ずっとレイアウト変更をしていました
雑記

23.01.25

店のレイアウト変えようブームがきていました。ここに移って以来、初めてデカい水屋箪笥を一つ動かしました。

大きいものを一つでも動かすと、結構雰囲気が変わるものですね。自動的に中くらいのものも小さいものも、連鎖して細かく変える必要が出てくるので。何から何まで気になってしまって、ひさびさに自分の店を隅々まで見た気分です。

一昨年くらい前から、棚の移動は考えていました。動かすならもう一つ二つ理由があると効果が高いだろうなあと、それの方が単なる自分の思いつきに留まらないからより良いだろうなあと、思いついたタイミングで、とりあえずは動かさないことを正当化した結果、今の今までレイアウト変更が先延ばしになりました。もっと早くやるべきでしたね。ちなみに最後は、お客さんとの会話がきっかけで変えました。現代のヘビー論みたいな。

物の見え方も、動線もいい感じです。おかげで、他のお店みたいに綺麗にメガネが撮れるようになりました。

レイアウト変更に時間を割いていまして、ブログの一番上が算数のまま1週間以上経ってましたね。念のため、メガネ屋です。

50パーセントオフ、50パーセント増量
雑記

23.01.17

月一回、50%オフセールをやるお店が、来月から値段を下げずに月一回50パーセント増量キャンペーンをしますと。そういう上手い躱し方もあるんですね、妙に感心してしまいました。ストリートでとんちに出くわしました。

元々が半額セールなので微妙にバレていて、後継のキャンペーンが二倍増量じゃ無いから、半額よりかはお値打ちじゃ無いのは分かる。でも後継は何割引きなんだ???とりあえず値上げなんだろうなみたいな雰囲気が漂っていました。この切り返しは、パッとどれくらい値上がりするのか分かりにくいのも、なかなか優れています。

元々が30%オフで、後継キャンペーンが30%増量とかだったら、全く気づかれ無かったかもですね。

隙間とは
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

23.01.16

肝はここの処理でした。テンプルと眉毛パーツの処理です。上の画像をみて、結果から申しますとほぼヴィンテージと同じ処理になりました。

ヴィンテージの蝶番部分を貼っておきます。

日本の美意識みたいなところで判断すると、この未処理の段差と言いますか眉とテンプルの切断は許しがたい部分になると思います。設計の段階でフロントからテンプルに向けて滑らかに繋がるように改編して、そのつなぎ目を合わせて精緻にきっちり仕上げるはずです。

今までは、そういう日本的な美しさに注目をし、一個智の美しさや面のあった美しさを味わうのも良いですなぁみたいな感じで、銀無垢のフレームやサンプラチナのメガネを紹介していたと思います。今回は一歩踏み込んでいます。もし先のように改編した場合に、得られる良さもあるんでしょうけれど、失われる良さもありますよねと。何なら失われる良さにフォーカスを当てて開発しましょうというのが個人的な狙いです。スローガンとしてはヴィンテージの再現、銀無垢でのアップデートなんですけどね。

今回の銀無垢のサーモントを載せます。

眉パーツとテンプルが別個のもので独立していたとして、その接点をどうするか?という問題があります。あれこれフレームを調べて銀無垢に適した構造を探りましたが、結果的にはヴィンテージと同じように眉とテンプルを用意しつつ、違うのは眉とテンプルを一切干渉させない構造にしたところです。たしか、0.3〜0.5ミリの範囲で、眉とテンプルの隙間をあける指示になっていたと記憶しています。テンプルは、硬いパラジウム合金に接地するようになっています。

いくら狙って微小な隙間を作るとはいえ、隙間なんです。これは出来上がった物を見るまで本当に不安で仕方がない部分でした。ヴィンテージのメガネではセルが縮んだりとか、そもそもの精度のこともあって隙間は乱発していますけどね。現代において銀無垢で作ればそれなりの値段になりますから、その値段で許されることか?みたいな自問自答は出来上がってくるまでずっとありました。

色々な角度から撮りましたけど、どうでしょう?ほとんど分からないと思います。一つはメーカーさんの隙間が微小であること、もう一つは隠さずにわかりにくくする工夫をしております。

今日に至るまで、隙間の事実を言わずに結構な方に見ていただいたんですけど、誰も気づいていないっぽいので成功したと思います。

隙間を目立ちにくくする工夫を考える上で、まず

そもそも隙間とは?

