迫力
ヴィンテージのメガネ

19.05.01

オプアートが流行った時代を象徴するフレームです。60年代のフランス製。

図鑑等々では見たことありましたが、現物は初めて。メガネにすると、どうなんでしょうね。服とかはカワイイけど、メガネはアレですね、カワイイとかの前に迫力が凄すぎて、ぽかんとしてしまいます。とりあえず、時代を象徴するフレームなので、手に入って嬉しいです。

入荷処理中
ヴィンテージのメガネ

19.05.01

理想的な鈍臭さのメガネが入りました。ピエール・カルダンです。同じくらいの年代だと、エマニュエル・カーンもこんな感じのシェイプでした。カルダンに関しては、リベットが小さく飾り装飾も無いので、取り入れやすいと思います。ややテンプルのラインをいじってるくらいですね。

長袖のポロシャツにビットローファー、きわっきわのフニャフニャスタイルの仕上げに良さそうです。今で言うグッチ感強めです。

引き続き自慢が続きます
雑記

19.05.01

銀無垢をブルバキで作ってからは使っておりませんが、これも持っていました。ガラスのフラットを入れて、ガシガシ使っていました。

たしか、増永さんの100周年モデルです。見所は融点の違いからくっ付かないだろうと散々言われていたチタンとK18を繋ぎ合わせることに成功し、コンビネーションにしたところでしょうか。テンプルエンドをK18にすることで、重心が後ろにいき、掛けやすさも実現しております。智の部分はβチタンのはずです。バネ性もあって、これと先ほどの職人の金無垢の使用感の違いから、自分の理想とする無垢の眼鏡の像が立ち込めて、3年前にようやく銀無垢の一山のメガネたちが出来たという話の流れです。

本当は、滑り止めのシリコンパーツが付属しますが、見た目が良く無いので外しております。外すと何が起こるか?テンプル部分が中抜きの為、摩擦が生じにくく、いくらK18によって重心を後ろにやっても下がりやすくなります。特に夏場がひどかったです。テンプルの曲げ点が不鮮明なので、それが理由で引っかからないということも考えられますが、銀無垢においてバチ先のテンプルエンドにこだわったのは、これの使用感から着想しております。私も、業界に遊ばせてもらった人間ですから、そこから得られた体験を、次に射影したい欲求があって今の店と物があります。

ただ、久々にこのフレームを見ましたが、やっぱり繊細で美しいです。特にこれはトップの美しさではなかろうかと、個人的には思っています。

細いしなやかなテンプルエンドは、物としての風格をグッと上げます。見た目と機能性、その辺の諦めのつかなさと、SPMにおいてはバチ先が出来ないという制約条件から、SPMはいっそ思い切って細いテンプルを楽しんでねと、アナウンスしております。ガラスは度数次第でしょうね。

そうそう、ついに店名入りました。

はじまりはコレでした
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.05.01

載せるのせると言って多分載せていないので、久々に引っ張り出しました。今日からアレですから。

年代は不明ですが、30年以上前なのは確定です。私の前にバトンが渡されているのが、それくらい前なので。

金無垢K14、手造りの日本のメガネです。彫金は全て手彫りです。鼻パッドは擬似鼈甲の卵甲で作り直し、先セルは白鼈甲で挿し直して2年ほど使ってました。ちなみにこの先セルだけで、ブルバキの銀無垢2本くらい買える値段のはずです。耳だけでサラリーマンの夏のボーナス飛んだ記憶があります。鼈甲は白が強烈です。何もかも。

ろう付け部分のみあめ色に変化しています
鼈甲物には珍しく、芯入りです。終端にも手彫りが施されています。使用に伴う層状の経年劣化が見受けられます。
稲穂っぽい、有機的かつダイナミックな切削が見所です

そもそも彫金の辞書的な意味に“手で彫る”ということが書かれているはずなので、手彫りの彫金というのは頭痛が痛いや、まえだまえだみたいな重複になってしまっていますが、何でもかんでも彫金と言ってしまう世なので念のため手彫りの彫金と述べています。手造りに関しても同じくです。ネジを回す、磨く、そりゃどこかの工程に人間の手が入りますから、もちろんメガネは強いて言えば“HAND MADE IN JAPAN”なんでしょうけど。

