超特急
修理とメンテ

19.01.29

鼻盛りです。今回のトムフォードは相当慎重に鼻盛りを行わなくてはいけません。トップの画像から分かるのは、上半分がつや消しになっております。ちょっとでも何かをかすったりゴリゴリしたら終わりです。お腹が痛い…。

新品でお店でご購入、レンズを枠入れするのに1週間待ったそうですがやはり鼻が合わず、本日こちらに持ち込んで頂きました。確かに今回のフレームは、ブリッジが表記で17ミリでやや狭いとはいえ、実際は鼻骨底部付近はやはり広めのフレームです。ちなみに光学上の表記でブリッジ幅17ミリでして、それはレンズとレンズを一番近い部分で結んだ距離です。あとは、高さが無いのでまつ毛がバシバシ当たるっぽいです。

今週金曜日までということなので、特別に急ぎです。確かに、レンズ入れるのに1週間待って月曜日に受け取ったら、さて今週の土日は、それを掛けてどこに行こうか?みたいなことを私だったら考えています。ここで1週間、さらにお預けされるのは嫌だというのはとてもよく分かります。休みと自分の掛けて行きたいシチュエーションが重ならない場合もありますから。今週がたまたま一致するみたいな時がありますからね。

また、得体の知れないメガネ屋に対して、初めから終わりまで敬意を払って頂き大変恐縮だったというのも急ぐ理由です。

というわけで、つや消しのフレームで一切の小傷も許されない慎重さが要求される状況で特急です。さらにお腹が痛いです。

とりあえず接地面を準備できました。棒ヤスリで削る際は、出っ張っていて傷が入りやすいブリッジ部分をティッシュで包み、傷を回避しています。

接着剤も垂れず、無事に乗せることができました。あとは一日乾かして、ミニルーターで磨くのみです。ただ、ルーターの取り付け部分がギザギザなので、まだまだ安心出来ないです。

新作なのでしょうか。このタイプがこれからメガネがズレて下がりやすい夏に向けて、続々と来るとなると怖いですね。

乾燥
ヴィンテージのメガネ

19.01.29

俗に言う、40’s franceないしフレンチヴィンテージです。お持ち込みでした。枠入れと鼻盛りです。

写真では分かりにくいですが、右のフロントと鼻盛りパッドの接地面に、ヒビが入っています。鼻パッドの下、フロントの中に皺が入っていますので、接着剤を塗布した後にヒビが入ったと思われます。

今まで無かったケースですが、そういえばこの2週間ほど前にも、この界隈のフレームで鼻盛りをした際に、内部にヒビが出来ました。使用上は、そのヒビに対して接着剤が染み込みますし、上から乗せた鼻パッドがジョイントの役割を果しますし、リム切れ等々は起こさないとは思います。ただし、不安ではあります。今年の乾燥が関係でもしているのでしょうか?

他の年代のヴィンテージでは、今のところその症状は無いです。現行品の鼻盛りも相変わらず多いですが、同じような症状は見受けられません。

実際にフレームを触り、メガネとちゃんと関わってきますと、特にヴィンテージ品ですが、状態として完璧ということが稀だなとつくづく感じます。稀といいますか、存在しないのかもしれません。ヴィンテージは上質で最高峰ではなくて、ただ単に何となくカッコいいくらいの方が、捉え方としては正しいような気もしてきます。


明日から3日間休みます
営業案内

19.01.22

事前の告知通り、明日水曜日から金曜日は休みます。ちゃんとメガネの為に休みます。また土曜日にお待ちしております。

ちなみに、先週は修理等々難しい案件が重なって時間を掛けたことと、ありがたいことに接客が続きましたので、仕事が溜まっています。溜まっているのに、20時半過ぎに鳥のブログを書いていたので、やっぱり片付かずに溜まっています。

休みとしつつ、17時以降なら店に戻って加工をしている可能性もあります。緊急のときは店に電話していただければ。繋がればいます。よろしくお願い致します。

あれと同じフロアで買えます
雑記

19.01.22

水飲み鳥を買いました。名駅のハンズの10階で買えます。同じ階で、あのチョコのイベントが開催されております。あの列の長さを目の当たりにして、ただただ羨ましくなりました。あれと比較したら、ブルバキは暇の極みです。

