カテゴリー:修理とメンテ

日本向け
修理とメンテ

18.01.29

かなり暇です。年末ぶりくらいに、お客さん0の予感がしております。ということで、割と時間の要する作業に徹しています。

先日のドイツ入荷分、ヴィンテージメガネの鼻盛りをしております。オリジナルパーツ云々あると思いますが、掛けられなかったら意味がないですし、初めから日本人には難しいと分かっていて、そのままの状態で販売するのも気が引けます。試着の段階で、掛け心地と掛けた位置がちゃんとしているとイメージがしやすいので、時間が割ければ修正をしております。

そもそも日本向けに、あらかじめフレームに鼻盛り加工がしてあって、品番の最後に‘J’が付いたりすることもあります。そういった事情もあって、あんまり鼻の部分をオリジナルで保つことに価値を感じていないのかもしれません。

 

まずは、写真の二本から。先日ご紹介したペルソールも含まれております。

取り付け方で非常に迷いましたが、手間がかかる斜めに取り付けました。鼻パッドを斜面に合わせて削りました。頂間距離(レンズと目玉の距離)が出すぎると、折角のゴーグル感が無くなってカッコ悪いですし、鼻幅も狭まり切らないです。時間は要しますが、レスカのときと同様に取り付けました。

続きまして、ドイツのフレームです。鼻幅が24ミリです。瞳孔間距離が68ミリ前後の方(男性平均よりちょっと開き気味)には良いと思いますが、そうしますと日本人は鼻幅が余ります。よって、これも在庫分ながら鼻盛りです。

このフレームは、USS(米軍支給品のメガネ)に形が似ております。それも好きなのですが、さらにこいつは生地の色が綺麗で野暮ったくなり過ぎないので採用しました。他所の店の商品を載せる訳にはいかないので、気になればUSSで検索してみて下さい。

 

リム切れ補修
修理とメンテ

18.01.08

すでに、くっ付けた後です。右レンズ、ブリッジとの繋ぎ目部分からリム切れしました。私のところで買って頂いて、2年もしないくらいです。

全体のくすみも取りました。まだいけそうです。良かったです。

レンズの縁に汚れが溜まっていたので、古い物であることは確かですが、それでちょっと早めにガタが来たなという感じです。リムも細いですからね。普段この辺りを販売しないのは、こういうところも理由です。やっぱり、メガネとの付き合い方がちょっと繊細です。

接合と、薬研の溝彫りをしてレンズの噛み合わせを良くしました。また、ガラスレンズをやめて、プラスチックレンズにし、レンズがフレームで回らないギリギリのサイズを狙いました。これくらいのレンズサイズであれば、フレーム温めずレンズを入れる事が出来ますし、内側からフレームを圧迫しないので、少しは長生きするかと思います。強く押したら、抜けなくは無いですが…。

消費が、エコからエシカル(倫理的)に進化している的なことを、たまに聞きます。確かに、ある一定の値段を超えるものを見に行くと、

「一生モノ」

というワードが出てきます。以前から使われてきた接客ワードではあります。今後はそのカテゴリーの物を大量に消費しないという宣言と暗にくっ付いており、罪悪感を薄めて消費を促している感じがします。

それが巧いかどうかは興味が無いです。気になるのは、一生かどうかは、それに値する物かどうか、および一生付き合う関係を築けるかどうかの、2つまたはそれ以上の要素が重要であるということです。直してくれるところがあるかどうか、それもありますね。おそらく他にも。つまり様々な箇所に、覚悟みたいなものが問われる訳でして、価格だけでは無い気がします。価格が高いと、しっかりしている場合が多いですけどね。

