カテゴリー:修理とメンテ

進化
修理とメンテ

19.04.11

トムフォードの鼻盛り(アジア用)が、さらに良くなっていました。リムのラインより内側から、鼻パッドのカーブが迫り出しているのが何となく分かりますでしょうか?段差をつけて、正面からは鼻パッド部分が迫り出しているようには見せない工夫がしてあるので、実物見ないと分かりにくいかもしれません。

ヴィンテージ眼鏡店と言いつつトムフォードをずっと見てきましたので、進化・成長を見守っている感覚が芽生えています。昔の、美宝堂のCMを見ている気分です。

平たい顔族の私でも、ガシッと顔に乗りました。


今回のご依頼は、それがゴツゴツして痛いので取るという作業です…。鼻が高くて、尚且つ目と眉毛の距離が近いから、眼鏡をかけるとリムと眉毛が重なって可笑しくないか?みたいな相談も受けましたが、それはつまりイケメンということであって可笑しくないし、皆んな羨ましいと思っていると返事をしております。お互いに無いものねだりなんだなと、改めて感じます。

リムの修正も行なっています。他所で枠入れをした物でしたが、全体の傾向としてレンズがデカイ場合が多いです。尚且つ、面取りをする店が減ってきています。そして一回り以上大きく角が立ったレンズを無理やりはめ込む際に、リム周りを浅く抉っています。フレームを温めていれば、なおさら抉れます。

写真は修正した後です。レンズ周辺に擦り傷がある場合は、枠入れで擦ってます。折角のメガネなのに美しくないので、ここに届いたものに関してはある程度直します。今回は-0.4ミリくらい調整し、面取りのあと熱を加えずに枠入れを施しました。度数も弱く薄いレンズだったので、歪みが出ていたかもしれませんね。

とりあえず滑らかに、2ミリくらい広がったと思います。

シリコン
修理とメンテ

19.03.29

向かって左です、右テンプルに被せて反対は比較の為、そのままです。もとは肌色の樹脂がコーティングしてありましたが、バリバリに劣化して剥がれ落ちてしまいましたので近い物で代用です。だいたいテンプルの径が1.2ミリ、このシリコンチューブが0.9ミリですから、ぴったりと被さります。抜け落ちません。空気をしっかり抜けばより密着して色々と安全です。

巻きつるかと思いきや、ただの長いテンプルを巻きつる風に曲げただけのタイプでした。先が尖っていますから、樹脂を捲って終わりといかず、シリコンで保護です。

本物のケーブルテンプルでも、そのまま使えばいつかは地が見えてしまいますから、早い段階で被せてもいいかもしれません。滑りにくく、やわらかいので装用感の向上も見込めます。

被せる前
被せた後

斜面に対する鼻盛り
修理とメンテ

19.03.12

色々悩みましたが、ひさびさに水平面では無いところに盛りました。貼り付けタイプという手もありましたが、幅も高さもどっちも求めたい場合でしたので、パッドも土台も切削が要るやり方で行いました。

斜面に対する鼻盛りで、全く気泡無しは初めてかも。明日以降、磨いていきます。

車で轢いたらしいです
修理とメンテ

19.02.08

バキバキで運ばれてきました。運良く?蝶番部分で折れていますから、何とかなりそうです。セルの削れはあっても、折れが無いのが奇跡です。

例によって箱バネです。バネ切れではなく、蝶番の破損ですと、箱毎交換の場合もあります。今回は、たまたま中のバネだけの除去が上手くいったので、箱はそのままです。これは外に出しています。

磨きは店で。今のところ、数々のトムフォードを磨いてきましたが、フロントの T は真鍮っぽいです。メッキもかかっていないっぽいので、今回はペーパーヤスリをかけた後でバフで艶出しです。とにかく金属パーツの削れが目立ってしょうがないので、これを綺麗にすることが大事です。

テンプルエンドにあるロゴは、大体メッキですがそれを承知で磨きました。路面がアスファルトだったのか、あまりにもテンプルエンドがセルも含めてゲジゲジなので、ロゴのメッキより全体の光沢を選び取りました。結果としては、バフだけでしたから、ギリギリメッキが残った様子です。


超特急
修理とメンテ

19.01.29

鼻盛りです。今回のトムフォードは相当慎重に鼻盛りを行わなくてはいけません。トップの画像から分かるのは、上半分がつや消しになっております。ちょっとでも何かをかすったりゴリゴリしたら終わりです。お腹が痛い…。

新品でお店でご購入、レンズを枠入れするのに1週間待ったそうですがやはり鼻が合わず、本日こちらに持ち込んで頂きました。確かに今回のフレームは、ブリッジが表記で17ミリでやや狭いとはいえ、実際は鼻骨底部付近はやはり広めのフレームです。ちなみに光学上の表記でブリッジ幅17ミリでして、それはレンズとレンズを一番近い部分で結んだ距離です。あとは、高さが無いのでまつ毛がバシバシ当たるっぽいです。

今週金曜日までということなので、特別に急ぎです。確かに、レンズ入れるのに1週間待って月曜日に受け取ったら、さて今週の土日は、それを掛けてどこに行こうか?みたいなことを私だったら考えています。ここで1週間、さらにお預けされるのは嫌だというのはとてもよく分かります。休みと自分の掛けて行きたいシチュエーションが重ならない場合もありますから。今週がたまたま一致するみたいな時がありますからね。

また、得体の知れないメガネ屋に対して、初めから終わりまで敬意を払って頂き大変恐縮だったというのも急ぐ理由です。

というわけで、つや消しのフレームで一切の小傷も許されない慎重さが要求される状況で特急です。さらにお腹が痛いです。

とりあえず接地面を準備できました。棒ヤスリで削る際は、出っ張っていて傷が入りやすいブリッジ部分をティッシュで包み、傷を回避しています。

接着剤も垂れず、無事に乗せることができました。あとは一日乾かして、ミニルーターで磨くのみです。ただ、ルーターの取り付け部分がギザギザなので、まだまだ安心出来ないです。