現在も、これが新品で買えるということに驚き、衝動買いしました。昔から営業しているお店のディスプレイで、たまに干からびていたりします。それで何となく見たような記憶があったのかもしれません。

まじまじと店で観察しますと、シンプルなデザインの極みであることに感動します。まさにこれがシンプルということか!と、一人で納得していました。さまざまな物理法則・現象が、この一体で無駄なく可視化されています。そしてそれは、柳宗理が要にしていた「親しみやすさ」に溢れています。完璧です。確かにかわいいなと、無限に見続けられますからね。

何より電池が要らず、水だけで反復運動し続けるというのも驚異的です。ウィキペディアで調べますと、原理等々詳しく解説されております。面白いです。

話が飛びますが、「過不足ない」みたいなことがシンプルさに通じているのかもしれません。以前にご紹介したような、例えば耳にかける部分が細いフレームを見たときに、一般的にはシンプルなデザインと称されると思います。それで良いんですけど、なんかこう、その表現ではしっくりこないところもありまして、そんなことを考えていた時に、この鳥がハンズで水を飲んでいる光景が目に飛び込んできました。

この鳥が水を飲むのを眺めて感じたのが、その過不足なくということでした。変な表現ですが、多くの物は削ぎ落とすという装飾が施されているという感じがするわけでして、鳥のおかげで、自分の実感に自分なりに説明がつきました。

土日も通常通りです
営業案内

19.01.18

何だかんだ、先週の3連休は忙しく、週明けも直しやら何やらで何も更新せずにいました。ですが、土日も通常通り開けられるペースに戻りました。いつも通り、お待ちしております。

Amor
ヴィンテージのメガネ

19.01.18

レストア完了です。在庫移動を繰り返す内に出来たであろう、ブリッジ部分のスレが著しく、ベースの金属が露出しております。在庫化を諦めるには勿体ないデザイン、さらにはレンズサイズとブリッジ幅でしたので、あれこれ理解して頂けそうな方だけに披露していました。この度売れました。

フロントの角度、つまりは傾斜がカッコいい為、高さが出やすい鼻盛りパッドを使用し、頬に当たりにくいようにしております。ちょっと上がった目尻の感じと、横から見たときのシャープさが綺麗です。

蝶番の作りが非常にミニマルです。掛けたときの上品さは、このパーツがゴツく無いからでしょうね。

先セルは、掛けやすさを大事にするためにも交換しました。エッセルのナイロールフレームもそうですが、フランスのフレームの初期装備の先セルは、細い場合が多々です。それは美的感覚からなのか、フィッティングの理論が曖昧で何となくそうなったのか判然としませんが、大概細いです。

(これが初期装備です)

今回はテンプル長145ミリでしたが、135ミリに変更の為、交換のついでにテンプルのカットも致しました。長過ぎますと、乳様突起に触れて痛みが走ります。それはそれでダメだったりします。

フレーム全体のシュッと感が減りますが、掛ければ耳の部分は髪で隠れますし、しょうがないと思います。先セル交換は苦手ですが、まあまあ頑張ってウネウネせずに差し込んでいます。

鼻盛りはこんな感じです。セルのネジ穴も拡張して、ネジと生地が干渉しないようにしております。

パーフェクトコンディションで出てきた物より、相当手を施しているわけですが、もちろん価格としては落とさざるを得ないわけですし、心情としても落とすべきと思っています。それでもこの古物あるあるは複雑な気分ですね。好きじゃないと出来ないと言われればそうかもしれません。

ネジ頭切り
ヴィンテージのメガネ

19.01.11

ネジに関しては、オリジナルだからといって、特に良いことは無いです。加工する度に、つくづくそう感じています。なので、ちょっとでも弱っているネジがあれば、長く使えるようにするためにも現代の日本のネジを挿しています。頭がプラスになってしまうので、美観の点でマイナスなのは仕方がないことだと考えております。

超音波洗浄して、いつも通りゆっくり回しましたが、一発でネジを舐めました。デッドストックでもこんな感じです。さらに念には念をで、ネジ周辺を温めておくべきだったかなと反省。

今回は、サーモントの中身のリムネジでした。ドリルもニードルも入らないので、ちっさいカッターみたいな物でマイナスの頭を作り直します。割とこれで作る頭も舐めやすいと感じていますので、うまく抜けて本当に安心しました。

