カテゴリー:目のことレンズのこと

レンズ交換
目のことレンズのこと

18.10.09

ブルーミラーからゴールドミラーに変更しました。フロッグスキンです。ベースの色はコパーの85%です。ゴールドミラーとコパーの茶色が混ざって綺麗です。ミラーながら、落ち着いた感じもあります。

サマー感を無くしたいというご要望と、落として傷が付いたので治したいというご要望をいただいて、いっそレンズカラー毎、丸替えです。

ちなみに、コーティングの部分修復は出来ません。レンズ毎交換になりますし、カラーの場合は色の差が出ないように両眼の交換となります。

初期(ブルーミラー)は、ポリカ系の非常に傷つきやすいレンズが入っていました。裏面はコーティング無しです。作り直したレンズは、マルチコートが掛かっているので、裏面の反射が抑えられ、使いやすくさらに傷つきにくいので快適に過ごせるのではないかなと考えています。レンズ自体も硬いです。

近視抑制
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18.07.26

何だかんだ店で作業しています。その息抜きで、調べ物をしていました。昨年末に耳にした、「紫外線が近視の抑制に関わっている」という論文です。

眼に関して権威があるのは

「EBioMedicine」

という雑誌らしく、確かに「Tsubota」(坪田先生)で検索すると出てきます。雑誌掲載が2017年の2月、論文の発表が2016年の12月でした。第三世代(420nm)のブルーライトカットが広がり始めたのとほぼ同一時期ですね。

色々書くのは控えますが、調べてみると、ジンズさんがそれをまとめてサイトを作っていますね。「近視抑制 紫外線」で検索して出てくる『ME-MAMORU』というジンズさんのサイトに、要約が書いてあります。他にも近視の原因は眼軸長ですよとか、分かりやすく書いてあります。

とりあえず、大人はそんなに気にしなくて良い話ということですね。もう既に、成長と共に眼軸が16歳くらいまでで伸びきっちゃっていますから。

子どもはというと、どうでしょうね。まずは冷静に、計算して考えてみます。眼軸の1ミリは、度数の3.00Dに相当します。例えば、1年間で眼軸長の0.05ミリの伸びは、近視の度数で表せば-0.15Dに相当します。レンズの製作に於いて、度数の刻みは0.25Dですから、一段階に満たない量です。この1年間で0.05ミリという眼軸の伸びが、あの論文での抑制結果です。

一方では蓄積する紫外線ダメージを若いうちから極力減らして、歳を重ねる毎に増す白内障などのリスクを減らしましょうという考えもあります。近視が実際に抑制できる量なども合わせて考えてみますと、とりあえず現状は、紫外線をカットするカットしない、どちらにも過敏にならなければ良さそうです。近視の仕組みの一つが分かって面白いなあくらいが、丁度いい反応だと思われます。

 

捉え方とかその他諸々
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18.07.24

検眼の分析の仕方について。作法の一つに「パーシバルの基準」というものがあります。

『RCI線とRCS線の幅を三等分し、中央1/3の領域部分をドンダース線が通っていれば快適な両眼視は維持される』

これが正確な定義です。専門用語はさて置き、これだけではよくわかりません。検眼データから判定するとすれば、それなりに数式があって、代入することによりプリズムの要不要や、処方の目安が得られます。でも、これではパーシバルさんの意図が掴めません。

極めて個人的な意訳としては、

『目の引っ張る力と寄せる力、やっぱり同じくらいが丁度いいよね』

と、読み替えています。目の筋肉のバランスが良い状態とは?という問いに対して、力が半々ずつくらいという解答な訳です。定義は物凄く厳つい感じでしたが、意訳してあげれば極めて直感に近い、自然な基準だったということがわかります。たまにお客さんには申し上げている、数学も国語も変わらないというのは、結構本気で言っていたりしますし、この意訳の方が大事じゃ無いかなと思っています。

専門書の多くは、定義の羅列がメインの場合が多いです。確かに、自分で意訳を見つけることが理解する上で望ましいですけど、何よりも一番は、すぐに理論を現実に組み込みトライすることでしょうから、定義・数式等々、その心意気みたいなものが、もう少し載っていてもいいのになと感じます。

s-5.00くらい
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18.05.25

s-5.00くらいで、PD≒FPDであり、なおかつレンズサイズ44ミリのときの、丸生地と削った後の比較です。屈折率はガラスの1.52です。この条件であれば、まあまあ強い度数でも十分に薄いです。比重も他のガラスと比べると低く、アッベ数も高いので、低屈折率のレンズでよろしいかと思います。

