ザイル第2章
メガネのはなし

16.11.25

メガネ業界のザイルについて、あれこれ読む側がウンザリするほど書きました。

過去のブログ:アメリカンヴィンテージの素材

あれから

「そういえばアメリカンヴィンテージには、ザイルクラフト(ZYL-CRAFT)というメーカーがあったな」

とか、あれこれ思い出すこともあり、ザイル=セルロイド説が正しいのかどうか、判定がグレーになっていました。とりあえず、ザイルという素材の呼称は、1950年ごろのアメリカにはあったことになります。

そして今回、入荷した商品のペーパースリーブを見て、ザイルとあらためて対面することになりました。

ザイル=ZYLE

ただ、この綴りで検索しても、ZYLで検索したのと変わらない感じでした。ZYLE&materialにて検索しても、結局ZYLで引っかかるので、それ以上の進展はありませんでした。

「メガネ専用で作られた、耐久性に優れた素材」等々の表現をよく見かけますが、だとしたら今も使われているとは思うので、真相は闇のまんまという感じです。何の為にその僅かな差に固執していたのか、自分でも分からなくなってきましたので、この辺で止めておきます。

雰囲気が変わります
ヴィンテージのメガネ

16.11.24

海外からの入荷があります。今は届きまして、洗浄、磨き、型直し、パーツ交換の最中です。土日には完全に並びます。ぜひ、お越しください。

お客さんのメガネ
ヴィンテージのメガネ

16.11.23

80年代の日本のヴィンテージメガネ。それに、緑の50%の濃度のレンズを入れました。度付きのサングラスです。便利ですよ。

バイクに乗る方なので、大きめのレンズは実用的でもあります。冷たい風が目に入りにくいので、涙が滲みにくくなります。薄めの緑が、クラシックな雰囲気を高めています。コーティングも白色の反射のレンズにして、出来る限り質感を高めることに努めました。子供っぽくオモチャっぽくなりすぎずに、いい風合いです。冬は、服が重たくなるので、逆にメガネはこれくらい軽い感じでも面白いかもしれません。

ケースは、レイバンを意識しております。

乱視の乱という字がしっくりこない
目のことレンズのこと

16.11.20

乱視の補正をちゃんとしてあげますと、おおよそ次のような返答が、お客さんから貰えます。

・くっきり輪郭線が見える

・色が濃く見える

どちらもその通りだと思います。各人それぞれの感じ方、表現をされます。特に乱視の性質上、色の濃淡や鮮やかさは顕著ではないかなと思います。メガネ屋さんで比較されると面白いです。

ここからが大事で、つまりレンズの度数一つで、ボヤけるボヤけないの他に、色の濃さとか見るものの見え方が変わります。今日のお客さんは、地図の立体感がもの凄いと仰っていました。等高線につけられた濃淡が、そのまま起伏に見えたようです。

ヒッピーの時代は、クスリで脳の処理に変化を加えることにより、世界の見え方や捉え方を変えていました。サイケデリックアートは、まさにそのように世界が見える結果なんでしょうね。

それと同じように脳の処理を変えなくても、脳への情報、つまり目に入る光をどうするかによって、世界の見え方云々が変わるわけです。

ですから、こちらとしては責任重大ですし面白いところでもあります。レンズを変えたら、例えば木々の葉っぱが風に揺られてうねるように見え始めるかもしれません。今日レンズを試された方は、写真を撮るひとでした。ひょっとしたら、今までは無視してきた物に惹かれるようになるかもしれません。今までと被写体が変わるかもしれません。言い換えますと、世界の切り取り方が変わるということでしょうね。カッコつけて言いますと。すみません。

ちょっと大げさでしたが、レンズも面白い物です。フレームだけがメガネでは無いですし、むしろやっぱりレンズに深い部分を感じてしまいます。

お客さんのメガネ
ヴィンテージのメガネ

16.11.20

90年代の日本のメガネ。ゴーグル型メガネが立て続けに。嬉しい反面、若干コレクションに近いので手元から離れるのは寂しいもんです。

頭部形状の違い
メガネのはなし

16.11.18

昨日、和風総本家の録画を見ていまして。

ケニアかどこか、アフリカの方が日本に来ていました。何に興味を持って、どう国に持ち帰るのか?というような内容でした。向こうのテレビ関係者御一行です。

そのうち男性2人、坊主だったので、職業上しげしげと見てしまったのですが、頭部形状がとても綺麗でした。卵形で美しいとかもそうですが、左右の対象さにおいても美しいですね。耳の奥行きも高さも一緒、歪みのない球体状で、左右眼の高さや眼球の落ち込み具合も同じで、鼻筋もまっすぐでした。(医学的に証明はされていないとは思いますが、耳の高さが違うと、同じように目の高さも違います。教えて貰った経験則です。今のところ、私もそれでフィッティング時の予測が立てられています。)

