カテゴリー:修理とメンテ

開かないときは
修理とメンテ

18.09.21

お持ち込みのメガネ。先頭の写真は、度付きのレンズを嵌め込んだ後です。プラスチックの球面、ハードコートです。

購入した段階では、ガラスのノンコートが入っていました。この後、割って取り外しております。

ネジで開閉するタイプでは無いです。リムを智で挟み込んで、最後にテンプルをピンで止めています。これも、はめ殺しタイプの仲間と言っていいでしょうね。不可逆なタイプです。

ネットで購入された際には、観音開きにしてテンプルを引っ張って抜くと、レンズが交換出来るような但し書きがあり、それを信じて購入されたようです。そりゃ書いてあれば信じますよね。

そもそも観音開きに出来ませんし、リムを止める部分と智のテンプル可動部は依存していません。観音開きに出来るようにしたところでそれは、観音開きに出来るようになっただけであり、それ以上でもそれ以下でもありません。パタッと、180度開脚したメガネが、ただ眼前で寝そべるだけでしょうね。

この構造のフレームにおいては、リムを開かないのが鉄則です。例えば、ピンを切り取りテンプルを外します。そして最後、智を無理やりヤットコ等で開き、レンズを外そうとしますと、本来は開閉を想定していない為、素材がそれに準じておらず、ベリッと嫌な音がして折れることが想定されます。それか上手く開けたとしても、再び智を閉じた際にベリッと折れることがあります。

あれこれ分析したところで、手を動かします。壊れても良いと了承して下さる場合、リムが開かなくてもレンズを入れます。メタルフレームでも。よっぽど大丈夫ですが、本来とは違った力を加えざるを得ませんので、そこだけ許して下さい。あとは、プラスチックレンズのみ可能です。

丸いレンズはやや難しいです。加工機の最小の刻みが0.05ミリですが、そのレンズサイズの読み違いでガタついたりレンズが回り始めます。

ただし、今回は写真の通り、小さな栗みたいな出っ張りがあります。ある程度小さくしても、それがストッパーとなりレンズが回らない為、乱視の軸がズレることがありません。おかげでサイズのシビアさは、さほどありません。

レンズを削った後です。同様に、栗の様な突起は残しております。

枠入れ後です。多少コツが要りますが、大したアレでは無いです。レンズ前面の面取りを、円みを意識しながら多少施すだけで、栗みたいな出っ張りは分かりにくくなります。

使えるようになって何よりです。何だかんだ私も、リム切れしなくてホッとしています。

そもそも初めからレンズが入っている場合は、どうせ交換しないと使えない訳ですし、そこまで書いてあるのであれば、その方法で送るときに外しといてって話ですよね。それか、取ったバージョンの写真を掲載するとか。こう言うケースがあるのかと、私も勉強になりました。

骨折
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18.09.07

取り敢えず、レーザー溶接の為に工場に送りました。まさかのニコルの両腕の骨折。人間だとすると失神レベルの痛さでしょう。当時のニコルのフレームは、相当腕が硬いはずですが見事に根元からポッキリです。

鼻パッドは、なんとか元のポジションに戻せました。戻す過程で金属疲労で折れた場合は、ここもレーザー溶接になります。おそらくバランスを取る為に両鼻の付け替えでしょうね。最悪の事態は避けています。

どれくらい綺麗に戻るのか、何だかんだ楽しみです。ただ、諸事情で再メッキはしないので、瘢痕はあるはずです。

全メッキ
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18.08.29

ボシュロムレイバン、ラージメタルの全メッキです。親父のレイバンを使いたいというご依頼でした。

はじめはこんな感じでした。レンズの調光機能が止まっています。いい具合に茶色の濃すぎず薄すぎずで固定されているので、これはこれで良い感じです。ちなみに調光レンズは、寿命があります。

メッキ工場に出す前です。テンプルの緑青とデコボコが気になるので、実際にはこちらで削りと磨きを施し、ある程度ツルツルの状態で送っています。

再メッキ後。鼻パッド、先セル共に非純正ですが交換しております。金色は、やや黄色味が弱いかもです。お陰で威圧感が少なく掛けやすそうです。流石に全く一緒に戻すことは難しいでしょうね。

