なんかアレですね、鼻盛りムーブメントがメガネ業界にありそうですね。フィッティング不良=鼻盛りで解決と、決めつけすぎな気がします。何だかんだオリジナル性は保存すべきですし、その上で必要であれば最低限の変更を加えるということで、フロントへのアプローチとして鼻盛りはあるんでしょうけど…。他所で鼻盛りしているけど当店で再フィッティングというときに、この鼻盛り要らなかったですね実は、、、みたいなケースが8月は4件くらい重なりました。鼻盛りのせいで、メガネが上ずってしまい、掛けたときに瞳が真ん中より下にある場合もありました。メガネが上にかかりすぎているということです。でも結局、根本が解決できていないのでメガネは徐々に下がるみたいな。確かにブルバキでの鼻盛りだけのオーダーは減ったので、色んな店で実施するようになったことは良いんでしょうけど。今の状況ですと、提案されても一回保留も良いかもですね。基本は新品やヴィンテージに関わらず、改造は避けたいですよね。
と、前置きした上で鼻盛りのせます。必要だったケースとしてです。クロムハーツのメガネでした。クロムハーツのメガネは、取扱店は画像掲載がダメみたいです。ブルバキは取扱店ではありませんが、ブランドや取扱店の意向を尊重し、重要な箇所だけ載せます。各所から怒られた訳では無いんですけどね。
このフレームですけど、テンプル内側に寄せがあるんです。この寄せの顔に近い部分が、条件次第で目尻やこめかみ付近に当たります。当たると顔を押すので、メガネは前にぴゅっと出ます。
鼻の前に、まず側頭幅です。腕の開きを最適にし(今回は開く)メガネを押し出す力が無い状態で安定して顔に乗るか?をみます。安定していなければ鼻盛りです。
上の写真はレンズの入れ替えをしてあります。始めのレンズよりもフラットな物を採用して、フロントからある程度開きを増やしています。レンズ加工の段階でフィッティングに向けて狙えると最高です。かなり綺麗にいけます。たまたま入れ替えレンズが近視系の度付きだったので助かりました。スタートが150ミリくらいで、165ミリまで腕と腕の距離が開きました。それでも微妙に寄せの部分(テンプルの茶色の部分)が目尻にかすりそうです。
もしここまでで、前方にメガネを押し出すような要素が無ければ美観的にも光学的にも、そして物理量のモーメントが減るということでフィッティング的にも鼻盛りが無しでいけるということになります。むしろ鼻盛りが無い方が上記3つの観点から望ましいとさえ言えます。今回は側頭幅を広めに調節しても尚、押し出す力がもしかするとゼロに出来なさそうであることを加味し、フロントと顔の距離が少し多めに開いた状態でメガネが掛かるようにするため、鼻盛りをしております。ですので、鼻幅があってない訳では無い為、取り付け位置を変えて鼻幅を縮めずに高さだけ出るように配置しております。それがトップ画像です。いつもそうしていますけど、クリアフレームなので特に綺麗に処理することに気をつけました。
蝶番がトルクスネジで、相当な締め上げだったので慎重にネジを緩ませたところ、ネジが抜けませんでした。ネジ頭が浮くだけでした。樹脂コーティングのしてある、緩みどめのトルクスネジなのかもしれません。フロントとテンプルを離すにはこのネジを蝶番から引っこ抜く必要がありますが、無理やり引っこ抜くと蝶番の中に樹脂が残ってしまい、折角の緩みどめ機能を失ってしまいます。まだトルクスネジもトルクスネジの樹脂ネジも、一般供給がありません。ということで今回は、テンプルを外さずに鼻盛りしております。傷つけてはいけない装飾だらけなので、緊張しました。
サングラス用だからとか、ファッションのメガネだからとかは関係なく、掛け心地は結構なんとか出来るもんです。さすがに、この辺りの金額の物が使えないと悲しいのもう一つ上の感情が発露しそうです。自分の所のメガネがどうのこうのは置いておいて、まずは業界としてメガネの優先順位を高めに考えて頂きありがとうを年々強く思うようになりまして、この度も総力戦で挑みました。