カテゴリー:修理とメンテ

リダン的なやつです
修理とメンテ

18.11.19

仕上がってきました。ブログ書いたような記憶もあったのですが、直近で見当たらないので、また書きます。なので、私としましては、それなりに新鮮な心持ちで書いています。

EYE VAN です。あのアイヴァンです。今のアイヴァンからは想像が出来ないのではなくて、今のアイヴァンが当時の意匠を忠実に汲んでいないということかもしれませんね。時代に添わすことは、それはそれでいいことですから。いずれにしても、凛々しくナードな雰囲気はありません。ローデンストックのカールトン、そのまんまです。そもそもカールトンは、ローデンストックのこのタイプのフレームの名称です。1メーカーの商品の名称が、フレームカテゴリーの一つを指すようになったと考えますと、相当流行ったことが伺えます。模倣したというよりは、カールトンタイプをアイヴァンのブランドで作ったという感じなんでしょう。

元々は、黒1色の2サイズ各3本ずつで、出てきました。ただ倉庫の環境と保管状況が悪く、メッキの痛み、鼻パッドの劣化と先セルの分解が進んでいました。

というわけで、先頭の写真が、再メッキして、各パーツを全て交換した状態です。せっかくなので、各サイズ1本ずつ、金と銀も作りました。まさに時計で言うところのリダンです。

普段、在庫品はそこまで手をかけることは無いです。古い、あの特有の風合いが消えてしまうのが主な理由です。基本は、再メッキせずに提供しております。

ただし今回に関しては、あまりにも初期の状態が悪いため、このような処置を施しました。また、アイヴァンのカールトンという点が面白いなと感じた点も見逃せません。ちなみに私も、はじめて知りましたが、この三色では光沢の黒が一番コストがかかります。艶ありで黒をしっかりと出すためには、下地をより一層綺麗に作ることが必要だからだそうです。勉強になりました。

ツーブリッジ、サーモント等々、70年代の雰囲気のメガネがぼちぼち注目されていますが、それならカールトンも良いです。ブリッジ部分がスッキリして掛けやすいですが、厳つい雰囲気は寧ろ強く醸し出せます。

カトラー
修理とメンテ

18.11.16

カトラーの有名なモデルが運ばれてきました。特有の鼻の作りですから、鼻盛りしないと不快でしょうね。眉間にフレームが当たりますし。

はじめはこんな感じです。

黒の鼻パッドで、元のイメージを損なわないようにしました。

写真だと分かりづらいですが、リム周りがガリガリです。レンズ枠入れ時に引っかいています。これもついでに修正です。ブリッジの逆反りも修正です。おそらく腕の開きを確保するためにブリッジから拡げたようですが、蝶番のコマから開いて、綺麗に直しています。

ちゃんと修理もしていました
修理とメンテ

18.11.16

お持ち込み、トムフォード。バネ切れと、コマ切れ、全体の白化と中々のダメージ具合です。最終的にはレンズも交換して、新品同様に戻すことを目指しています。

セルのヤスリとバフ掛けは、こちらで行いました。写真撮り忘れましたが中のセルは生きており、結構綺麗に復活しました。今は工場でバネの修理です。コマが切れていますから、箱ごと全部交換の為、中々高額になってしまいました。

というわけで、以上ご報告です。月曜日〜水曜日、朝昼夕と、どの時間帯も電話繋がりませんでしたので、ブログにて。

鼻パッド取り付け
修理とメンテ

18.11.05

セルフレームに対して鼻盛りではなくて、鼻パッドの取り付けも行えます。

はじめはこんな感じでした。セルフレームです。現行のフレームで鼻パッドをフレームと同じ生地から作っているのは、それなりに少数派だと思います。勿体ない気もしますが、1番大事にすべきことはキレイに掛けられるようにすることですから、取っちゃいます。

蝶番にワッシャーが噛ましてありました。磨耗していたので、ついでに交換です。テンプルのガタつきの原因です。

完了するとこんな感じ。チタンの鼻パッドの供給がない時は、足の取り付けを嫌がられたりしましたが、チタンパッドが手に入るようになってからは、割と仕上がりに対して迎合ムードです。何だかんだ、その辺は今の流行りに寄せています。美観だけではなくて、使用上パッドの色が変わらなく、清潔感が保てるところも良いです。

はじめまして
修理とメンテ

18.10.29

エルメネジルドゼニアのメガネのお持ち込みです。現行の品です。ブルバキへのお持ち込みは初めてですね。

鼻盛りが出来るかどうかは、色々な判断方法があったりします。一つは鼻パッドの初期の付き方で分かります。先頭の写真は初期の鼻パッドですが、実はこの時点で、おそらく鼻盛り可能と即座に判断しています。流石にお客さんのメガネなので、他にも裏をとってから作業には移ります。

とりあえず、乗せて乾かし中です。土台が狭いので、これからはみ出した部分の削り落としを行います。新品のフレームは、溶剤の反応に優れています。いつもよりもピタッと乗るので調子良いです。

