カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

小箱入り
ヴィンテージのメガネ

21.10.12

卸会社の廃業から引き揚げた物です。小箱入りで出荷することもあったんだなと、まずそこで驚きです。金無垢・鼈甲のような高価格帯のものは入っていませんでした。残念ながら金銀財宝は入っていなかったんですけど、サッパリとしたサーモントが箱に1本ずつ入っていました。

The 日本のヴィンテージという佇まいです。なぜにこれが小箱入りなんだ?みたいに思えてしまいますけど、よくよく観察しますと、ちょい上のグレードっぽい作りが見受けられます。

フレームの形、全体の雰囲気はまさに日本のおじさんタイプなんですけど、真ん中の処理がとても綺麗で、そのお陰でモッサリ感・ボテッと感・それらをおじさんっぽさと見なしているんでしょうけど、それらが少なくなっています。

眉毛のパーツと、ブリッジ上部のカッティングの面を揃えています。ボリュームの調整や、面の光沢を増やして軽い雰囲気にしようと試みてあります。

青の箇所を、面で削ってあります。赤の矢印で目の動きを描きました。反対側の眉のカッティング面に向けて、滑らかな面が続くように眉毛パーツもブリッジも意匠されています。上から見ると削る面の指定がよく分かります。写真だと逆ハの字になっているのが見て取れまして、削ってバランスをとったことがよく分かります。

テンプルの飾りも綺麗です。車のことはよく分からないですけど、雰囲気で、80年代のクラウンっぽさがあります。いまはシンプルが好まれる時代なので、無ければ良かったのにとか言われそうですけど、個人的にはこういうものは、とりあえずあった方が良いと思います。横も飾りたいという心情の芽生えは、それもとてもシンプルだと思われるからです。

この板チョコみたいな飾りは、ロー付けの後乗せではなくてプレスか削り出しているっぽいです。上からテンプルを見たときに、テンプルと飾りの境目が見えません。

これは、他のメーカーの別フレームです。参考に載せてみました。蝶番付近に厚みを持たせて強度を出し、残りは薄くしなやかに作ってフィッティングがしやすいように意図したこのような作り自体は割と一般的です。その厚みを外にもっていき、そこに折角ならと意匠を加えたのが、あの板チョコっぽい飾りの正体です。

こういう感じのサーモントは、仕入れのタイミングで本当によく出てくるんですけど、流石の個包装ということで、なかなかみごどころたくさんの面白いフレームでした。

大きめのボストン
ヴィンテージのメガネ

21.06.27

ついに、販売となりました。70年代のオリバーゴールドスミスの大きめボストン眼鏡です。

毎年これくらいの時期になりますと、大きめのボストンが〜とか、クリアの抜け感の強いボストンが〜とか、最近覚えたての言葉を羅列すればレンズサイズ大き目がギークでカッコいいよね〜的なことを言っていたと思います。なんだかんだ毎年定番が変わってしまい、去年の夏はアレだったのに今年はコレかあ…定番とは???ではなくて、結局しつこいですけど毎年コレです。

ちょっとクリアレンズでは物足りないとのことでしたので、緑の10パーセントの濃さのレンズを入れました。コバにほんのり色がついて、いい感じですね。

こっちが販売となりましたので、ようやくもう一方の全部クリアのボストンを自分用にします。

レトロポップ
ヴィンテージのメガネ

21.06.13

メガネ業界に、なんだかんだでもうすぐ10年くらい埋もれていることになるんですけど、史上最高のブランド名に出会いました。

『今…六本木』

です。凄くないですか、『六本木』でも『今?六本木』でも『今、六本木』でも『現在(いま)、六本木』でもなく、『今…六本木』です。どうですか、この“…”に含まれた躊躇い、戸惑い、そして恍惚の予感…。とにかく、眼鏡業界に天才がいました。

そもそも、ひとに「いいメガネだね、どこのブランド?」みたいに尋ねられたときに、「『今…六本木』だけど」ってストレートに返事をしてしまうと、「うん」ってうやむやな返事が返って会話が切断され、ついでにヤバいやつかなと思われる可能性大です。

ディスコブームを調べてみると、結構深くて混乱します。78年のサタデーナイトフィーバー周辺のディスコなのか、80年代のマハラジャ出店ブームを指すのか、91年のジュリアナ東京開店を指すのかで、想起されるイメージが全然違いますね。そうか、ジュリアナ東京は90年代なのか。アンティーク調のメッキがしてありますし、玉型やレンズサイズと鼻幅の関係、クリングスのロー付け具合からしますと70年代は考えられず、80年代のフレームでしょう。そうか、青山より六本木の時代か。