仕上がりはこんな感じです。

イギリスのヴィンテージフレームに搭載しました。深い緑が綺麗です。

特注染色
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18.04.29

業界では特注のレンズ染めを見本染色と言います。通常、レンズに色を入れる場合は、各社共通の色味(アリアーテトレス)か、それぞれ独自で開発した色から選択します。

しかし主に以下の場合は、特注で染色をしなくてはなりません。

①どのカラー見本にも無い、オリジナルの色で染色したい

②違うレンズメーカーの色で、発注したレンズ生地に染色したい

①も②も、工場に目的となる色の見本を送ることで、特別に染色していただけます。見本染色自体は、おおよそどのレンズメーカーも受けてくれているはずです。この文化は日本だけなのかは分かりかねますが、レンズの色を最大限楽しむには見本染色をするといいと思います。

前回ブログに載せたのは②に該当します。今回の見本染色は、①です。①で、しかも見本とする色をレンズではなくて、プラスチック片で指定しました。

鼻パッドの黄色が、スパーキー過ぎず野暮ったくもなく、絶妙というところで、まさかの黄ばんだ鼻パッドを見本にするという無茶振りをメーカーにしました。染色の後、ゴールドミラーを掛けております。

ミラーによる補色の関係で、見る方向や照らす光の色の影響を受けます。条件によってはグレーっぽい青のレンズに見えます。ミラーが無ければ、ほぼ色味は一致するはずです。ちなみに、アリアーテトレスでスパーキーイエローがあります。それは蛍光イエローっぽいです。

染色の技術はすごいです。ホヤのリンクを貼りますので、お時間あればどうぞ。

https://www.vc.hoya.co.jp/tetsugaku/20160205-1.html

お客さんのメガネ
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18.03.26

昨日帰還しました。今日からは店で加工をゴリゴリしていきます。

お客さんのメガネ。ご購入品。小ぶりなツーブリッジです。上のバーが端から端に伸びており、それがカッコ良いです。レイバンのエシュロン系のツーブリッジです。

ご希望でガラスのクリア、ノンコートを入れました。70年代のやり方です。今のファッションの「ちょいダサ」の演出の為のツーブリッジではなくて、ゴリゴリでカッコいい方の演出です。映画タクシードライバー寄りのツーブリッジと例えればよいでしょうか。あれはサングラスですが、要はややミリタリーなイメージです。

右レンズ s-4.50 です。フレームの大きさと、瞳孔間距離を考慮に入れて、屈折率は1.52にしました。

屈折率をあげても縁厚で1.0ミリも変化がありませんでした。むしろ中心厚がどんどん増え、さらに比重も増えます。おそらく、1.70以上の屈折率のレンズを積むよりも、軽くなったと思われます。

1.60の方がひょっとしたら軽かったかもしれませんが、縁厚で0.1〜0.2ミリ薄くなり、中心厚は0.1ミリ厚く、比重は変わらないとなりますと、1.52との仕上がりの重さの差は少ないと判断し、1.52のアッベ数の高さを優先しました。

ガラスレンズもプラスチックと同様に、薄ければ(=屈折率が高い)良いってものでは無いです。特にガラスの場合は、削ってみないと重さは分からないので、未だにレンズの選定は難しいなと感じております。値段が大分変わりますから、慎重に選んでいます。

お持ち込み
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18.02.09

フィッティングでのお持ち込み。増永さんのチタンフレーム。抜群に綺麗です。写真はレンズ交換後です。ガラスのハードコートです。

フィッティングとのことでしたが、あれこれあって、検眼も行いました。フィッティングの観点から、実際には検眼の時点でフィッティングに向けての考察が始まっています。

元々、ガラスのレンズが入っていました。球面レンズ、大変な重さから、おそらく屈折率1.70以上でしょう。今回、球面値がs-3.00程度、フレームサイズが52□19、瞳孔間距離が64ミリなので、縁厚を気にしての薄型化を選択されたと推測出来ます。ただ、s-3.00は、そこまで強度数とは言えないと私は思います。また、1.70以降のガラスレンズの比重は相当ですから、縁の厚みだけ気にすれば良いってものでも無いのが、ガラスの屈折率の決定の難しいところです。この段階で、ガラスの1.60で何とか出来ないか?という着地点が見え始めます。