レンズのサイズ調整と面取り、コバ磨きして終わりです。

特殊な事例
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18.08.28

鼻盛り。O.P.です。

まつ毛が当たるとのことでしたので、高さの出るもので盛ってみました。上の麿みたいな金属は、元々の鼻パッドの足です。

切り取りました。外すと穴がぽっかり空いてしまいますから、根元は残しました。

このメタル足は、鼻パッドの高さ変更の幅がそこまで無いタイプです。取り付けてある抱きかかえのパッドは、見た目はクラシックで良いです。ただし、シリコンに変えるなどパッドの素材や圧を分散させるためにパッド面を変える手立てがあまり無いです。箱蝶なら沢山手数はあります。

今回はs-6.00くらいの強度数でレンズが重めなので、がっしりした土台を作るために、セル片でしっかりと鼻盛りをしました。裏からの見た目は犠牲にしましたが、逆に正面からの見た目はスッキリセル枠風になりますから、綺麗だと思います。

 

もともとのご相談はフィッティングがどうしても上手くいかないというご相談でした。今回、特に気を張っているのは、「フィッティングが合わなくて、頭が痛い、肩がこる」という問い合わせがあったからです。

度数を調べますと、

R:s-5.50 c-1.00 ax180

L:s-6.75 c-1.50 ax180

です。球面値が-1.25の違いなので、不同視では無いと安心していたらダメなタイプです。上下に関しては-1.75の開きがあります。また、光学中心に印点を打ち、顔に掛けてもらったところ、光学中心は下眼瞼やや上に掛かるところにありました。そうしますと、それは瞳孔の中心からおよそ6ミリ下に光学中心があることになります。この時、両目の高さが同じだと仮定して(本来はここを考慮して、レンズの高さを変えてある事が望ましいです)、遠方視で発生する上下プリズム量をざっくり考えてみますと、およそ1.1△です。常用視線で0.5△です。人間が違和感を覚えない上下プリズム量は0.5△くらいまでと言われています。計算上も、メガネが原因で頭痛がするということが値として示されました。

買ったばっかりで使えないのでは残念ですから、取り敢えずやれるだけやってみた感じです。一般的に、そもそも多くのお客さんにとって眼鏡屋に行く事が楽しいイベントでは無い以上、頭が痛くなる等々の訴えは、基本は真実です。修正は頼みにくいし、出来たら行きたく無いですし、行ってもササっと終わらせたい場合が殆どでしょうから、わざわざ事を大きくするという事は考えにくいです。ですから、まずは主訴からスタートして、それを分析し、分析に対して具体的にアプローチするということが必要になってきます。

最近は、ヴィンテージのメガネよりも現代のメガネに触れています。悩みです。

交換
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18.08.21

お持ち込み。たまに、他所で鼻盛りをしてあるフレームに遭遇しますが、鼻盛り過ぎのときもありまして、それの交換です。

ブリッジ幅が狭いですし、男の人がかける予定なので、コンパクトにしました。流石に圧迫して痛そうでした。ついでに、流石にこれでは気泡が多いので、それも綺麗にする算段です。

 

良くなったと思います。モスコットのボストンですが、リベットがダルマ型でカワイイです。記憶ではMay Opticalのボストンに似ていていい感じです。

本当に、8月は鼻盛って終わりそうです。

レンズ交換
修理とメンテ

18.08.21

サイドガード付きです。この構造のメガネのレンズ交換は、今回で2回目です。

フードは、薬研に沿うようなレールが付いており、レンズと一緒に挟み込んで固定します。位置がすぐズレるので、結構手間です。今回もそうでしたがリムが歪んでいると、カーブが合わさらない為レールが沿わず、より位置がズレます。それも直しています。

レンズサイズもキッチリ合わせました。そもそもこの時代のことを考えますと、加工機は無く、手でレンズを削っていたはずです。精度が出ていなくて、智に隙間が空いていても普通だと思います。折角ですから、交換ついでに綺麗にしました。

 