隙間と、どういうときに認識するのか?

つまり隙間と認識しやすい条件とは何か?

みたいなことを考えました。辞書で調べても、物と物の間くらいにしか記載がなく、隙間にしっかりと向き合った形跡がありません。そうなると自分で考えなくてはいけません。

隙間といえばなんですけど、私は実家の居間の引き戸を思い出しました。小学生のときは閉めが甘くて、隙間があいていると親によく怒られたんですよね。

そこで引き戸を観察して分かったことは、視線と直交する同一平面上に扉も壁もあると、隙間と認識しやすいということでした。例えば壁に枠みたいな囲いがあって、扉が枠よりも1ミリでも2ミリでも内側にあると、つまり扉と枠が同一平面上にないと、途端に微小な隙間を認識しにくくなります。ぜひ色々な引き戸を観察してみてください。

そこでさっきの3枚の写真を見て頂くと分かるのですが、眉とテンプルはどこから見ても段差があるようにしています。段差があって、眉とテンプルが別体ということを強調し、ヴィンテージっぽい感じの演出に一役買っています。それに加えて、もとは隙間をわかりにくくさせる意図を込めて、段差を強調しました。

ちょっと前に、テンプルのヤゲンのラインは何となく好みで入れたとか書いたと思います。まあそうなんですけど、一応隙間を分かりにくくするための意図もあります。もう一度、同一平面状に平らな面と面が並ぶと隙間と認識しやすいです。平らな机の上に、平らな下敷きと平らな下敷きが並んでいるのを想像すると、何となくそんな気がしませんか?そこで、一つを凸に、両方でも良いんですけど平面から飛び出ているような要素があると、隙間の認識が難しくなると思います。それでテンプル側をヤゲンのように凸にして、単純な平面にしなかったというのも一理です。

のらりくらり書きましたけど。眉とテンプルの処理はヴィンテージとほぼ同等に再現出来ました。銀無垢で。眉毛とテンプルは、銀の塊と塊なので、それが衝突している様は(実際は微小な隙間)、非常にダイナミックで美しいです。メーカーさんとのやり取りでも、ひたすら迫力とか粗野な感じとかそういうのは伝えていたのですが、まさにこのヴィンテージのような一見すると単純な(実は単純じゃない)構造でしか生まれない良さが再現出来たと思います。リ・ウファンの関係項だったか、そういう作品を見たことがあるのですが、大きいものと大きいものの衝突ですよね、まずは。そういうメガネが遂に出来ました。

 

ビバノンノン
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

23.01.11

銀無垢のサーモントの完成連絡をうけて鯖江に伺った際に、銀の硫化ってほどほどに施すにはどうしたらいいか聞いてみました。燻用で出ている薬剤だと、黒が強いのでコントラスト強めでパキッとした感じが好きな方は結構なんでしょうけど。もう少し淡い感じの、自然な経年変化に近い風に黒ずみを起こしたいなと考えていました。

メーカーの社長さんのオススメは、やっぱり温泉だそうです。即答でした。つまり温泉の入浴剤で良いんだよと仰ったときに、なるほどなーと目から鱗が落ちました。それで買ったのが『湯の素』です。

硫黄が入っている入浴剤ならということで、パッケージで湯の素にしました。カッコいい。

あとは、インスタに載せた通りです。あっちの方が画像が綺麗なので。真っ黒になるんですけど、黒よりグレーという感じです。ムラがあって、多層的です。炎で炙って青っぽくなったような箇所もでます。確かに理想的な燻のマックス状態になります。

表面は、梨子地までいかない程度にマットになります。スマホのシリコンカバーみたいな感じです。

ある程度、銀は光沢も良さですからクロスで磨いています。一発目は銀用の柔らかいもので、二発目は銀も良いけどちょっとハードやで気をつけてや、みたいなクロスで磨いております。一発目の磨きでは磨いた部分にほんのりザラつきを感じたので、二発目で面を整えた感じですね。

一発目で止めても良いですし、この辺はお好みで。

リベット付近やブリッジ付近の変化は予想通り、かなりカッコ良くなりました。予想を越えたのはテンプルで、凸の薬研がスパッと光って、面は黒ずみが落ち切らず、落ち着いたトーンになります。終端まで伸びる線が強調されて美しいです。上がりたてのピカピカも荘厳でしたけどね。