タグから読み取れるのは、wave・axis・square bld・forum、でした。一個読み取れなかったのは、high sensitivity frame の重なる部分が、なにroppongiなのかなんですけど、位置関係から分かる方、詳しい方教えて下さい。とりあえず読み取れたwave他すべて、今流に言えばカルチャーに関わる施設なんですね。おしゃれワードの羅列というのが全然おしゃれじゃない感覚になってしまったシンプルで丁寧なこの時代に、ありきたりな表現ですが一周回って、今…最高におしゃれです。

困ったことに『今…六本木』のアイデンティティが、タグとデモレンズのシールとテンプル裏の今にも剥がれ落ちそうな白の印字の3つだけです。

何となく全体から漂う雰囲気は、当時のゴルチエやニコル(MATSUDA)に近いです。あとはBADAのメタルもこんな雰囲気です。例えばこのテンプルの作りをみて『今…六本木』にしかない雰囲気かと言われると、全然他にもありそう…と、正直に答えざるを得ません。

使おうとすると一瞬で『今…六本木』のアイデンティティは全て無くなってしまい、ただのおしゃれメガネになってしまうため、今のところ個人コレクションとして保管です。

平成手前
ヴィンテージのメガネ

21.06.06

おそらく、平成レトロ手前と思われます。実売期間としては重なることも大いにあったと思われます。

ケントの溝安全枠です。現代だとワイヤーリムとかカッコよく言いますけど、80年代後半ごろのポパイの広告で、白山眼鏡の似たようなオリジナルフレームが溝安全枠と宣伝されていました。溝は見た目通りで、安全枠の安全は、踏んでもレンズが逃げて割れにくいというところから命名されているみたいです。何周も回って、安全枠というカテゴリー名がカッコいい気がします。

横がカッコいいですね。1世代30年と言いますが、まさにコレのチタン版が今のヨーロッパ系のフレームだなという感じでして、何でも30年くらいで1周回るんだなと物からも分かりますね。

頑固一徹系
ヴィンテージのメガネ

21.05.25

擬似鼈甲あつかいのセルロイドフレームです。面の作り方とか、テンプルの仕上げとか、そのまんま同じような作りです。

金具も金メッキでそれっぽくしてあります。

セルロイドも、めっちゃ綺麗です。この前の、本鼈甲と並べてみます。光沢の違い、光の反射具合が上手く撮れたと思います。

本鼈甲がトロッとしているのに対して、セルロイドはカラッとしています。光沢、反射の具合なんですけど、何となく分かりますでしょうか?

ちなみに、上はガラスの単層コート、下はプラスチックで白色反射光のコーティングのものです。

買って頂いた方が仰っていて、なるほどそうだなと思いましたが、そろそろあの日本の文豪があんな感じだから、あんな眼鏡してみようとか、そういうのカッコいいよねとか生まれても良さそうですね。その辺って、まだまだ全然カルティベートされていませんね。

やや改造
ヴィンテージのメガネ

21.05.19

ドイツのローデンストックの堅牢かつ重厚なイメージに対抗するべく、フランスのエッセルはナイロールでスッキリ軽やかを売りにして、軸をズラしていたと思われます。日本のデッドストックを眺めてみましても、エッセルで出てくる在庫はナイロールが多い気がします。

そこで、エッセルのフルリムとなると珍しいのかなと思われます。レンズの形がパッキパキの真四角です。見るのは2回目ですね。

工場で再メッキしてもらいました。チッカチカに光っています。元々シルバーで出てきています。おそらく銀色は刻印も何も無いのでホワイトゴールドの金張りでは無さそうです。ということで、未練なく再メッキかけられました。

再メッキのときに、鼻パッドが外されます。エッセルですと、初期は軽さを際立たせるためなのか、鼻パッドがねじ止めではありません。ナイロンの糸を炙って玉止めしてあるだけです。オリジナルを再現すれば良いのですが、今回はナイロールのフレームではありません。フルリムでエッセルながらややしっかりした雰囲気を纏っているので、それにならって現代的に直してみました。多少、重厚感をやっぱり出したいんですよね。

箱に、1.0ミリのネジ穴を開けました。ねじ止め出来るように拡張です。そこに、セラミックパッドを搭載してみました。チタンパッドよりも更に軽いです。今回は、ピンクです。

高級時計のベゼルも、次々にセラミックス化しているようなので、眼鏡もそうしてみました。何か技術革新があったんですかね。メッキはムラ無く綺麗です。

例えば服の色合わせで、男性だとピンクのオックスフォードのシャツに青いデニムの組み合わせ、女性だとピンクのワンピースに青いジージャンの組み合わせみたいな、青とピンクの組み合わせが好きなので、レンズは青にしてみました。