これは、眼鏡業界に入って一年過ぎた時に頂きました。色々な方の順番を抜かして頂いた訳で、さらに言えばその人の息子さんを差し置いて頂いた訳で、物を介した継承という感動が、眼鏡を続けている原体験でしょう。いま振り返れば、全部ここから始まったと思います。

一応、ブルバキはヴィンテージ眼鏡からスタートしております。そこでは、楽しさやこんな物が商品として存在していたのかと、デザインと時代に対しての関心や興奮が得られると考えております。そして、そういったレガシーで散々遊ばせてもらった後に、もう一度普遍に戻るというのも悪く無いよねということで、現行品の無垢も細々と続けております。劣化しなければ、次に渡される可能性は高いですし、それはつまり皆さんが次のヴィンテージの生産者になれることを意味しております。そこに得体の知れない、自分がコントロール出来ない希望があります。

とか言いつつ、いきなり無垢物でも、もちろん良いんですけどね。私は25歳からずっと無垢かカザールか面白サングラスで生きてますから。それに、実際に20代前半のお客さんで、ほぼ初メガネくらいで買われる方も目立ちます。情報とイメージだらけで自分で何かを選択し決定しているのか何なのか分からなくなりそうな時代ですが、自分の眼と感動から選び取り、ブルバキへ共感を寄せてくれる方々がいらっしゃることはいつも救いです。ですから多分、令和もいい感じだと思っています。

早速、あのブリッジのメガネが販売になりました。ちなみに、初回生産で一桁です。工業製品で一桁です。ただただ請ていただいたメーカーさんに、足を向けて寝られない日が続いております。型代も考えますと、赤字は覚悟していませんが、今年度のキャッシュアウトはほぼ確定ですから、もはや諦念です。すでに来年も再来年もずっと頑張ろうという所存です。

手造りの上行く贅沢を、せっかく21世紀なんで、してみたかったんです。そこまで贅沢したら、よっぽど物が遺されると思いますから。

明日は休みます
営業案内

19.04.28

そういえばです。明日は休みです。親戚でバーベキューでした。

夏のバーベキュー、冬の鍋、会社とか親戚とか様々な関係において催されると思いますが、いつもポジションで迷うタイプです。特に、上記の二つはレベルが高いので。それに店以外ではあんまり喋んないですからね。

ツインカラー
ヴィンテージのメガネ

19.04.28

レンズカラーが分かりやすいように、白の土台にて。今日は頑張って、写真を撮るためだけに作業場から移動しました。

サングラスレンズ専門のメーカーさんの、度なしレンズのカラーバリエーションを眺めていますと、どこで誰が掛けているのだろうか?みたいなカラーがゴロゴロあります。ということで、ブルバキの出番な訳ですが、組み上がりは割と面白メガネ感が無い、カッコよいメガネになってしまいました。それで良いんですけどね。それが正しい。

スモークとブルーのツインカラーに、標準でシルバーミラーがかかっています。後ろの金のミルクに負けない煌めきを放っていますね。割と手間のかかる贅沢なことをしているのに、度なしサングラスレンズは安価なのが魅力です。

レンズ単体でみると、予想以上に邪悪な雰囲気のカラーでした。そもそもツインカラー自体が、業界外では馴染みが無さそうです。スポーツサングラス以外でのミラー加工も同じくでしょう。その馴染み無さの掛け算なので、さすがに初見は邪悪さも相まって驚かれるかもしれません。まさに、金のミルクくらい濃い仕上がりな訳です。確かに私も、元はミルクの国しか知らなかったので、金のミルクが出たときはその濃さに驚いたものです。

今回のようなスペースエイジのサングラス等々には相性良さそうです。ポップさが中和されて、怖くて不気味な雰囲気とか、謎にテンション高そうで不気味とかでは無くて、ノリの良さそうな人くらいな感じに自分の雰囲気をもっていけそうです。度付きの場合は、ちょっと頑張れば可能です。これを見本に特注で染色をした後、シルバーミラーを掛ければ良いです。ミラーがあると色の完璧な再現は難しくなりますが、近い感じにはなるでしょう。テレビジョンフレームに積み込んだら相当カッコ良さそうなので、試してみたい欲が凄まじいです。