今はまだ大きめな銀無垢の鼻パッド待ちですね。微妙に自分に合わせてちょくちょく掛けてみましたが、たまたま僕ならずり落ちないけど、不快です。この感覚は、ティアドロップくらいのフレームにガラスレンズを入れた感覚に近いです。

確かに、s-6.00の60径で30グラム前後で、銀無垢の眉毛の重さが25グラムくらいだったはずです。割と近い重さでした。なので僕の銀無垢のサーモントを掛けたときの実感と、自分の度数でガラスレンズを枠入れしたティアドロップ系を掛けた実感が繋がります。あくまで主観であって、全然科学的では無いんですけどね。科学的では無いんですけど、自分すらダメだったらまず出せないよなというのはいつも考えています。

モードオプティークのno.34から拝借。今のところmaxの大きさでもVSDは出来ないと言われつつ、とりあえずプラスチックパッドのVSDを取り付けると全然イケる感覚になるので、やはりガラスレンズが主流で、なおかつレンズサイズが54とか56の時代、70年代くらいのパッドの大きさに還ることを理想にしつつ、今はとりあえず工作機械のマックスパワーでどこまで大きい無垢のパッドが出てくるのか楽しみに待っている状況です。

仕入れしてしまいました
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

23.01.08

年明けのソフト側の諸問題を解決出来ず、ブログ本文中の画像がまた不鮮明に戻ってしまいました。色々試みて、直せないのでしょうがないですね。

週明けの、今月分の眼科さん出張が無しになったこともありまして、それだけゆとりがあるならと銀無垢のサーモントを仕入れしました。

あと、何だかんだ自分にとっても念願の銀無垢のサーモントの完成ということで、早く手元で、もっとじっくりと観察したいという欲求が高まってしまい、なんならメーカーさんのインスタにあけおめ投稿でサーモントの全貌を載せてるし!ということで、大きい銀無垢の鼻パッドの完成はまだ先ですが、メインのフレームは仕入れております。

イベント最中に書いてますけど、予想以上に僕のブースだけ暇すぎるので、この前の続きと言いますか、銀無垢のサーモントの製作に関してひとつだけ僕が決定しないとどうにも進まない部分があったと申しましたけど、その辺のことも時間があれば書いてみようと思います。推敲が長いので、更新まで出来なかったらすみません。ヴァージル・アブローの3%プロセスといったり、トムサックスの“クリエイティビティ イズ エネミー”だったり、色々な表現に置き換わって度々現れますけど、エビデンス主義という表現に化けて出てくることもあるかもです。最後の最後に、危ない橋は渡らない、デザインはしないと言いながら、エビデンスの無いところに突き当たってしまいました。エビデンス主義と責任回避みたいな話もあるので、そんなことを気にかけるとエビデンスのないことの決定というのは大変気が重かったです。その辺がスパスパッと積み重ねられるのが、デザイナーということなんだなと痛感しました。

明日は下北沢に居ます
営業案内

23.01.07

明日、1月8日(日)は下北沢にいます。イベントに呼んで頂きました。

下北沢の、ボーナストラックという場所にいます。12時から17時までです。

フレームの販売のみ行います。

銀無垢もヴィンテージも少しずつ持っていきます。

せっかくなので、年明けに仕入れしました。緑の35パーセントのレンズに入れ替えております。出来立てほやほやの銀無垢のサーモントも持っていきます。

 

12月29日〜1月5日まで休み
営業案内

22.12.28

明日2022/12/29から年越して1月5日まで休みます。

多分、どうしても身動き取れないのが1月3日だと思うので、それ以外は何だかんだ開けられるかもなので、何かありましたらご相談ください。

流行りの
雑記

22.12.26

タローマンを見ました。これが、話題のタローマンなのね。

個人事業主的には、確かに面白可笑しくてもいつまでも笑っていられないと言いますか、笑われるタローマンを見て身につまされると言いますか複雑な気持ちになります。山口一郎さんも、本当はノリ続けるのがしんどかったんじゃないのかなとか、作品から逸れて考えてしまいました。

