アメリカかと思ったら、おそらくドイツだったというだけの話です。
先日販売した眼鏡です。個人のコレクションで持っていたものです。40◻︎20-125(レンズ横幅40ミリ、鼻幅20ミリ、テンプル長125ミリ)くらいしか無いので、相当小さいです。今のメガネのサイズに当てはめますと、小学生用のメガネと同じくらいのサイズ感でしょうね。
元々、古着屋さんにころがっていた物を直して所持していました。金張り(1/10 12KGF)で、金の状態はそこそこ良かったのですが、鼻パッドのアームの破損と、先セルの劣化があり、悩んだ末にまあまあの値段で買いました。3年以上前の話です。鼻パッドのアームは、現行のメッキのパーツをレーザー溶接で付けています。先セルも新品の透明に替えました。リムにもプレスで彫金が入った、綺麗なメガネです。
直してまで所持しようと思った理由としては様々あったわけですが、一番の理由はノミネジが搭載されていたことです。この雰囲気のメガネですと、スパルタ智が圧倒的に多いのですが、これは珍しく一個智でした。その一個智に、さらにノミネジ(レンズどめネジを横から止める役割の、非常に小さなネジ)が搭載されている物は、この雰囲気の物で見たことがなく、妙に惹かれたのを記憶しております。メガネのサイズは、自分の顔面ですと装用には小さすぎて、本当にただ持っているだけの3年でした。
(上はリムネジ。下はノミネジです。爪楊枝と比べると、相当小さいことが分かります。)
一個智にしてもノミネジにしても、工作機械の精度がいるようなパーツです。40年代ということは無いにしても、金張りの厚みとレンズサイズから60年代までの物だろうなと考えておりました。鼻パッドは、有色ですがベークライトでは無さそうというのも、判断の根拠にしております。
今日まで、金張りの記載形式などで、アメリカ物だろうなと思っていましたが、今日になってドイツと判明しました。ドイツであれば、ノミネジが搭載されているのも頷けます。
(このメガネのおかげで、ドイツと判明しました。)
お客さんのお持ち込みのメガネを、レストアしているときに偶然判明しました。店で各パーツを磨いていたのですが、鼻パッドの芯に打刻されているマークが、あのメガネの有色のパッドの裏についているマークと同じでした。真ん中が突き出したMのマークです。
結果、ドイツのマルヴィッツでした。これで自信を持ってお客さんにお渡し出来ますし、あれこれ勉強になったので良かったです。国とか年代の判断は中々難しいわけですが、ある程度の根拠の寄せ集めで判断を下す場合があります。