問診と検眼から、そもそもが過矯正であったこと、外斜位がやや多め、ピント調節を緩めたときの目の開きの増分が多め、ピント調節過多の傾向があると判明し、度数を下げて、尚且つプリズムの処方をしました。プリズムとは、目のズレに対するアプローチのことです。

その際にレンズにプリズムを組み込むのでは無く、光学的に同値な、レンズの平行移動にてその処方をすることにしました。交換レンズもガラスをご希望でして、球面設計であることを最大限に活かす為の選択です。もちろん試験枠での心地よさから、プリズム処方の最終判断は下しております。

結局、処方は光学中心間距離が68ミリでした。これで、レンズの中心がフレームの中心に近づきました。より厚い部分が削れて、度数は弱めましたから、一層軽く薄く仕上がります。検眼・レンズ選定から、フィッティングは始まっています。プラスチックならそこまで気にかけなくても良かったのでしょうけど、ガラスレンズに対して、そこそこの大きいレンズのフレームという組み合わせが、検眼等々を神経質にさせています。もちろん過矯正の改善と、目の疲れを改善するといった主訴も、検眼をした大事な要因です。

実際の枠入れは、相当難しいです。普通のフレームであれば、例えばフレームにアールをつければ済みます。これは眉部分がチタンの塊ですから、硬すぎて曲げられません。そして、フレームがレンズに沿うということも無いです。逆に、望ましい例では無いですが、プラスチックレンズの場合に起る、レンズが歪んでフレームに沿うということもないです。カーブしていないフレームに、カーブしたレンズを組み込まなくてはいけません。少なくとも、オートモードでボタン1つでは加工出来ないです。

とりあえず組み込めて一安心です。計っていませんが、3〜4割くらいは軽くなったと思います。フレーム全体の重量バランスが、智から少し後ろで取れますので、何とかいけそうな気配は感じます。このタイプのフレームにガラスを組み込んだことは無かったので、大変勉強になりました。

開散
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17.11.07

アイパッドで書いていますが、開散が一発で変換候補として出ないですね。解散ではなくて、開散について。寄り目から目を戻す、目を開く動作を指します。

私は番組を観ていませんので何とも判別出来ませんが、どうやら朝の番組で「スマホ老眼」の話題があったようですね。

解決策として、

「100均の s+2.00 の老眼を、5分掛けてぼーっとする」

が提案されていたみたいです。屈折系に対して弛緩させるというアプローチです。ただ、問題はそれだけでは無いです。冒頭の開散の問題、つまり目がニュートラルに戻りにくくなっているということも、そういった仮性の老眼に関与しています。

お医者さんの提案なので、もちろん反論は致しませんが、光学的な事実に関してだけ。

安く買える既成老眼の、光学中心がどこにあるのかが、心配な点としてあります。基本は手元用として販売しますので、光学中心の距離は短く取っており、そうそう問題は無いと思いますけど…。長いと心配です。フレームの中心で芯取りしてある場合等々です。

自分の目と目の距離(以降PD)に対して、その光学中心間の距離が長い場合、老眼のような凸レンズですとベースアウトプリズムが発生します。これは、目を内側に寄せる作用が出ます。そして、目を寄せる(輻輳)ことと、目の調節(ピントを手前に合わせる作用)は生理的に連動しております。

つまり、掛けると目の力が弛緩しない状況が発生するかもしれません。むしろその逆が発生する可能性もあります。そもそも、この方法は解決策というよりは応急処置ですしね。とりあえずいいメガネを作りましょうくらいのことを、眼鏡屋としては言って欲しかったところです。

目のポスター
目のことレンズのこと

17.10.03

目のポスターを貼りました。

おそらく、今までの私の目の説明の70パーセントくらいは、

「(こいつ、意味不明だわ…)」

と、なっていたと思います。図が無かったのでしょうがないな、と思いながらいつも話していました。折角来てもらったので、30パーセントだけでも持って帰ってもらえればという思いです。

このポスターのおかげで、60パーセントくらいが意味不明になると思います。10パーセントくらいは、明瞭になるでしょう。

ですから、これからもわかりやすく説明するためにはどうしたら良いか、自助努力を怠らないようにします。

ディスプレイ
目のことレンズのこと

17.09.29

店内で用いているディスプレイ。今回は店頭ではなく、お客さんの注文分です。

部屋にメガネを飾りたいという欲求が出始めたということは、メガネが単なる道具では無くなったサインです。この一歩は相当嬉しいですね。

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