ちょっと記憶が曖昧です。おそらく3年ほど経過した、サンプラチナのメガネです。手彫りの装飾が施してあります。
サンプラチナの特性上、925シルバーと違って変色はありません。硬い素材のため、けっこう何気なしに使っても彫金の切削面が削れて丸くなることは無くて、未だに精緻な鋭さを放っています。

いま変色しないと書きましたが、ロー付けの接合箇所は黒くなります。ブリッジのメイン部分と、レンズの掴みのパーツの間に1本棒が渡っていることが確認できます。そこが黒ずんでいます。プラモデルにガンダムマーカーで線を入れる感じで、この黒ずみでちょっとした重厚感がでます。

ここも黒ずんでいます。分かりにくいんですけど、キャッチとテンプルの接合箇所がちょっとだけ黒いです。

このブリッジが面白いのは、サイドの「く」型の箇所は四角柱の面が正面に向けられているのでは無く、辺が正面に向けられています。菱形の棒でこの形を作ったという表現の方が分かりやすいかもしれません。手彫りをブリッジに沿って全部に施すことで改めて認識することができましたが、そうしますとどの角度から眺めても、ブリッジのラインを目で追う際に二つの面が目に入ることになります。これでいえば、手彫りの面と何もない真っさらな面です。その対比が非常に美しいです。尚且つ30年代のフレームのように細くラインを用意したのにも関わらず、ただ華奢に見えるだけでは無くて力強かったり豊かに見えます。ダイナミックに見え始めます。色々な見え方が内包されているということがそこに帰依しているでしょうし、実際に正方形の対角線の長さは√2倍なので真正面からこのブリッジを捉えたときは、一つの面だけを見ている時より幅が広く見えています。


元ネタと同じ箇所に手彫りをするとこんな感じです。これは在庫を撮りました。真っさらな面が傷なくピッカピカです。
この彫金のスタイルですと、視線が彫金が施されている水平部分に自然に吸い込まれます。それによって、鼻で固定するフィンチメガネのような風に見え無くもないです。この彫金の方が、クラシックで静謐さを感じます。
例えば30年代の金張りのフレームであれば、ブリッジ全体にプレスで彫金模様を施すのが一般的かと思います。そのルールに従うと全部に手彫りを施した方がクラッシックに見えそうなものですけど違いました。この構造に全部彫るルールを当てはめますと、あの時代には無かったダイナミックさが滲み出てしまうというのは、先ほど書いた通りです。どのような雰囲気にフレームを方向付けたいのか、それで彫金のパターンをどうするのかが変わります。