岡本太郎展が年明けに名古屋に巡回してくるので、それが楽しみですね。

気になって計算
雑記

22.12.24

ちなみに大きい銀無垢の鼻パッドと書きましたけど、あと一回りが限界と通達は届いています。

今ある涙型の鼻パッドを計算しやすいので楕円と考えてしまって、長軸と短軸を測ると

13.0/6.5 (㎜)

でした。

あと一回り大きくの“一回り”が、人の想像を掻き立てますが、仮にぐるっと0.5㎜ずつ大きくなったとします。

14.0/7.5 (㎜)

楕円の面積は、長軸半径×短軸半径×πです。結果だけ書きますと、ぐるっと0.5ミリ、それぞれ1ミリ長くなるだけで、面積は1.242…倍という結果が出ました。予想より広くなりますね。圧の分散に、結構効果がありそうです。楽しみ。

全部書いておきました
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

22.12.24

狙い

銀無垢でサーモントを作りたいと思ったきっかけは簡単です。1950年代のアメリカに、既にそれに近い形の物が存在しています。オールアルミの、物によってはそれに金張りを施したサーモントです。

開発にはこの2本を用いました。アルミが大量に製錬されるようになったのが世界大戦後の1950年代らしく、軽くて強度もあって錆びにくくて、最高の素材っぽい宣伝が当時もされています。それこそロイヤルだったかデラックスだったか、そういう高価なサーモントとして位置付けられていたことが調べると分かります。そこから想像を膨らませるのは容易くて、これが貴金属だったら…となるわけです。結局当時物のアルミのメッキなり張りのフレームを見ましても、消耗品として製造された形跡といいますかパーツの選定が行われていまして、遺すとか受け継ぐみたいな意味は込められていません。このサーモントのデザインがメガネのスタイルの一つのスタンダードになって、70年後の今もあるとは想像し難いですからね。そこで、銀無垢で日本の技術をみっちり詰め込んで、作りの面から素材の面から不変性を帯びさせようというのが狙いです。

それは自分たちの仕事では無いと言われればそれまでですし、各ブランドが「メガネ」というカテゴリーをどれくらい重きを置いて見てくれているのかということに依りますから、以下は勝手な怒りということなんですけど、店を始める前のメガネ業界のサラリーマンのときから、クロムハーツやティファニーがそれを作ってくれていないことにとても憤りを感じていました。両者ともアメリカで、銀無垢がウリで、目につくありとあらゆるものを銀製品で作っているはずなのに、なんで全て銀無垢のメガネは無いんだと。しかも、古き良きアメリカを代表するサーモント、レイバンのクラブマスターも1986年から販売していて不動のスタイルであるサーモントを。過去を漁れば、銀ではなくてもオール金属で作っていた形跡があるのに…。チタンやセルのフレームに飾りやロゴの印刷をしてあるメガネは沢山あるので、おそらく両者ともメガネはロンTと同じ扱いなんでしょうけどね。とりあえず、一庶民がパッと思いつくような物が世界に無くて、お金で買えなくて、それを憧れに生きていけなくて、これは由々しき事態だと勝手に思い込んだのがスタートです。

ベースとなるフレームの選定

925シルバーのサーモント
50年代のアルミのサーモント

アルミのサーモントも、各社がそれぞれ試行錯誤を繰り返した形跡があります。その中で、シューロンの眉毛に注目しました。眉毛の真ん中で凹んでいます。リムに沿わせています。これを採用しました。アルミのサーモントが何を意図してプレスしたのか分かりかねますが、銀無垢で作るとなれば常に重量を気にしないといけません。ボリュームを十分感じるのに、ちょっとだけ軽量化出来そうです。

ちなみに、ヴィンテージメガネ界でサーモントといえば、AOのサーモントを至高とする見方もあります。どうしようかなと迷ったんですけど、一旦ヴィンテージの価値観から離れて、冷静に見れば全世界に未だに行き渡っているのはレイバンのクラブマスターだよなぁということで、クラブマスターも参照したのかなっていうくらい似ている、上の二つから開発を進めています。