これより最悪のケースですと、ネジの頭がポロッと取れる場合ですね。メタルフレームも油断は出来ませんし、届いてからもあれこれやる事は多いです。

ようやく買いました
雑記

19.01.11

店舗のハンコをようやく作りました。今までは、伝票も領収書も全部手で書いていましたが、場所が確定しましたし、その場所で一年以上続きましたし、新年早々思い立ちましてハンコでも作りました。店の名前、住所、電話番号が一緒に記載されて、尚且つ変更不可能な物があるという事が、妙に嬉しかったりします。普通の店の場合は、オープン前に準備しているものでしょうね。ということで、普通以下のことでも、ブログに書くくらい喜んでしまいます。毎日楽しいです。

もともと新栄で開店する際に、シャチハタの古いタイプのスタンプ台を頂いていました。写真のそれです。おそらく、オールドシャチハタはメタルの蓋で、現行はエコのスタンスから樹脂らしいです。

折角ならオールドシャチハタを活用しようという事で、スタンプとインクが一体化してない物を頼んでみました。他の色もあったのか、指定しなくとも、まさかのクリアブルーでした。透明で、生成りっぽく変色させたかったけど仕方なしです。むしろ、まだこのプラスチックの台座の物も作れるんですね。それだけで良しです。

「正しい印章 明るい日本」

と、紙袋に印刷がありました。そういえば当店で飾っています、古い眼鏡屋の看板も

「正しいメガネで 明るい世界」

という文言です。やや壮大で胡散臭くて個人的にはかなり好きなフレーズだったりします。こういうフレーズにも、やはり流行り廃りがあるっぽいですね。

メガネを乗せるために
メガネのはなし

19.01.09

お持ち込みのメガネ。実は、いきなりパーツを交換しています。トップの画像の先セル(耳に掛かる部分)は、純正品ではありません。汎用品です。テンプルの細さは1.0ミリφで、先セルの交換品が、一般に手に入ります。どのメガネ屋さんでも大概です。それよりも細いと難しいかも。

なぜ交換したか、それは見て一発でメガネが止まりにくいと分かるからです。

元のパーツと比較します。袋の中が正規パーツですが、金属に触れない様に、同じ太さで被せてあるタイプの先セルでした。メガネは、圧迫ではなく摩擦で頭部に保持されています。先セルが細ければ、頭部後ろで摩擦が生じず、メガネはズルズルと下がります。耳の後ろにピッタリと沿わせた場合、重みが全て耳に掛かるので、痛くなるかもしれません。

クリアブラウンで、たまたま供給品がやや細めの先セルでしたから、元のイメージを崩さずに交換出来たと思います。今のメガネですと、結構このような先セルが細いパターンも多いはずです。

鼻盛りの問い合わせをたくさん頂きますが、メガネは鼻だけで乗っているわけではありません。メガネが下がって困っている方は、耳の部分を観察してみるといいかもしれません。

バランスがおかしい
ヴィンテージのメガネ

19.01.08

入荷品から。名無しのイギリスフレームです。おそらく作りから60年代。

様々な面白いメガネがありますが、このパターンもなかなかです。ぱっと見、普通ですが至るところでバランスが崩れており、それ故の可愛らしさが爆発しております。メガネもバランスの崩れから生じる可愛らしさが存在します。正月に、親戚の2歳くらいの子供を観察していまして、あの可愛らしさの中枢は手脚の短さかなと考えていたのですが、同時に均整が保たれているだけが良さの全てでは無いなと改めて感じた次第です。

まず、レンズの形がよく見ると凸凹です。単純なボストンとか丸ではなく、やや角ばっています。また、ブリッジが異様に太いです。結果、マスクの様な存在感があり、見れば見るほど出しゃばり感が凄まじいです。一見普通そうに見えて、実は異様というのがメガネでも何でも難しかったりするわけですから、この高度な天邪鬼感が実に堪らないです。

テンプルはしっかりと長さがあり、フロントサイズは小さいながらも、ちゃんと大人用だと推定できます。この写真で掴める特徴としましては、テンプルがフロントと同じ厚みの生地で作られています。それは全体的にゴツい印象を与えます。やはりここでも、こっそりと存在感の演出ということが施されております。

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