ちょっと難しかった鼻盛り
修理とメンテ

17.12.20

イギリスのヴィンテージメガネ。お持ち込み。鼻パッドの接地面が少なくて、綺麗に乗せるのに苦労しました。

磨きもついでに施しました。上の施工前と比べると、そこそこ綺麗になったという感じですね。

フィッティングという依頼でしたが、フレームの修正も必要ですし、レンズの干渉を無くす、フレームとレンズのカーブを一致させる、サイズを適正に直す等々の手順があります。それらをパスし、フレームが突っ張って無い状態で、ようやく顔の形状に沿わせていきます。それをしなくても、レンズを嵌め込むだけでしたら、とりあえずは出来ますでしょうね。

レンズ加工
修理とメンテ

17.12.04

持ち込み品です。ブロータイプのメガネです。

ガラス1.52のハードコートを積みました。今回、なかなか強敵でした。眉部分がねじ止めではなく、二箇所ともカシメてあり、眉部分が脱着出来ませんでした。フレームカーブが整えられない、穴を広げて眉位置をちょっと上げる等々も出来ない状況でした。

今回は偶然、度数が低くガラスの球面設計を採用なので、フレームカーブとレンズカーブが大体同じようになり、綺麗に収まりました。ただ、レンズサイズの見極めは目視が困難なので苦労しました。

また写真の通り、セル部分の迫り出しが多く、レンズがフレームに干渉しやすかったです。今回度数はs-1.00 程度ですが、それでも干渉しておりました。眉パーツの溝にレンズが入らず、多めの面取りで何とか嵌め込んでいます。

基本、今は加工機が優れているのでレンズを削る・枠に収めることなら誰でも出来ると思います。ただ、綺麗に入れようとすると、それなりに苦労します。

おそらく、このフレームの時代は凸レンズ(老眼)の方が、メガネの処方としては多かったのではないでしょうか。凸レンズは縁が薄くなるので、眉部分との干渉は考えなくて済みます。

今回のように凹レンズ(近眼)の場合は、縁が厚いレンズになります。ですから、当時よりも縁が厚いレンズを入れようと考えますと、それなりの工夫が無ければ、もちろん綺麗に収まらないわけです。こういう干渉が起きたまま使い続けた場合は、大体フレームが負けて端が欠けるか、レンズにチップが入るか、どちらかがだいたい起こります。

レスカの鼻盛り
修理とメンテ

17.11.26

お持ち込み。現行品、レスカのお持ち込みです。

メガネが下がる、鼻盛りのご依頼です。構造的には、そりゃ下がります。鼻の削りが綺麗なカッコいいフレームです。

下の画像ですが、鼻の部分の削りが多すぎるのが何となく分かりますでしょうか。これが日本人には合わない原因です。

日本人の男の鼻骨底部の幅は、おおよそ16ミリ〜18ミリくらいです。大雑把ですが、鼻が当たるであろう箇所の距離で、実測23ミリです。

解決に向けて、鼻盛りをしていくわけですが、ここで問題になるのは、鼻の部分の削り込みが斜めなことです。

通常の鼻盛り用のチップは、土台が真っ直ぐなことを前提にパーツが用意されています。このままですと、レスカの斜めな土台にチップをつけた場合、鼻に突き刺さる角度で仕上がります。また、アールが付いているので接着面に隙間が出来ます。それも加味してチップの方に削りを入れます。

削って調整したものを並べました。平面な台に置きますと、鼻の当たる面が上に向きすぎてしまうくらいです。つまり、割と削っています。

融着後、磨く前です。乾燥中です。何とか隙間なく、綺麗に乗ったようです。一安心です。

これで、実測17ミリまで詰められました。やっと、違和感なく掛けられそうな雰囲気が出てきたという感じです。

チップを取り付ける他に、おそらくプラの小さい板を斜面に貼り付けて対応する場合もあるのでしょう。私がそのタイプの仕上がりがあんまり好きでは無い、それだと幅が詰め切れないという理由で、チップの取り付けを行なっています。加えて、このフレーム形状と日本人の目の落ち込み方から察するに、レンズと顔の距離を少し出してあげないと、まつ毛が当たってしまい、結局掛けていて不快で使わなくなるパターンなので、そうならないようにという狙いもあります。

