カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

ニナリッチ
ヴィンテージのメガネ

20.03.21

レンズ交換と鼻盛り。東京の古着屋で買ったとのことだったので、この辺のメガネまで提案してくれる服屋があるのは羨ましいなと思いました。

枠とレンズのグラデーションが合わさると、強烈な70年代感が生まれます。ちょうど、この前の木曜日に『幸福の黄色いハンカチ』を観まして、桃井かおりがこんな感じの四角い白枠に、スモークのグラデーションレンズでした。やや今様にするため、レンズはオールカラーの緑に変更です。

このフレームに限らずなんですけど、ニナリッチは面白くて、フレームにダイレクトに溝を掘って、そこに着色しています。テンプルの黒い線もリムの黒い線も写真だと分かりにくいですが、段差があります。

フロントから見ると、その掘りの効果は判然とします。滲んで境界がグラデーションになります。綺麗です。その効果を損なわない為にも、鼻盛りは綺麗に仕上げております。

異物感
ヴィンテージのメガネ

20.03.18

良いの来ました。顔面が要らんなあとか鬱陶しいなあってなるときにオススメです。男性はあんまり経験無いですかね?多分女性はあるはず。化粧は自分の為だけでは無くて、社会性もあって、そこが色々ややこしいよね的なことが、鷲田清一の本に度々出てきます。つまり、化粧という行為を放棄したくても出来ない状況があって、化粧込みで社会での顔が出来てしまっている場合がそれです。その、化粧込みの顔が今日は要らんなあと。そういう日にぴったりです。

モードな服における眼鏡も、こういうのが多いイメージです。人間でない別のものに変えてしまう意図をもって服をデザインするときに、顔が要らんなあと思うのではないかと、勝手に妄想しております。

いつかのブルータスで、マルジェラ特集の小冊子がついていましたが、こんな感じで普通のシャツにデニムで、この眼鏡みたいな異物感を持ってきても面白そうです。今回の眼鏡を見たときに、まずこれが脳裏をよぎりました。

個性なんて今ここで掴みきれる訳がないのですが、安直に、顔面は個性の多くを担っていそうですし、その中でも目の役割は大きそうです。激しく整形した場合等々の思考実験は各自で行って下さい。

それを踏まえますと一層面白いわけで、今回紹介した眼鏡も、マルジェラのモザイクみたいな一眼のサングラスも、目、さらには顔の一部を隠します。パッと思いつく個性は消しちゃうんですけど、多分街に出れば「個性的な眼鏡(サングラス)をしていますね」と、連呼されるはずです。その無意識、無自覚を表出させるということに長けているというところが、何とも小気味良いです。

まあでも、あれこれ抜きにしてカッコ良いです。二眼でFPD74ミリですし、度付きも可能です。

ハイカーブ、偏光、帯電防止
ヴィンテージのメガネ

20.03.06

自分のサングラスです。春から夏にかけて活躍する、かっ飛びご機嫌系のサングラスです。そういえば度数を変えて合わなくなったのと、夏が終わってからご無沙汰だったので、今年もかっ飛ぶ為にレンズを変更しました。

ということで、題名の通りなんですけど、湾曲した偏光レンズにしました。オークリーとかスワンズとか、スポーツ系に基本は入れるやつですね。レイバンを度付き化するときとか、ハイカーブレンズを入れると、ちゃんとそのままのイメージを保持して度付きに出来るためオススメです。高いけど。その価値はあります。カルティエのフレームの枠入れの時にも同じようなことを書いた気がします。

球面と乱視の合算値が6以内で、6カーブの選択が出来る、さらに白色のコートで帯電防止が付けられる、個人的に全ての条件が叶う偏光のハイカーブがようやく現れたというので、早速試しています。6カーブの選択が可能な範囲が、球面と乱視の合算値で4以内ではないということが、私みたいな強い近視眼には朗報でした。

ガラスの度なしカラーレンズを入れたときの雰囲気にかなり近い感じで仕上がっております。

ハイカーブレンズにすることで、フレームが顔に沿うので、より花粉が入りにくくなります。帯電防止のコーティングも、そこそこ花粉の痒さを軽減するのに効き目があります。

偏光に関しては、釣りとかする人は水面の反射が消えて魚が見えたりして効果が抜群なんでしょうけどね。私の場合、その辺のスポーツを一切しない為、今の段階で唯一語れる体感としましては、対向車のフロントガラスの反射が消えて、車の中でイチャイチャしている人間の観察がしっかりと可能になった、ということだけですね。

偏光の機能によって、生活がより豊かになったかどうか、まだ測れずにいます。

インスタのあれ
ヴィンテージのメガネ

20.03.06

レンズの色を青の一番濃いやつにしたら、とてもとても良かったです。いつもの紺っぽい色味ではなく、ブルーグレーのめっちゃ濃いやつを選択して成功しました。

初期のアランミクリっぽい、確かにそうなんですけど、違いました。

写真だと、面の感じが分かりにくいです
ヴィンテージのメガネ

20.02.16

まず、正面がイケメンです。

なのに気の抜けた、ただの正方形のリベット、つまり甘辛です。メガネでも人間でも一番ぐらっとくるやつです。初めて見ました。なんか良いですね。

めっちゃ分かりにくいですけど、青線が境界となって、異なる平面が生まれています。その境界は腕から伸びてフロントを越えて反対の腕まで続いていきます。ボリュームのあるフレームですが、動きがあって重苦しくないのは生地の色の選択だけでは無いです。目線がそう動くように、操作されているからでしょうね。この削り考えたひとは天才だなと、感服でした。

