カテゴリー:修理とメンテ

在庫品の修正
修理とメンテ

18.04.13

イギリスから届いたフレームです。刻印無いので、国籍不明です。イギリスから届いたからイギリス産なのか、生地の色や刻印が無いことからフランスと予測するのか。イギリスであれば、NHSの刻印が無い為、それなりなちょっと良いメガネとして販売されていた物であるはずです。ただし、作りの粗雑さやフレームの特徴の無さから、どうもそれもしっくり来ない判定です。レンズサイズ、レンズの縦横比、蝶番の作りから察するに、60年代後半から70年代頭ごろかと思います。

ブリッジ幅24ミリです。目と目の距離がやや開き気味の方には、目とメガネのポジションは適すると思います。瞳孔間距離67ミリ〜69ミリくらいですかね。ただし、このままでは日本人の鼻幅には合いません。つまり、ちゃんと顔に乗りません。

在庫分ですが、時間がありましたので鼻盛りを行なっています。

これで大体20ミリくらいになりました。

かなり粗雑です。日本のフレームではまず出てこない作りですし、それがまた良いこともあります。

AO等々のアメリカ物にあるフロントとテンプルの合わせ方です。板と棒が組み合わさっただけの、工程を省いたまさにシンプルな作りです。

蝶番金具も真っ直ぐ取り付けられておらず、その為、シューティングの芯も均一にセル生地の中に入っていません。

ただ、生地の色味などが組み合わさって、何とも言えない風情があります。

完成
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18.04.04

以前、鼻盛りでご紹介したクロムハーツのメガネです。本日、レンズが届き完成しました。

レンズを出来るだけ反射させたいとのご要望でしたので、グレーの10%にシルバーミラーをコーティングしました。これの仕上がり具合を早く見たくて楽しみにしておりましたが、相当かっこいいですね。裏面マルチで反射させるよりも、妖艶な感じです。裏面マルチは、レンズ面と方向があったときにバチっと光りますが、ミラーはトロッとした感じです。写真でもわかる通り、室内で白く反射しています。

グレーを10%入れたのは、ミラーコーティングはカラーの上にしか、かけられないからです。確か、透明の生地にミラーをコーティングすると、結局、補色の関係で色が出てしまうからだった気がします。

今回のご要望は、透明のミラーでしたから、割と見る限りイメージに近づいているのでは無いかと思っています。相当良いです。自分もやってみようと目論んでいます。

連続しています
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18.03.30

クロムハーツのメガネのお持ち込みです。今月2本目です。フィッティングが上手く行われておらず、再フィッティングである程度の下りにくさは実現出来ました。ただ、まつ毛が長くてレンズにあたります。高さを確保するために鼻盛りをすることにしました。ベースとなるフレームは日本製のプラスチックフレームですから、値段等々でビビりつつも、扱いとしては普通のフレームと変わらず、いつも通り直していきます。

修正前です。これでも、鼻幅としては悪くないです。かなり、日本人向けのフレームサイズだと思います。

ボクシング表記では54□19です。まつ毛が当たらなければ、大体男性ならば鼻盛りをしなくても良いサイズだと思います。むしろ、外人だとキツイでしょうね。

とりあえず本日は、削ってのせるところまで。一晩寝かしてくっ付いてから、磨きに入ります。

あとは、ひたすら時間をかけてあげるだけです。

USS
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18.03.21

ネジ抜き後、ロックネジとナットで締め上げて緩みどめしております。ネジが1.3ミリでピッチも違うので、直すとなるとアメリカ物は厄介です。日本は1.2と1.4ミリです。

ドリルでネジの飛び出る先を広げて、貫通させます。

無理やり、1.4ミリをねじ込んで穴を広げる方法もあります。今回は珍しく2回やって2回とも中で捻じ切れてしまったので、ちゃんと拡張してからナットどめしました。

軍物のメガネですし、どこまできっちりさせるかというのも考えるべきでしょうが、腕がパタパタしているのは流石に不快ですから、その処置は行いました。

ネジ抜き
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18.03.20

アルミのブローです。アルミが大量に精錬され始めるのが、発電所のパワーが増してきた50年代以降なので、それくらいの年代だと思われます。ブローの形としての表れ始めが40年代の終盤ですから、流行りの形の最新の素材のメガネという位置付けだったのかもしれません。

ネジの固着が酷く、なかなか苦労しました。ネジ穴が潰れ過ぎて、筋がない状態です。ネジ穴の裏は、サビで埋もれています。

冒頭の写真は、ネジ穴(マイナス)を、専用のカッターで作り直した写真です。久々の作業でちょっと楽しい感じです。

裏は以前に載せたようにドリルを突っ込んで、ネジの先が出ている分を除去しています。それにより、ネジの締め上げる力が抜けて、少しの力で回ります。

無事に外れました。

 

リム切れ
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18.03.14

修理のご依頼。クロムハーツです。フレーム自体は日本で作らせています。基本構造は、他のメガネと変わりません。

あまり使用した形跡がありませんが、テンプルを開いたときにリム切れを起こしたとのこと。確かに、プラの破片が出ておらず、金具の歪みもないことから、リム切れで間違いないでしょう。本当に、この場合は自然にポロリとレンズが落ちた感じでしょうね。

 

レンズサイズがデカいです。仮で当ててみて、薬研の縁がそもそも枠に収まっていません…。0.50ミリはデカイので、よく入れたなあという感じです。オプチルに嵌め込むサイズ感です。それ故に、今回はリムのサイドに空隙があるフレームでしたが、その切り込み部分から裂けたのでしょう。むしろ、それ以外の理由はないでしょうね…。完全なフルリムであれば、内側から押す力がぼちぼち均等に分散されるので、このような事態には、すぐにならなかったと思いますが、フレームの形状からそれが露呈した模様です。

