小林秀雄対話集 「直観を磨くもの」新潮文庫 p.530
あとがきが、これまたとてもなじみの良い文章でした。じんわりきます。
物を販売していますと、日々葛藤が生じるわけです。特にこういう時勢ですから、美しいとか面白い物は中々見てもらえません。求められるのは、ほどほどな、力の抜けたカッコよさでしょう。
そういったときに、果たしてこの自分が美しいと感じたメガネは、一体美しいのか美しく無いのか、そもそも美しさとは?みたいな思考が頭をもたげてしまいます。
ですが、この本を読んでいて励まされました。
「美しい花があって、花の美しさはない」
では、美しさとは?となりますが、この本では常識が感ずるものということでしょう。観念的で、それ以上どうにも掘れずに堂々巡りになるものは、それ以上掘るなとも捉えられます。(p.453 「常識」人間誰にも生まれつき備わり、そのうえさらに実社会で訓練された思慮分別の意。単に外部から習得される知識よりも、万人共通の直観力、判断力、理解力に重きをおいて小林秀雄は用いる。)
長くなりましたが、物でしか伝わらない要素があるということが、励みになりました。そしてその要素は、物から切り離すことが出来ないということにも。
言われてみれば、そうかもしれませんね。私の中にある観念的なアレコレは、全て外界の物を見て培われている気がしてきました。影響されやすいタイプです。