カテゴリー:目のことレンズのこと

条件
目のことレンズのこと

17.07.13

明日まで、引き続きお休みします。何卒ご容赦下さいませ。

メガネ屋側の話ですが、プリズム処方の際に、基準みたいなものがあります。その存在も知りつつ、お客さんの状況、主に仕事内容と現在の目の症状を鑑みて、ある程度の量を処方していました。レンズに組み込む場合もありますし、焦点間の距離を操作することで(目とのズレを意図的に作り出して)処方する場合もあります。

例えば基準の一つとして、シェアードの基準というものがあります。こちら側のアレなんで、特に内容は書きません。たまたま、50歳真ん中くらいの方に、「シェアードの基準って、何時くらいからありました?」とお尋ねしたところ、少なくとも専門学生時代から既に存在していたということでした。ということは80年代には、統計的な結果として用いられていたようです。そして、私の認識の仕方がちょっと違っており、あくまでのこの基準は、処方値を決定する際に、上限値として用いるとのことでした。

引っかかるのは、この基準が「80年代」に作られた統計的な基準というところです。全く当てはまらないと思っているわけではなく、当てはまらない事例が増えてきそうということです。パソコンやスマホ等々の電子機器の存在と、仕事の内容も画面を注視する仕事が増えてきたことなど、当時と今とでは生活環境が相当に変わっているはずです。

ちょっと前のブログにも通じますが、答えだけではなくて、プロセスが大事的なことを書きました。数学でも、定理だけが大事ではなくて、どの条件(仮定)のもとに、それが成り立つかが大事なんです。プロセスと、もっと遡って積み上げる土台となる前提条件を重視します。そのときに、条件を緩めたり変えた際に、結果がどのように変容するかが楽しみなわけです。ひょっとしたら、成り立たなくなるかもしれません。

業界の宝としてあの基準があります。同じように、それがどのように変容していくのか楽しみです。前提条件が違ってきています。お客さんの反応からも、何となく変化を感じます。

自作
目のことレンズのこと

17.06.29

両眼がちゃんと働き、それぞれの網膜で処理され、脳で一つの映像になっているか?これがメガネの醍醐味です。両眼視がちゃんと出来ているか。視覚が良好か。これが大事で、視覚の向上がブルバキとしての目標です。輪っかの切れ目が云々という話は、手段であって目的では無くなってきます。つまり、視力至上主義を改めなくてはなりません。ただ見えれば良いという訳でもないのが、メガネの面白さです。それは、人間の目とか人間そのものの面白さでもあります。数値だけでは、どうも上手くいかないのは、目でも何でも同じみたいです。

機械の修理中なので、自作で両眼視機能を把握できるキットを作っていました。一度処方した方も、経過観測として試させて下さい。

結構な額のする機械もあるみたいですが、両眼視の把握は、普段に近い状態のほうが精度が高いという見解もあるようです。機械よりも、割と原始的な器具の方が、お客さんの両眼視の状態を把握しやすいみたいです。とりあえず、作ってみました。

はじめての言語ゲームは、内容も抜群に面白くて良い本です。そして、何故か横書きなので、たまたまこの検眼にぴったりです。どちらもお楽しみに。

眼位
目のことレンズのこと

17.06.07

なぜか、遠視性倒乱視の検眼がつづいています。

視力が1.0とかそれ以上出てて、眼の疲れ(眼の奥が引っ張られる感じとか)や、重たい肩こり等々があれば、結構このパターンが多いです。私のところでも、全く眼鏡を掛けてこなかった、要らないと思っていた人で、実際は、常用が望ましいと判明し着用してもらっています。

遠視性倒乱視の場合、度数の値としては小さく、なおかつ視力検査では1.0以上出てしまって、眼鏡屋でも眼科でも見過ごされてしまうケースが多いようです。

さらに、今日のケースでは外斜位の値が大きく、それが悩ましかったですね。

視力と眼位は連動しています。度数と、眼の位置が連動していることは、あんまり知られていないかもしれません。外斜位(外向き)の力が強ければ、真っ直ぐみようとするときに、内側に力を込めなくてはなりません。つまり、遠くを見るときに、勝手にピントが手前に合います。近視気味に感じるわけです。