サイズの決定

今回はボクシング表記で47□21です。資本が∞であればアレコレ出来ますが、現実問題としてやはり一つに絞らないといけません。日本人の男の平均の瞳孔間距離(PD)が65ミリというのを参照しております。今っぽい掛け方でpd=fpdとなりますと、44□22も候補には上がりますが、出来上がったものは銀の塊で相当な迫力であろうという予測から、レンズはちょっと大きめでゆったりと、ちょっとpdが広めでもジャストでカッコいいというところを狙いました。開発のサンプルでは46□22の表記でして、正確に測ると47□21ですよと工場から通達がありまして、そうしましたらその通りに作りましょうということになりました。レイバンのクラブマスターは51□21と49□21です。ひょっとしてお前もその分析を…という発見がありました。ヴィンテージメガネの世界では大きめ、現代のメガネからすると小さめ、クラブマスターの一個下というサイズになっています。

80年代の日本製ほぼクラブマスターと並べました。それは50□20です。レンズを大きくすると眉毛も大きくなって重たくなりますし、レンズもいくらプラスチックとはいえ重量が出ます。ここは色々な余地があるところでしょうし、流行り等々でいかようにもレンズ横幅とブリッジ幅は変わると思います。

テンプルの決定

テンプルはこんな感じです。現行のレイバンのクラブマスターは、テンプルは真っ直ぐな棒です。50年代のサーモントも、セル眉のタイプであれば真っ直ぐな棒の物も他にあるのですけど、アルミのサーモントは、大抵が耳に向かって末広がりです。この末広がりの処理は、個人的にはカッコいいなと思うんですけど、現代的にはテンプルが派手だと避けられる傾向にあるよなあとか、色々と考えの余地がありました。銀無垢でサーモントを作るにあたり、どちらを採用しようかなと。

アルミで末広がりにするのは、どのような意図があったのか、いまとなっては分かりません。ある程度面積を用意して、ゴージャスに見せる目的だったのかそうでは無いのか。実際に50年代のアルミのサーモントにおいて、テンプル等々に彫金が施されている物も存在しています。なんとなく、幅を持たせてゴージャスな演出にしていたような気はします。

今回、画像を見ると分かる通り、末広がりのテンプルを採用しました。最終的には、棒にするのも末広がりにするのも、個人の好みの問題に帰着すると思います。そこで銀無垢でサーモントを作ることに対して、どちらが優位かを鑑みて末広がりを採用することにしました。

・鉛直方向に幅のあるテンプルの方が、その方向の力に対して強度が確保できる

・銀無垢の眉パーツが重いため、後ろがよりヘビーになる末広がりなテンプルの方が重量バランスが良さそう

※ただし、重量バランスと総重量の葛藤は常にありまして、総重量の観点からすると、真っ直ぐなテンプルの方が軽そうです。

・薬研のラインを末広がりのテンプルには入れられるので、横方向の強度も出せる

横の薬研のラインも、ヴィンテージから採用しました。

上が薬研のライン有り、下は無し

銀無垢はカシメを出来ません。さすがに横が物足りんのかなと思いまして、ヴィンテージよりもっと明瞭な山にして、ラインを先端まで入れています。思考を変えて、カシメがないのを活かして、眉毛パーツまで視線を誘導するような鋭いラインを入れました。

真っさらな平面で、手彫りの余地を残しておいた方が良かったかもしれませんし、ここもまだまだ考えられそうです。真っさらな平面で物足りないことはなくて、そこに少し私の感覚が入り込んでしまったなと、今になって反省です。とりあえず末広がりで、テンプルエンドはいつも通りのバチ先を採用しています。

リベットの決定

リベットこそ、好みが分かれると思います。ヴィンテージなんかは特に、男はこのリベットがカッコいいと言い、女はこれこそ要らんと言います。僕も30歳を過ぎたら、あると嬉しいけどなんだか無くても良いかもと思うようになりました。

カッコいいリベットとは?そんな風に考え始めると答えのない沼にハマります。プロのデザイナーとか、ロゴを考えられる人なら良いのですが、私は違います。今回は構造上、大きさの制限と立体感は出せないという条件がありまして、候補が限られています。

まずこの時も、レイバンのクラブマスターから始めます。あれは、ぺったんこなオーバルです。今見ると一番良い選択な気がします。なんて無属性で柔らかい雰囲気なんでしょうと。ぺったんこな長方形は、無属性なんですけど雰囲気が堅いんです。見れば見るほど最適解はオーバルです。でも、オーバルは絶対使えないので、どうしたものかと考えなくてはいけません。