ただしこの場合は、実はフレームに初期不良があったのかも知れない等々、後出しで様々に言えてしまいます。そして、それらはもはや確認不可能です。つまり、レンズサイズの不良が、100%リム切れの要因であったと立証することは難しく、泣くしか無いのが現状です。

でもやっぱり、実際に持って来て頂いた物を拝見しますと、某量販店での枠入れっぽいですが、価格故にしょうがないとかそれでは割り切れない何かがあります。

ということで、修理です。初めは、生地の質感からインジェクションのフレームかなとも思いましたが、アセテートでした。鼻パッドの取り付けがヒントになりました。とりあえず融着しました。

ヤスリのあと、磨きです。光を透かすと、若干筋が残ります。新しいフレームなので、くっつき具合は良い感じです。

再度枠入れです。生地を温めずに入れました。振ってもカタカタしませんが、拭き上げるときにガタつくくらいの、ちょいゆるのサイズ感です。とにかく、内側からの押し出す力を加えさせないようにしております。

 

これでハッピーエンドと思いきや、レンズを外して分かりましたが、右もリムの亀裂が入っていました…。完全には切れていません。

今日一日乾燥させて、また金曜日以降の作業です。まだまだ道のりは遠いです。

レスカの鼻盛り
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18.02.25

さすがに、作業して帰ります。

お持ち込みで、またまたレスカのヴィンテージです。日本人にとって不完全なフレームですから、良い装用感のためには改造も致し方無いです。不完全だからこそ、日本の設計からは生まれない格好良さがあるわけです。そして、やっぱりそれを綺麗に掛けたいわけですから、それは極力叶えます。

リム内側の計測で、鼻幅28ミリです。

削り取り、内側に傾斜をつけて土台作りです。

真っ直ぐに鼻盛りのチップを接着すると、おそらく幅を寄せ切らないので頑張ってみました。

取り付け後。磨いていません。

これで大体18ミリです。掛けた姿がやや上目になるようにしました。それでも、上4下6か、ちょうどレンズの真ん中に瞳がくる感じでしょう。キーホールブリッジが眉間に掛かるくらいの方が、外人みたいでカッコいいなと思いまして、しっかり盛りました。

ネジ抜き
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18.02.17

修理のご依頼。元々は蝶番の再カシメです。オマケで、ネジ抜きをしております。

マイナスネジの先が潰れていました。一方はプラスに変更してあり、抜けない方がそのままでした。

ニードルで押し出す方法もありますが、今回はネジの後ろを、蝶番に刺さったままドリルで切削しました。後ろのネジの飛び出しを無くすことで噛み合う力を抜きます。あとはヤットコでネジ頭をつかみ、回して外しました。とりあえず外れて安心です。ニードルで押し出せば早いですけど、この時代の蝶番だと、金属も柔らかいので出来るだけそれを避ける方向での処置です。

収まりの良いネジも見つかったので、それに交換して終わりです。ステンレスネジに変えれば、とりあえずネジ穴が簡単に潰れることも無いと思います。

 

長さ調整
修理とメンテ

18.02.16

テンプルの長さ調整。

ヴィンテージ、ニコルのフレームです。テンプル長が145ミリです。男の人であれば、掛けやすくて申し分ないのでしょうが、今回は側頭幅140ミリくらいの女性です。逆に長すぎます。

長ければ長いほど、摩擦が生じてフィッティングしやすい、装用感が良いという訳でも無いです。耳後ろの乳様突起に触れると、痛みを生じます。長ければ、切るのが望ましいです。

切って、面取りを行いました。今回は1.2センチほどカットしました。テンプル先をまだ曲げていない状態で、比べるとこんな感じです。

毎回やたらめったら切るわけではありませんが、あまりにも長い場合は、レンズの到着前に加工をして、合うように整えていきます。

日本向け
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18.01.29

かなり暇です。年末ぶりくらいに、お客さん0の予感がしております。ということで、割と時間の要する作業に徹しています。

先日のドイツ入荷分、ヴィンテージメガネの鼻盛りをしております。オリジナルパーツ云々あると思いますが、掛けられなかったら意味がないですし、初めから日本人には難しいと分かっていて、そのままの状態で販売するのも気が引けます。試着の段階で、掛け心地と掛けた位置がちゃんとしているとイメージがしやすいので、時間が割ければ修正をしております。

そもそも日本向けに、あらかじめフレームに鼻盛り加工がしてあって、品番の最後に‘J’が付いたりすることもあります。そういった事情もあって、あんまり鼻の部分をオリジナルで保つことに価値を感じていないのかもしれません。

 

まずは、写真の二本から。先日ご紹介したペルソールも含まれております。

取り付け方で非常に迷いましたが、手間がかかる斜めに取り付けました。鼻パッドを斜面に合わせて削りました。頂間距離(レンズと目玉の距離)が出すぎると、折角のゴーグル感が無くなってカッコ悪いですし、鼻幅も狭まり切らないです。時間は要しますが、レスカのときと同様に取り付けました。

続きまして、ドイツのフレームです。鼻幅が24ミリです。瞳孔間距離が68ミリ前後の方(男性平均よりちょっと開き気味)には良いと思いますが、そうしますと日本人は鼻幅が余ります。よって、これも在庫分ながら鼻盛りです。

このフレームは、USS(米軍支給品のメガネ)に形が似ております。それも好きなのですが、さらにこいつは生地の色が綺麗で野暮ったくなり過ぎないので採用しました。他所の店の商品を載せる訳にはいかないので、気になればUSSで検索してみて下さい。

 

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