クリアのセル
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18.08.21

お持ち込み、鼻盛りしました。今年の夏は特に暑いので、汗をよくかき、メガネが下がりやすいのでしょうね。7月8月と鼻盛り依頼が尋常では無いです。

何でもかんでも改造する訳ではなくて、ブリッジ幅との兼ね合いで決定します。そもそもテンプルの開きが甘くて、ブリッジや鼻の部分に問題がない場合もあります。要は、フィッティングのみで解決できることも多々です。

今回は、ブリッジ狭めのラウンドフレームでした。元々鼻盛りが無いタイプで、鼻が当たる部分が尖っており痕が残るとのこと。ストレートテンプルで掛け位置も安定しづらいので、やや特例気味に鼻盛りしました。

クリアは粗が分かりやすいので、より一層丁寧に仕上げていきます。

クリアのラウンドに、濃いグレーの組み合わせがカッコいいですね。ジュニアゴルチエを掛けていた、映画のレオン感があります。

レスカ
修理とメンテ

18.08.11

レスカの鼻盛り。久々です。まだ磨く前です、溶かして乗せただけの状態です。

鼻幅が広過ぎて、手を加えないと流石に掛けられないタイプです。側頭幅も相当狭く何も施さなければ、常に眼鏡が前に飛び出た状態になります。その状態で、相手側にレスカという認識があれば、もしくはクラウンパントというフレームの形がカッコいいと予備知識があれば、オシャレという印象を与えられそうです。ただ、何も事前知識がない方が掛けた姿を見たときに、デザインがどうのこうの似合う似合わない以前に、ただただ眼鏡が小さくてキツそうとだけ思われてしまいそうで、それは色々と不幸です。ですから鼻パッドがオリジナル云々は議論せずに、まず鼻盛りをオススメしています。その後適切なフィッティングを行い、眼鏡を正しい位置に持っていけば、メガネが何だかキツそうと心の中で一蹴されることも減りそうです。フィッティングのときに、テンプルの横顔への食い込みを無くすことも、ゆったり感の演出には大事ですね。

たしかに、掛けている自分が納得しているかどうかが大事ではありますが、でもどうせなら「いい眼鏡だな」と、程よく色々な人には思って頂きたいです。批判されやすい箇所は、解消出来るなら出来るだけ無くしておきたい訳です。私も、どれだけ変な眼鏡をしていても、自分以外のその他全員に理解されなくても良いとは思っておらず、そこそこ他人には刺さって欲しいなと、ボンヤリ考えています。それは貫き通せていない、そこまで心が強くないだけの話かもしれません。

職人もの
修理とメンテ

18.08.06

職人もの、K18の修理がありました。左爪の破損です。

工業製品としての無垢フレームか、職人ものの無垢フレームかは、見たら直ぐに分かります。どちらが良いかということは一概には言えませんが、それぞれに追求するところが違う気がします。

リムネジも同時に交換して頂きました。言われなければ、ほぼ、修理したとは分からないと思います。

ブリッジの造りが、初めて見るパターンでした。一筆書きのような造りです。

個人的には、同じような経験がありまして、特に無垢モノのメガネは、ネジの造りが大事だなと感じています。一回経験して、冷や汗かくと分かります。

ぬるぬる
修理とメンテ

18.07.29

お持ち込み。フロントの木目が美しいフレームです。

フロントとテンプルの合わせがキレイです。

中古品でして、軽く水研ぎすると、表面がぬるぬるする状態でした。爪でこすると、ボソボソ剥がれ落ちます。例えデッドストックでも、物によっては起こりうることですから、怖いところです。とりあえず表面がダメになっている証拠です。というわけで、トップの画像は、ヤスリを入れて全磨きした後です。ぬるぬるの除去に成功するとあのようになります。ぼちぼち進めて、結局1ヶ月くらい掛かってしまっています。

はじめの状態です。水に浸けて爪で引っ掻くと、跡が残ります。特有の酸っぱい臭いは出てないですが、表面は確実に劣化している様子です。

棒ヤスリでザックリ削り落としました。元々のテンプルと比較です。やや細くなりますが、分からない程度だと思います。ぬるぬるが止まりましたので、内部は生きていると判断しました。

鼻の部分もぬるぬるが止まりません。いずれにしても、鼻盛りが必要でしたので削り落とした後、黒のチップで鼻盛りしております。

これからレンズの枠入れです。とりあえず使えそうで良かったです。

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