乾燥後のヤスリがまた大変です。通常よりも、ちょっとお値段増します。

お持ち込み品
修理とメンテ

17.11.24

レンズの枠入れ依頼でした。ヴィンテージ、増永眼鏡のブローです。

おそらくデッドストックですが、その場合でも、ただレンズを削って入れるだけではありません。少なくとも当店では、ですけど。

レンズサイズが適切かどうかチェックする為に、なんだかんだ眉は外さなくてはなりません。そうしますと、経年変化でプラスチックが縮んでいる分、ネジ穴とのズレが生じます。写真ではわかりにくいですが、ネジ穴で半分くらいの縮みが観察されます。この場合は、ドリルで穴を広げるしかありません。迂闊に眉パーツを外すと、穴あけできない場合は戻せなくなります。

フレームカーブも変更です。眉なし(写真右手)が加工後です。これくらいフレームカーブを落としておけば、綺麗にレンズが入ります。これは度数との兼ね合いもありますが、球面設計なのか非球面設計なのか、この選択にも依存します。いずれにしましても、レンズ、フレームともに負担をかけないようにするには、整えてあげるべきでしょう。

ここまで処理してあれば、今回のようにガラスレンズを入れても、テンプルの開閉で眉とレンズが干渉し、レンズに小さな欠け(チップが入る)とか逆にフレームが欠けるとか、あれこれの問題も生じないと思います。

サーモント、ブローのフレームが、修正しながら枠入れしていると一番時間が掛かるかもしれません。

新パーツ
修理とメンテ

17.11.18

上から

・チタン鼻パッドの大き目が登場(写真右手)

・金色の鼻パッド解禁

・一山用、セルパッド解禁

です。もともと、商品に標準装備されているはずですが、小売店のパーツとして供給が無かったものが、解禁されていました。

些細なことですが、メガネをカッコ良くする手段として鼻パッドを交換することは有効です。個人的に金色のパッドは、やっと交換対応が当店でも出来るようになったので嬉しいです。

一山用のパッドについては、他所のメッキの物に使うと良いかもしれません。剥がれの予防にもなりそうです。SPMや銀無垢の一山に関しては、高さが合わない場合は特注で改造したら良いので、これはあまり出番がなさそうです。とりあえず、グレーのみ用意しておきます。

修理品
修理とメンテ

17.10.16

修理完了です。型直し、歪み直しで済んでいますから、大事には至っていませんでしたが、それなりに時間かかりました。

コマ自体も曲がっています。それもあって稼動部のピンが閉じ切っていませんでした。こういうブロックパーツは、力を込めて曲げると、急にもげたりしますから気をつけなくてはいけないです。

金張りの剥がれもなく、それなりに良い状態だと思います。

修理完了
修理とメンテ

17.10.06

お持ち込み。40年〜50年代くらいのフランス製フレーム。

ネジのサビ。腐食してテンプル開閉時にネジ切れてしまいました。

パーツも器具も無いので、さすがに修理専門のメーカー出しです。

修理後が以下です。

若干、径の大きいリベットを打って、カシメし直しています。ただ、パッと見でわかる大きさの違いはありません。

生地が弱い・細いこともあり、智の上部に亀裂も生じています。それは埋め戻しをして、わからないように処理しています。

元々カシメし直すか、できない場合はコマごと溶接して畳めない状態で使うか?という2択でした。さすがにこの年代、もとの状態となりますと完全に傷が回復することは中々ありませんが、また使ってもらえる状態まで戻ったと思います。

先セルの形状変更
修理とメンテ

17.10.03

999.9のお持ち込み。先セルの欠けが発生しております。

さすがにこの場合は、付け足すことが難しいので、長い方をカットして、お互いの形状を揃える措置を施しました。

取り敢えず、ゲジゲジ部分も滑らかになりましたし、しばらく使ってもらえるようになったと思います。

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