幅も高さもどっちも求めたい場合でしたので、パッドも土台も切削が要るやり方で行いました。

斜面に対する鼻盛りで、全く気泡無しは初めてかも。明日以降、磨いていきます。

車で轢いたらしいです
修理とメンテ

19.02.08

バキバキで運ばれてきました。運良く?蝶番部分で折れていますから、何とかなりそうです。セルの削れはあっても、折れが無いのが奇跡です。

例によって箱バネです。バネ切れではなく、蝶番の破損ですと、箱毎交換の場合もあります。今回は、たまたま中のバネだけの除去が上手くいったので、箱はそのままです。これは外に出しています。

磨きは店で。今のところ、数々のトムフォードを磨いてきましたが、フロントの T は真鍮っぽいです。メッキもかかっていないっぽいので、今回はペーパーヤスリをかけた後でバフで艶出しです。とにかく金属パーツの削れが目立ってしょうがないので、これを綺麗にすることが大事です。

テンプルエンドにあるロゴは、大体メッキですがそれを承知で磨きました。路面がアスファルトだったのか、あまりにもテンプルエンドがセルも含めてゲジゲジなので、ロゴのメッキより全体の光沢を選び取りました。結果としては、バフだけでしたから、ギリギリメッキが残った様子です。


超特急
修理とメンテ

19.01.29

鼻盛りです。今回のトムフォードは相当慎重に鼻盛りを行わなくてはいけません。トップの画像から分かるのは、上半分がつや消しになっております。ちょっとでも何かをかすったりゴリゴリしたら終わりです。お腹が痛い…。

新品でお店でご購入、レンズを枠入れするのに1週間待ったそうですがやはり鼻が合わず、本日こちらに持ち込んで頂きました。確かに今回のフレームは、ブリッジが表記で17ミリでやや狭いとはいえ、実際は鼻骨底部付近はやはり広めのフレームです。ちなみに光学上の表記でブリッジ幅17ミリでして、それはレンズとレンズを一番近い部分で結んだ距離です。あとは、高さが無いのでまつ毛がバシバシ当たるっぽいです。

今週金曜日までということなので、特別に急ぎです。確かに、レンズ入れるのに1週間待って月曜日に受け取ったら、さて今週の土日は、それを掛けてどこに行こうか?みたいなことを私だったら考えています。ここで1週間、さらにお預けされるのは嫌だというのはとてもよく分かります。休みと自分の掛けて行きたいシチュエーションが重ならない場合もありますから。今週がたまたま一致するみたいな時がありますからね。

また、得体の知れないメガネ屋に対して、初めから終わりまで敬意を払って頂き大変恐縮だったというのも急ぐ理由です。

というわけで、つや消しのフレームで一切の小傷も許されない慎重さが要求される状況で特急です。さらにお腹が痛いです。

とりあえず接地面を準備できました。棒ヤスリで削る際は、出っ張っていて傷が入りやすいブリッジ部分をティッシュで包み、傷を回避しています。

接着剤も垂れず、無事に乗せることができました。あとは一日乾かして、ミニルーターで磨くのみです。ただ、ルーターの取り付け部分がギザギザなので、まだまだ安心出来ないです。

新作なのでしょうか。このタイプがこれからメガネがズレて下がりやすい夏に向けて、続々と来るとなると怖いですね。

押し出し
修理とメンテ

18.12.14

ネジ抜き。

買ってすぐ転んでしまい、蝶番部分で壊れたみたいです。元のお店に持っていったときに、直らないか超高いか工場が…みたいなことで濁されて、直せず温存していた様です。まあ、でも、使えないとしょうがないですしね、まずは形にしないと。ということで修理です。

蝶番コマの歪みは、折れない様にゆっくり力を加えて形を整えていきます。これは簡単なので、お客さんの前で戻してしまい、写真がありません。

写真は、ネジ抜きを行った後です。合金のネジであれば、ドリルを突っ込んで抜きますが、今回はチタンのネジでして、ドリルが全然進んで行きません。固い。ということで、ニードルで押し出します。ニードルの先がネジの真ん中を外すと、力を強めたときに蝶番がはち切れるので、そこだけ注意です。

上のゴマ粒みたいなものが、折れて詰まっていたネジです。無事に直りました。フレーム捨てなくて良かったですね。

ご連絡ください
修理とメンテ

18.11.30

バネ蝶番の修理から戻ってきました。今回はネジ穴が切れていますから、箱ごと交換です。かなりの大仕事だったと思います。

熱を加えたり、カッターの刃を長い時間当てすぎると、熱で周囲のセルが融けるはずです。それをせずにバネの箱だけを綺麗に取り除き、新しい箱を取り付けております。セルの磨きはこちらで行なっています。

これから鼻盛りと、レンズの交換の予定です。

そして、やはり電話が1コールで切れます。繋がりません。見ていたら連絡ください。その後に、上記の行程を進めます。

よろしくお願い致します。

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