ちなみにフロントが緑、テンプルが黄色、でもディオールなんですよね。素晴らしいフレームでした。

接写
目のことレンズのこと

19.04.27

後期のゴルチエもいい感じです。前期の方が、もちろん力の入り方が凄まじい感じですけど、後期の気兼ねなく掛けられるメガネの限界みたいなデザインも良いです。

チタンの鼻パッドに変えました。プラスチックパッドは黄ばみますし、芯が「JPG」と刻印有りというだけです。個人的にはそこのオリジナル性を尊重するよりも、パッドを変えてスチームパンクの雰囲気を高めた方が好きです。

青のフレームに青のレンズというのも良い感じ。気持ちティアドロップ感のあるオーバルというのも、仄かな変態具合いで絶妙です。細部まで気にしてなければ、オーバルで済む話なので。飾りに目が行きがちですが、ゴルチエはレンズの形も乙ですね。乙ですよ。

明日は15時オープンです
営業案内

19.04.26

昼一発目から検眼がありまして、明日は15時から開けます。よろしくお願いします。


無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.04.26

お待たせしました。先に彫金無しだけ頂きました。オープンからお渡し等々のご来店がありまして、ようやく夕方、一人になったタイミングでフレームの調子取りと鼻パッドを交換して、今これを書いています。曲を消して窓を開けて、街の雑踏を聴きながら、暫くボーッと眺めていました。想像を超えていました。

スマホで見ると、画面からハミ出すと思いますが、知っててそのまま載せます。タブレットだと、ちゃんと表示出来ますよ。ホームページの綺麗さよりも大事なことがありますから無視しますね。

一発目、どの玉型にするか迷いました。今回はトノー(44)と、オーバル(42)にしました。理由としましては、FPDの問題があります。皆さんが言うところのサイズです。

ブリッジの取り付け部の長さを調節することで、リムと干渉しないようにしているため、トノーでFPD68ミリ、オーバルでFPD65ミリです。おおよそ日本人の男性の瞳孔間距離(PD)が65ミリであるところから、このバランスにしました。実際、PD60付近の方でも、FPD65くらいであれば、掛けて大きすぎるという風にはそこまで見えないと思っています。女性であれば、やや大きめの方が可愛らしくて見える為、好まれる傾向にあります。男性でもFPD=PDは、光学的にはレンズが一番薄く仕上がるし、何となくヴィンテージメガネ界隈で正しい掛け方と言われているのは知りつつも、やっぱりちっこいから窮屈そうで好みではないと感じている方はいらっしゃいます。むしろ、ブルバキでは多数派ですが。結局FPD=PDというだけでは、メガネの掛け方として正しいかどうかまでは言えず、またそこに緻密さを要求していないというのも、この2つを選んだ理由です。

また、昨今はレンズの縦横比1:1くらいの物が好まれる傾向にあります。要は、丸だったら欲しかったのに、と散々言われそうなはずなのに何でオーバル?みたいな話をさらに以下でします。

簡単には直観なんですけど、バランス悪そうかなと。1920年代のコートランド等々も、リム形成時の精度の問題もありますが、真円とこの楕円の間くらいな柔らかい丸です。ごはんですよ感が極めて少ない丸です。

また、まん丸ですとレンズサイズ40ミリか38ミリが、一山のフレームでは売れました。42ミリ以上になりますと、クラシックでキリッとするというよりは、フニャッと可愛いお爺ちゃんみたいになるからでしょう。日本人の眼の大きさも関係ありそうです。

そのときにブリッジ幅が23ミリ、レンズ幅40ミリだとすると、FPDは63ミリになります。男の人の瞳孔間距離の平均値よりマイナス2ミリです。だいたい女性の平均値です。やはり初めの一発は、ピッタリ派が多い男性の真ん中を作りたかったわけです。