キズ消し
修理とメンテ

18.10.29

ご要望により、リベットは逃して磨きました。リベット付近にピンストライプみたいなキズがありまして、それを磨き取るついでに全部バフ掛けしております。

AOは少々厄介でして、レッドドットと呼ばれる機構があります。

ネジ頭が赤く染められています。このネジが特殊ではなくて、蝶番が特殊です。蝶番にシリコンチューブみたいなものがピッタリと差し込んであり、それにネジが通してあります。それの摩擦や噛み合わせのおかげで緩まない、ネジが抜けにくいというシステムです。ただし、シリコンチューブがピッタリ嵌りすぎて蝶番から抜けないため、フロントとテンプルがバラせません。いざ、磨こうと思うと、フロントとテンプルが別れない場合は、不用意に他方が伸びているため、バフの機械に巻き込みそうになります。割と厄介だったりします。

とりあえず、無事に終わりました。レンズサイズが異常に大きいので、0.4ミリくらい小さくしました。経年変化による、フレームの縮みでしょうね。パツパツでキツかったので、レンズの取り外しにも苦労しました。

BADA
修理とメンテ

18.10.17

バダの持ち込み。フラットレンズを後から入れてあったみたいですが、レンズが大きくてリムを捲ってしまっていました。レンズとフレームカーブのズレもあると思います。

テンプルを見る限り、そこそこ生地が縮んでいますので、リムが切れる前に修正出来て良かったです。最終的なたるみは、ヤスリで修正して、バフで磨きです。とりあえず、直す前の写真は撮り忘れました。

あぶ刑事モデルらしいです。掛けているのはバダらしいってのは小耳にはさんでいますが、これなんですね。バッキバキでカッコイイです。

私よりも大分若い方でした。街で会わないだけで、みんな隠れて生きていますね。

未使用でもこんな感じです
修理とメンテ

18.10.03

同一フレームの同じサイズで2本、NHSが入ってきていましたので在庫化しました。

磨きと型直しをした後と、しないそのままとを比較するとこんな感じです。流石に今回は歪みが多いので、でもレンズを削って枠入れし、レンズごと温めて型直ししております。

上に重たい何かが乗っていたのでしょうね。他のダース箱とか。割とグニャっと感強めですが直ります。

カシメの座彫無しは、やはりガタつきやすいですね。生地は縮みますから、空隙が生じやすいです。ピンのうち直しもしてあります。

それ以前に
修理とメンテ

18.09.26

トム・フォードのお持ち込み。黒とクリアの張り合わせのタイプもあるんですね。しかも、金具が全部銀色で精悍です。

鼻幅は問題なさそうでしたが、まつ毛が当たっているので鼻盛りします。メガネがズレるだけで、まつ毛が当たらないのであれば即日で解決出来たんですけどね。そればっかりは、しょうがないですね。

そもそも、鼻盛り云々の前に、枠入れのときにリムを抉っています。

リム正面向かって左下、ギザギザになっているのが分かりますでしょうか?左右とも、レンズサイズがキツかったので、擦っちゃったんでしょうね。

面取りがほぼ無いです。レンズの縁が角張っているのも原因でしょう。新品のプラスチックは、熱を加えると特に柔らかいです。

ヴィンテージ界隈においては、“レンズが枠内にぴっちり入っている感じがカッコいい”みたいな説が流れているようで、面取りをしたがらない場合もあるようです。

しない出来ない、どちらでも構いませんが、それのがカッコイイとしても、面取りを施さなくていいのは表面だけです。いずれにしても、裏面はきっちり面取りをした方が良いです。今回のようなケースもありますし、いざレンズを外すときにも互いに損傷を与えにくいです。レンズの厚みも分かりにくくなりますから、美観も良くなります。

リムも切れにくいと思います。枠入れの際、しっかりと薬研でリムとのサイズ感が確かめられるようになるので、レンズサイズの判断ミスが減るからでしょう。これは個人の実感なので多分です。

とりあえず今回は、鼻盛りの料金内でリムも綺麗にしていきます。一応メガネ業界の隅っこにいますので、私でカバーできる範囲であれば修正します。

ついにご対面
修理とメンテ

18.09.22

リガースのお持ち込み。バッファローホーンです。腕だけバッファローホーンという物は、クロムハーツ製の物を触ったことがあります。リムまで全部骨というのは初めてです。

噂どおり、硬いですね。温めても、やや柔らかくなる程度でして、収縮する感じはありません。非常に、枠入れし難い素材です。

バッファローホーンの場合は、きっちり隙間なくレンズを入れると、リムがはち切れる可能性がありますので、ややガタつく程度に仕上げております。フレームとレンズに隙間を設けてあげます。

素材が硬過ぎて、リムにカーブがほぼついていないです…。それか、マイナス(近視)の非球面しか想定していないとかでしょうね。フレームカーブが1.1、レンズはプラス度数の方なので3.7カーブです。さらに難しさが増す状況ですが、やるしかありません。度数も低く、縁厚が稼げ無い為、目一杯レンズカーブをフレームカーブに合わせて、限界の3カーブまで落とし、その後チルトで帳尻合わせをします。

機械の初期設定等々で、参考にはなりにくいですが、今回はメタルモード(±0.00ミリ)から、-0.80ミリで決着です。これで、大体2〜3度フレームの中でレンズが傾くくらいのサイズ感でした。本日は、これ一本加工するだけで集中力が切れた感じです。安堵感がドバドバ溢れてきます。

もともとはどんなレンズが入っていたかと言うと、サングラスでした。素材がアクリル系の物で非常にたわみやすいです。それを活かして後ろから押して入れている模様です。レンズカーブは4で、厚み1.8ミリです。一般に流布されているレンズでした。傷も付きやすく安価な素材ですが、手軽に嵌め込もうと考えますと、確かにアクリル系しか無いですね。

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