たまたまテレビに出ていた2人がそうだっただけかもしれませんが、めちゃめちゃメガネの乗りやすい頭・顔でした。赤ちゃんの時に、ほぼお母さんに抱かれて育てらているから、骨が綺麗に形成されているんですかね?理由はよく分からないですが、とても感動したという話でした。

逆に申しますと日本人は大方、程度の差はあれ左右非対称です。フィッティング後のメガネが左右非対称なのは、あるあるです。頭部形状も後ろが短くて正面が広いので、どうしてもテンプルの開きを増やさないといけないですね。特にヴィンテージのメガネ、60年代以前のフロント幅が少ないフレームですと。

掛けられない、掛けられても不快だと、結局カッコ良くてもどうしようもないので、フィッティングはなんとかします。お持ち込みも歓迎です。お待ちしております。

最新テクノロジーについての考察
目のことレンズのこと

16.11.18

メガネ屋さんを覗きますと、次のような謳い文句に遭遇するようになりました。

「420nmの短波長を99%カットする、新しいレンズ」

みたいなやつです。メガネ屋に年始くらいから頻繁に案内が来ています。各社、新レンズ(コーティング技術ではなく、生地への練りこみ)としての打ち出しです。

いまのところ、ブルバキでは推していません。様子見です。それには、以下の考えがあります。

・紫外線(400nmまで)を超えた領域をカットしているということは、可視光線(目に見える光)もカットしているので、確実に色のついたレンズとなる。実際、見た目は各社うっすい茶色のレンズである。濃度で5〜10%くらい。

・プラスチックのレンズは、屈折率1.60以降を採用しており、現代は1.60以降ですとUV400機能は、ほぼ標準装備である。

・つまり、目に見えない範囲の短波長(青色光)をさらにカットしたい場合は、通常のレンズにカラーを入れれば良いと考えている。

 

新レンズ420nmカットは、波長400〜420nmの光を80%くらいカットしており、通常のブラウンカラーのレンズより、格段にカットしています。短波長は角膜や網膜にダメージを与え、白内障や黄斑変性の原因となると言われています。だからこそ原因の除去の為、新技術が登場したのでしょう。メガネ業界の位置付けとしては、ブルーライトカットレンズの第三世代という感じですね。今風に表現しますと。

ここで思い出されるのは「ライフゲーム」です。

Wikipedia:ライフゲーム

生命の誕生・維持・死滅の数学モデルです。以下、記事より抜粋です。

…ライフゲームでは初期状態のみでその後の状態が決定される。碁盤のような格子があり、一つの格子はセル(細胞)と呼ばれる。各セルには8つの近傍のセルがある (ムーア近傍) 。各セルには「生」と「死」の2つの状態があり、あるセルの次のステップ(世代)の状態は周囲の8つのセルの今の世代における状態により決定される…

ライフゲームが面白いのは、次のステップでセルが死ぬ条件でして、自分の周りの細胞が多すぎても少なすぎても死にます。過疎でも過密でもダメなわけで、ほどほどを要求します。周りに人が少なければ孤独で亡くなりますし、多過ぎれば食糧が足りなくて飢餓で亡くなるとか、そういった事象と対応しています。

長々書いてすみません。レンズの話、420nmのレンズをまだ信用しきれていない理由ですね。つまりです、カットしすぎてもいかんのではないか?と思うわけです。ライフゲームからも。

言い換えれば、程々に紫外線で目の細胞にダメージを与えた方が良いのかなと思っているということです。良いという表現がしっくりきませんが、自然なのかなと感じます。

無菌に近い状態で子供を育てると、将来、免疫力が弱い大人になってしまうというのも、一時期よく聞いた気がします。抗菌・除菌のしすぎはどうか?という提起です。それも頭にあります。天然が必ず良くて、人工が必ず悪いとは考えていませんが、そのバランスというのは気にしております。