新作なのでしょうか。このタイプがこれからメガネがズレて下がりやすい夏に向けて、続々と来るとなると怖いですね。

押し出し
修理とメンテ

18.12.14

ネジ抜き。

買ってすぐ転んでしまい、蝶番部分で壊れたみたいです。元のお店に持っていったときに、直らないか超高いか工場が…みたいなことで濁されて、直せず温存していた様です。まあ、でも、使えないとしょうがないですしね、まずは形にしないと。ということで修理です。

蝶番コマの歪みは、折れない様にゆっくり力を加えて形を整えていきます。これは簡単なので、お客さんの前で戻してしまい、写真がありません。

写真は、ネジ抜きを行った後です。合金のネジであれば、ドリルを突っ込んで抜きますが、今回はチタンのネジでして、ドリルが全然進んで行きません。固い。ということで、ニードルで押し出します。ニードルの先がネジの真ん中を外すと、力を強めたときに蝶番がはち切れるので、そこだけ注意です。

上のゴマ粒みたいなものが、折れて詰まっていたネジです。無事に直りました。フレーム捨てなくて良かったですね。

ご連絡ください
修理とメンテ

18.11.30

バネ蝶番の修理から戻ってきました。今回はネジ穴が切れていますから、箱ごと交換です。かなりの大仕事だったと思います。

熱を加えたり、カッターの刃を長い時間当てすぎると、熱で周囲のセルが融けるはずです。それをせずにバネの箱だけを綺麗に取り除き、新しい箱を取り付けております。セルの磨きはこちらで行なっています。

これから鼻盛りと、レンズの交換の予定です。

そして、やはり電話が1コールで切れます。繋がりません。見ていたら連絡ください。その後に、上記の行程を進めます。

よろしくお願い致します。

特に上手く出来た
修理とメンテ

18.11.30

相変わらず眼鏡の鼻盛りです。もはやルーチンワークです。何かしら盛っています。

特に上手く出来ました。ここ3年くらいの手法を反省して、自分の手順の中でダメっぽい癖を直したところ、途端に調子が良いです。

引っ越し云々で店をかなり休みましたが、眼鏡にとって良い側面もありました。

外蝶番
修理とメンテ

18.11.30

ボストンの、可愛らしい小粒なメガネ。蝶番金具が外付けです。それも含めて、60年代ごろと推定されるフレームです。

写真は修理後です。外付け蝶番の場合は、以前も書きましたが、緩みやすいガタつきやすいという欠点があります。また、よくあるパターンが、蝶番にホコリが入り、開閉が硬い状態で無理やりテンプルを曲げると、金具が曲がります。今みたいにステンレスではなく真鍮で、少々柔らかいのかピンが打ってある箇所から外側にかけて曲がっている場合が見受けられます。今回もそんな感じです。

とりあえず、限りなく薄くしたクリアのセル板を突っ込み、溶剤を流し込みます。

ピンを外し、金具を新しいものに変え、一回り大きいピンで打ち直す方法もあります。これは、一回り大きいというところがポイントでして、それ故に打ち直した時に穴に亀裂が入る可能性もあります。今回はそれをパスして、思いつきを試してみました。

あとは、一晩寝かせてくっついたら、腕とフロントが合わさる部分を綺麗にヤスリがけしておしまいです。割と分からないくらいまで綺麗になっています。

リダン的なやつです
修理とメンテ

18.11.19

仕上がってきました。ブログ書いたような記憶もあったのですが、直近で見当たらないので、また書きます。なので、私としましては、それなりに新鮮な心持ちで書いています。

EYE VAN です。あのアイヴァンです。今のアイヴァンからは想像が出来ないのではなくて、今のアイヴァンが当時の意匠を忠実に汲んでいないということかもしれませんね。時代に添わすことは、それはそれでいいことですから。いずれにしても、凛々しくナードな雰囲気はありません。ローデンストックのカールトン、そのまんまです。そもそもカールトンは、ローデンストックのこのタイプのフレームの名称です。1メーカーの商品の名称が、フレームカテゴリーの一つを指すようになったと考えますと、相当流行ったことが伺えます。模倣したというよりは、カールトンタイプをアイヴァンのブランドで作ったという感じなんでしょう。

元々は、黒1色の2サイズ各3本ずつで、出てきました。ただ倉庫の環境と保管状況が悪く、メッキの痛み、鼻パッドの劣化と先セルの分解が進んでいました。

というわけで、先頭の写真が、再メッキして、各パーツを全て交換した状態です。せっかくなので、各サイズ1本ずつ、金と銀も作りました。まさに時計で言うところのリダンです。

普段、在庫品はそこまで手をかけることは無いです。古い、あの特有の風合いが消えてしまうのが主な理由です。基本は、再メッキせずに提供しております。

ただし今回に関しては、あまりにも初期の状態が悪いため、このような処置を施しました。また、アイヴァンのカールトンという点が面白いなと感じた点も見逃せません。ちなみに私も、はじめて知りましたが、この三色では光沢の黒が一番コストがかかります。艶ありで黒をしっかりと出すためには、下地をより一層綺麗に作ることが必要だからだそうです。勉強になりました。

ツーブリッジ、サーモント等々、70年代の雰囲気のメガネがぼちぼち注目されていますが、それならカールトンも良いです。ブリッジ部分がスッキリして掛けやすいですが、厳つい雰囲気は寧ろ強く醸し出せます。

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