エッセルは、いつ見ても蝶番のミニマルさがとてもカッコいいです。

ぼちぼち入荷
ヴィンテージのメガネ

21.05.17

晴れた日は自転車で店まで来ておりますが、昨日は雨でしたから地下鉄で行きも帰りも。帰りが19時前でしたが、さすがに地下鉄の東山線は空いていましたね。それぞれの席の端っこ同士が埋まる程度でした。

緊急事態宣言ということで、店をどうしようかなと考えていましたが、この調子なら開けても閉めてもそれなりに一緒だなということで、とりあえず開けます。レストアしたい商品が結局山積みですし、店に居ます。

ティアドロップほど垂れ目感が強くなくて、非常に良いです。例えば服でいうところの肩パット的な、80年代のセルフレームの垂れ目感は相当にコッテリと時代錯誤感を演出してしまうんですけど、これはさほどです。フロントからテンプルに掛けての流れが綺麗で、クリアレッドの色味も合わせてライトな感じが良いです。

それとこれも。アーマーみたいです。バブリーを超えて、何と表現したら良いか分からないですが、とにかく金掛かってるなーってのがビシビシと。各パーツの精度も出ていて綺麗なので、単純に物としてカッコいいですね。

さっきのセルも、このゴツいのもシルエットです。なんでも声に出してみるもので、そういえば最近シルエットにハマったと宣言していたなと。それでこれらがここに集まりました。ありがたい。

これから綺麗にしていきます。

グーパンチ
ヴィンテージのメガネ

21.04.26

グーパンチお持ち込み。ボストンのような、微妙にティアドロップのような、なんとも言えないレンズシェイプも魅力です。

グーパンチは何度も同じことを言いますが、傑作中の傑作です。最高です。作りと見た目のシンクロが醍醐味です。

この握りは、本当にレンズ留めとしてリムを握っている構造になっています。その握らせ方も凝っていまして、見える部分は丸く切削し、自転車のように棒を握っている演出になっています。

レンズ側の見えない部分は四角に切削しています。そのおかげで、握りこぶしをリムに差し込んだあと、テンプル全体が回転しないような仕組みになっております。物としても相当優れた作りです。

前出のゴルチエもそうですが、80年代後半から90年代にかけての、このクスッとさせる眼鏡の類はどれも最高ですね。何となくですが、マルジェラの眼鏡よりマルジェラっぽくありませんかね。

フォーク大
ヴィンテージのメガネ

21.04.26

ゴルチエのフォークの大バージョンです。前は、全部メタルのフォーク小を載せたと思います。フォーク大は、もう眼鏡として溶け込むことを諦めて、潔くただただフォークです。

食いしん坊って感じです。

フロントがセルのタイプも存在するはずです。これも含めた、よく見たらふざけているタイプのフレームって良いですね。なんだか平和です。

なんちゃってその2
ヴィンテージのメガネ

21.04.09

こっちもやっぱりあるのか!という感じです。ごっつい眉毛眼鏡なんですけど、おそらく元ネタはローデンストックのREMOです。REMOは、もうだいぶ前に販売してしまったので、元ネタと比較出来ないのが残念です。

金張りでした。

多分、本家のREMOは耳側のセルの迫り出しが少なめです。リムに沿うようにシュッと収まっています。これが本家と異なるのは、まずその部分です。おそらく変更した意図としては、日本人の平均側頭幅を考慮し、さらに幅を稼ごうということでしょうね。耳側にセルがさらにグンっと出ていますから、迫力が一層あります。頑固感強めですね。

ふっといブリッジのふっといプレスの筋もいい感じです。

さっきのリチャードもどきも並べてみました。眼鏡屋的に、なんちゃっての方が優っている箇所をあげるとするならば、このリムと眉毛パーツがピシッと揃っていることです。このおかげで、強度近視でも眉毛パーツとレンズのコバが干渉せずに、加工で苦労することなく枠入れが出来ます。逆に本家は、眉毛パーツがリムにかかっている場合があり、たまに枠入れが難しい時があります。

それに関しては、想定の違いかもしれません。眼鏡をかける理由として遠視と老眼が多いとするか、近視で眼鏡をかけることが多いと想定するかで真逆になります。

遠視や老眼の凸レンズは真ん中が一番分厚くて端が薄く、逆に凹レンズは真ん中が一番薄くて端が一番分厚いです。その違いが、眉毛とリムのきっちり具合の要求度の違いを生むことも考えられます。なので一概にこの箇所のみを指して、こっちが至高とかは言えなさそうです。

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