 

視力について再び
目のことレンズのこと

16.11.16

ちょっと前に、こんな記事を書きました。

視力についての話(ヤフーニュースから)

最後の結びが良くなかったなと、最近お客さんと話していて、ふと思いましたので書きます。

大人は、視力1.5は要らないとヤフーの記事にあります。それは私もそう思います。生活環境にもよります。

そして子供の例を挙げて、視力1.5の遠視が原因と思われる集中力の低下の例もありますよ、と書きました。原因の全てとは言い切れませんが、可能性はあると思います。

ここからが重要でして、もちろん遠視はいかんですが、子供は視力1.0の完全矯正が良いと思います。ここが抜けていました。

以前のブログでは、大人は0.7〜0.9くらいで筋肉を緩めましょうという話でした。なのでその流れですと、子供の遠視もちょっと心配ですよ→子供も視力0.7〜0.9くらいが良いという記事に読めてしまいますね。0.7〜1.0の判断は子供だと難しくなりますが、言い換えればちゃんと矯正してあげるのが良いということです。キツかったらダメですが、ちょっと緩めるとかは不要では無いかなということです。

視力の形成は、おおよそ8歳で完成すると言われています。とくに5歳くらいまでがキーとなっていて、この時までに焦点を網膜の中心窩(一番正しい位置)に当ててあげて、ちゃんとした像を脳みそに覚えさせてあげることが重要です。そうしてあげないと、矯正してもくっきりした像が認識出来なくなってしまう可能性があります。

子供の場合は、検診等々で判明してお医者さんからメガネが要るor要らないの判断をもらうと思います。その値でいきましょうというお話でした。一番後ろの席からも黒板が見えないといかんですし、高校卒業くらいまでは完全矯正なのかなと思っています。高校生の受験シーズンで目が疲れるなら、デスク用のレンズを使う手もあります。

早いもので目の筋肉のピークは12歳頃なので、筋肉の衰えが徐々に出始める頃から、クッキリさよりも緩やかさを重視するのが良いのでは?というのが前回同様の考えです。もちろん、完全矯正の方が眼球運動がスムーズになり、良いという主張もあります。

眼位も関係してきますので、各人にそれぞれの処方があるとしか最後には言えませんけどね。そんなことを考えながら検眼等々を行なっております。

メガネも大分お手軽なイメージがついてきましたが、お手軽出来ない要素やお手軽ではダメなこともあります。

眼鏡
メガネのはなし

16.11.14

昭和49年の復刻版です。元々は大正2年の作品です。

島崎藤村 眼鏡(めかね)

ストーリー等々よりも、物語始まってすぐの眼鏡選びのシーンが面白いです。大正2年(西暦1913年)あたりの眼鏡の買い方のスタンダードかどうか判定するには資料が乏しいですが、この本ですと枠とレンズが予めセットされており、検眼無しでトライアンドエラーでひたすら掛け比べて良さそうな度数のものを買っています。今ですと、100円均一で老眼を買う感覚に近いかもしれません。

現在でも、 メーカーは“チョメチョメ眼鏡=がんきょう”と呼ぶことが多いです。時代が古いと“がんきょう”と呼ぶかと思いきや、この本は“めかね”(本文では“めがね”)ですので、何故メーカーは“がんきょう”呼びが今も浸透しているのかは謎です。

しまざきと入力して、島崎遥香さんが予測で出て、島崎藤村さんが出ないという時代なのだと、改めて感じました。

レンズの形状とその意味
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

16.11.12

ドロップアイについての記述です。まつ毛があたらないように、レンズの上部が直線になったとありますが、真っ直ぐでも当たるもんは当たりますけどね。

(メガネ博物誌 1972年 R・コーソン著 梅田晴夫訳 東京書房社版 p.312)

誕生としては1920年〜30年の間です。鼻パッドが無いフレームが多く出回っている時代です。書籍のなかの挿絵でも、一山(鼻パッド無し)のドロップオクタゴンが載っています。

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先日、お客さんにドロップオクタゴンのツーポイントを買って頂きました。さらにクラシックさ、レトロさを突き詰めていくという過程で、925シルバーで一山でドロップオクタゴンを作った経緯があります。

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奇抜に見えて由緒正しい形です。鼻のラインとか顔の各パーツに馴染むいい形だと思います。

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