箱をちゃんと見たら…
ヴィンテージのメガネ

20.02.16

同じパターンで、これも3度目の入荷。デモレンズ入ってなかったので、作り直しました。

眉の生地が綺麗です。

表記上、レンズサイズは53ミリにするべきなんですけど、フレームとレンズの隙間が目立つので、54ミリに変更しました。下の茶色は前回入荷分、レンズ幅53ミリです。

エッセルのこの手のフレームは、質感は金張りだよなあと思いつつ、明確な決め手に欠けていました。なので、店頭でも明言を避けていました。

今回と1回目の入荷時に、スリーブがついてきたんですけど、それに書いてありましたね。

1回目の入荷なんて、もう3年前のことです。ということで、ちゃんと初めから箱を見ろって話でした。メッキなのに金張りとして販売していたらアレでしたけど、ふんわりと金張りかもと匂わせ販売をして、結果金張りだったので安心しました。

色違い
ヴィンテージのメガネ

20.02.15

エッセルのarcです。色違いで3度目です。毎回、仕入れの国が違うので、この国もこの国も同じの入れたんだなと、そういうのが掴めるのは面白いです。

でも、今回が一番カッコよかったですね。配色が。メガネとしては掛けづらさも出ているんでしょうけど。金×グレーで、グレーは光沢のある、ビロードみたいな、ブルバキでよく登場するあの生地感です。デモレンズがなく、型板もないので前回の自作の型板からトレースしてレストアしました。張り切って、見本を25%濃度の茶色にしてみました。

サーモント特有のおじちゃん感が薄いです。スペースエイジのとにもかくにもカッコいい感じが付加されています。モード感と呼ばれる感覚の曖昧さと範疇の広さに甘えれば、そのモード感がある気もします。

フロントとテンプルが分断されていないので、とてもダイナミックです。朝ドラのスカーレットで、ある登場人物が芸術に触れると「曲が聞こえる」と台詞で言っていましたが、あれ、何となく共感します。これなんかは、ビューンって頭で鳴ります。この瞬間、ブルバキである私の程度の低さが露見しましたね。ただビューンって。まあ、でもビューンです。

生地の縮みも少なくて良好です。比較すると、色の違いによる軽やかさの差が判然とします。

ヴィンテージやっぱり楽しい
ヴィンテージのメガネ

20.02.10

流れ星の尾みたいなディテールですね。それか鳥の羽。いずれにしても、メガネに躍動感をこれほど詰め込めるというのはすごいことですね。感動。フランスのすごさ。敬意を込めて、作業の順番抜かしてレストア。

いっそロエベとかグッチの世界感を借りて、アイビーとかトラッドとかのカチカチの様式の中に軽やかな違和感をねじり込むべく、これはもう自分で使ったろうかなと思ったんですけど、顔面がデカくてメガネから悲鳴が聞こえたのでやめました。テンプルのカシメの位置が割と内側なので、FPD70ミリの割には側頭幅は狭め。

超美しいです。めっちゃ安い表現しか出てこないくらいに。

大和魂注入
ヴィンテージのメガネ

20.01.31

イタリアのインジェクションフレーム。めちゃくちゃ処理が甘くて、おもちゃ感が強すぎるんですけど、何故か良いです。妙に良いです。

モナカのあとがくっきりと。ベトナム戦争のあたりに、日本も結構こんな感じのインジェクションフレームを作っている気がします。たまに骨董市で見かけます。アメリカに、安価なサングラスとして出していたんですかね。あれに近い、皆さんとあれが共有できていないか、まあそれに似た良さです。素朴ともまた違う、チープの一言で片付けたく無い、そういう良さです。

イタリアのネジがとにかく弱いです。触ると、毎回そう思うので、弱いんでしょう。どこの国もこの辺りの年代はそれなりに弱いんですけどね。今回も、しかも両腕とも、ちょっとひねっただけで、マイナスの頭がパチっと飛びました。ネジ抜きからレストアを始めています。

今回は、タップを1.7ミリで切りなおしました。元のネジ穴は、ネジ径もイマイチ定まらず、ピッチも今の日本の規格と異なり、結果締め上げがイマイチで、蝶番のガタつきが著しいので。とにかくそれを解消することを目指しました。

ナットで共締するため、まずは下からネジを突き出す為にも7.0ミリ丈のネジを探しましたが、プラスの頭しか見つからず、こんな感じに仕上がりました。使えることが大事なんで、こういう時はプラスネジで大和魂の注入です。イタリアのね、イタリアのメガネの、そのネジ穴にだね、日本のプラスネジを、日本の魂そのもののようなネジをだね、思いっきり差し込んでやるんですよ。メガネって、そういうもんですよ。いや、違いますね。

フォーク
ヴィンテージのメガネ

20.01.20

フロントから見ると、なんのこっちゃという感じですけど、横がフォークです。セル手のフォークしか持っていなかったので、これに遭遇できたのは嬉しいです。

違和感なく、フォークが腕になっています。つまり、本当はブリッジの意匠が素晴らしいですね。フォークの3本線を上手く受け止め、左右に繋ぐ役目を果たしている訳ですから。

意匠が意匠なだけに、おふざけチープメガネになりそうなところを、プラチナメッキを施すことで洗練された雰囲気に仕立てあげています。大人が掛けてもおかしくならないのは、そこでしょうね。

PtP(プラチナプレート)

ゴルチエの名義で出てますけど、何となくこれのやりたいこととしてはマルジェラっぽい感じがしませんか。釘の指輪とか、時計の付いていない時計バンドだけのブレスレットとか。店に置いてあるオブジェのルーペ。あれなんかもそうで、メガネを半分に割ったデザインが面白おかしいです。今はもう、そういうのやってないんですかね。それに通ずる、知的な面白さを含んでいます。掛けた人間が、他者に知的に思われるのかどうかはわかりません。

ちょっとファッションを斜めに見ていて、クスりとさせてくれるいい眼鏡でした。

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