では、ブリッジサイズを2つ設ければ良いかと問われると、それもまたやってみないと分かりません。金銭的な問題もありますが、それよりもブリッジの一番上の部分、横に真っ直ぐな箇所を2ミリ伸ばした時に、縦幅をキープすればブリッジ自体の縦横比が崩れます。一方、縦幅を比率を崩さず変えれば、全体が大きくなります。その時に、オリジナルに対して忠実に再現できているか?同じような雰囲気が維持できるか?この二点は保証出来ません。おそらく、この絶妙なバランスで保っている以上、崩れると予想出来ます。ならばブリッジのすべての要素は変えない方が良いと判断し、レンズサイズと形状によって、FPDのバリエーションを設けることにしました。

あとは、横長の方がこちらの都合が良いからです。乱視には角度があります。様々な要因で乱視になりますが、重力によって、弾力性のある角膜や水晶体が潰れても生じます。軸180度の乱視です。個人的な検眼の感覚ですと7割型はこの180度では無いでしょうか。確かに英語ではw.t.r.(with the rule)と分類されるはずです。ルールとは則ち自然法則であり、重力という話です。

では、180度の乱視(マイナス度数)は、レンズにするとどこが厚く仕上がるかと言えば、それは上と下です。しかも上下は左右よりも眼球運動が苦手な為、そこまでレンズ幅が要らないのに、そこが厚くなります。欲を言えばガラスのレンズを積みたい!として、残念ながらテンプルは細くて摩擦が生まれにくいです。であれば、少しでも重さを減らすために、不要な厚くなる部分は切り落としたいというのが、掛け心地も含めた美しさを考えたときに念頭にありまして、横長の玉型2つにしました。

以上、なんでこのレンズ形状?について書いてみました。以前もどこかで書きましたが、ただの眼鏡屋が、0からデザインをしようなどとは考えておりません。まずはヴィンテージを、保存出来る形式に変換することが第一です。その過程の中で選択に悩んだ時に、眼鏡屋として合理性のある方を選びました。ちなみに合理というのは、冷たい無機質な要素ではありません。例えば植物、生きるために不必要な器官は何一つ備えていません。つまりは、植物も合理の塊です。本で誰かが書いていましたが、忘れました。

お気づきと思いますが、美しさの秘訣みたいな、美魔女の種明かしみたいなことは書いていません。私もそこまで分かりきっていない、そもそも分かるとは畏れ多いという感じだからです。ですからそこは見ていただいて、それぞれに判断して頂ければと思います。

ガラスの枠入れ
修理とメンテ

19.04.24

タートのお持ち込みがありましたので、ガラスのフラット、ノンコートを枠入れしました。温めなくても、コツが分かればレンズ外せます。ギリギリの大きさを狙いました。レンズを拭く際に、フレームの中でガタつかないので、ひさびさながら良い仕上がりです。クリア部分が生成りっぽいので、出来る限り干渉を抑えたいという判断に依るものです。

もう一年くらい前ですけど、この周辺のフレームを取り扱っていないことを伝えたときに、「専門外じゃん」みたいに言われまして、それ以降、専門外でも良ければ頑張りますよの精神で承けております。むしろ、物が置いてあれば専門店になれるんだったら、ヴィンテージ眼鏡店って簡単だなと感じたことをいまも覚えております。そのときからヴィンテージメガネの専門店にはならずに、街の眼鏡屋を目指そうと誓いました。ヴィンテージも置いてある店くらいな雰囲気です。まあでも、一応古い眼鏡しか置いてないんですけどね。ヴィンテージは手段であって、ひとつの入り口くらいに考えています。ブルバキは別の入り口からでも歓迎ですよ。

お持ち込みの際に、フロントの歪み直し云々のご要望を伺いますが、レンズのご注文であれば不要です。枠入れの際に、もちろん可能な限り直します。リムの歪みが原因のことが多いので、実際には枠入れと同時に直ることも多々です。

直してねと、よく言われるので本当にただ嵌めるだけのケースが多いのでしょうね。値段もありますし、それぞれの店にそれぞれの経営課題と方針がありますから、眼鏡屋であれば必ずやるべき、とは言えない項目だと思います。

面取りは、ガラスなのでやや多めです。前面はプラスチック同様少なめです。

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