ここも私の判断とか好みが入ってしまったので、後世があれこれ変更できる余白があると思います。とりあえず、柔らかい優しい雰囲気にする物がいいなとやっぱり思ったんですよね。そこで、タートのカウントダウンを参照しております。タートのカウントダウンは、リベットのパターンがいくつもあります。それこそオーバルもありますし、今回の銀無垢でも参照したaxe(斧)のリベットもあります。このアックスのリベットが秀逸で、やや釣り上がってグラマラスなフレームを、微妙にナードに優しい雰囲気に仕上げます。是非、カウントダウンは画像検索をしてみてください。フレームのアウトラインを目で追ったときと、リムからリベットに目で追ったときの印象が全く違います。あの優しさを採用しました。

そう思って、開発のベースとなる手元のアルミサーモントをみたら、そう言えばこれもそんな感じでした。2方向から検討して同じ結果なら、自信がもてます。これの立体感を無くして、後ろに機構を組み込む為に必要な分だけ縦幅を持たせたのが、完成品のリベットでした。リムの上端を鼻側から耳側に目で追って、耳側のピークに来たときにリベットに目を移すとなだらかに降るんです。この目の動きはタートのアーネルとかモスコットのレムトッシュの、フレームのアウトラインと同じです。

今後のこと

とりあえずこんな感じです。実際にテンプルの幅はなんだかんだとか細かくいろいろとありますけど、ざっくり私が検討したことを書いておきました。ちなみに今週の火曜日に鯖江の工場で見たときは、刻印無しの組み立てホヤホヤで一応持って帰ることも可能だったんですけどね。年末だしなぁというので、完全に仕上がってから入れます。

あとですね、鼻パッドが遅れて出来ます。銀無垢で。一番面積を広く出来る限界一杯のパッドです。それが1月か2月か、金型からになるので時間が掛かるそうです。それもあって、持ち帰るのを我慢しました。

デモレンズ込みの総重量が63グラムでした。太いセルで装飾パーツが付いたフレーム並みに重いです。前回の銀無垢のサーモント(クリアグレーの眉)の2倍くらいあります。重くなるのは予期していましたが、許容値のギリギリいっぱいでした。ガラスレンズは、まず無理でしょうね。

まず掛けてどんな感じか、それが心配だったんですけど、全く科学的ではない主観で言えば、重量ほど鼻の重さがあまり感じなくて、コレは大丈夫という直感がありました。バチ先のテンプルエンドの重みと摩擦なのか、やはりテンプルを末広がりにしたことで、重さを重さで制することが出来たのか分かりませんが、掛けられる感覚は大いにありまして、かなりホッとしております。想像の産物ではない現実のメガネとして成立しています。

今回も、鼻パッドの取り付けは箱です。商品価格に対して取るべき構造みたいな話もありますから、フレーム全体を消耗品にしたくありませんし、カシメとか抱きのパッドがヴィンテージライクでカッコいいのは承知ですけど、個人的には銀無垢は箱一択です。修理も交換も容易く、交換パーツの手数が豊富です。いまのところ925サーモントには、前回のサーモントのときに型で抜いた涙型の銀無垢の鼻パッドが取り付けられています。それでも鼻へのずしっと感は少なかったとは思います。でもそれで油断せず、むしろ先手を打っておきたくて大きな無垢パッドも制作中です。最悪どうしても重い、下がるならさらに奥義のシリコンパッド等が使えますから、まあこれも男は無垢に拘って女はむしろ目立たない透明が良いなあってなりがちなんですけど、フレーム全体を諦めることは無いんじゃないかなと考えています。ということで、仕上げの鼻パッド待ちです。それこそ鼻パッドの取り替えは簡単なので、1月中には鼻パッドが出来ていなくても入荷させようかなと考えています。

僕側の、なんかこういうの欲しいなあの“こういうの”の部分のデザインよりも、そのこういうのを具体的に製作すべく図面をデザインの方がかなり苦労されていると思います。その部分は書けないんですけどね。非常に変な表現ですが、それらのデザイン同士が衝突して、一箇所どうしても決断を下さないといけない部分がありました。それが眉パーツとテンプルの合わさるところの処理についてなんですけど、それを決めるときが一番悩みました。それは、物が届いたら書きます。

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