遠視の場合、多くは内斜位に振れます。ですが、今回は遠視なのに、そこそこの外斜位でした。ですから、軽い遠視が強い外斜位によって、近視のように見えてしまっていたわけです。眼が見にくくなって、他のメガネ屋で入れた近視の度数が、さらに逆効果だったと考えられます。

そういった症状は、もちろん検眼で判明することもありますが、大方の予想は、商品を選んで貰っているときの目の動きや瞬きの回数、眼があったときの眼位、首の傾き具合などとから予測を立てています。

「目は口ほどに物を言う」

と言いますが、確かにそんな感じかもしれません。

 

検眼について
目のことレンズのこと

17.05.28

眼にも癖があります。

ニュートラルな位置が真っ直ぐではないとか、ピント調節が入りやすいとか、寄った眼が開きにくいとか等々。

遠くが見える見えない、近くが見える見えないだけでは、そろそろ検眼としてどうなんだろうかと、問われている気がします。量販の台頭により、見えるだけの処方は価値が薄らいできたこともあります。ですが、それ以上に、生活環境の変化によって眼の癖が問題として浮上することが増えたことが、要因としては大きいと考えております。

近くを、集中して覗き込むことが増えました。朝起きてから夜寝る直前まで画面を注視する生活の方もいらっしゃると思います。今までなら問題とされなかった眼位や、輻輳・開散といった眼の動きの軽微なズレも、支障になってしまっているのかもしれません。支障まで行かずも、メガネの使いづらさにはなっているでしょうね。眼の癖に沿った処方をせずに、コーティング等々でブルーライトカットのような、“刺激”への対処を施しても、効果はぼちぼちでしょう。

そして、眼の癖に対応する場合には種々のやり方があるわけですが、与える度数との関連もあります。ですから度数というのは、視票がマックス見えるミニマムの度数を探すだけでは物足りないです。少なくとも心地良さは追求出来ないでしょう。

メガネは、最後はやっぱりレンズが面白いですよ。当時普及していなかった処方を、ヴィンテージのメガネに搭載することで、現在と過去が融合する感じが堪らないですね。

集中力に関して
目のことレンズのこと

17.04.20

集中力と目の筋肉の話です。

大人になると、集中力が持たなくなりませんか?高校受験は一生懸命出来たけど、大学に入ると全然勉強出来ない気がします。それは、誘惑の多さのせいかもしれませんが…。

就職してから、専門的な仕事のため、勉強して資格等々を目指すこともあると思います。その時の集中力の短さ。感じませんか?私は感じました。好きなメガネ・レンズの専門的な勉強でも、集中力が途切れやすいと実感しています。すぐ飴とか食べたりして気を紛らわしてしまいます。無駄に立ち上がるとか等々、身体を動かす行為も増えました。結構、作業がぶつ切りになります。

話は変わりますが、目の筋肉のピークは何歳でしょうか?老眼が始まると言われる35歳くらいでしょうか?実は違います。大体12歳です。目ん玉はかなり早熟です。いま、私は29歳なのでピークからそこそこ時間が経過したと言えます。ドンダーズ表を参考に調べると、ピークの半分の力しか私の目には残っていないです。

例えば分かりやすく、重たいものを持ち上げる行為を想像してみます。12歳の時に25%くらいの力で出来たことは、今は50%の力じゃないと出来ないということになるので、昔は片手で持てたものが、今は両手が必要という感じでしょう。要は、結構難儀な行為になったのだなと思えるわけです。

 

今回の集中という言葉は、特に近方視・近方作業における集中を指しています。目の力とざっくり言いましたが、ピント調節機能の他にも、輻輳(内寄せ)と開散の機能も弱まります。手前にピントを合わせ、なおかつ小さい字を捉えるために目を寄せるのが難儀になってきている状態に、無意識になっていたわけです。

小学生とかで、学校の勉強に集中出来ないのは強めの遠視だったという事例を、たまに聞きます。それに近いことが、今まで感じなかったけど、歳を取ることで起きているのでしょうね。なので、集中力が持たなくなってきたのは、誘惑が増えたこともありますが、目が原因の一部とも言えそうだな、という話でした。

 

私ごとですが、初めて手元を見るときにアシストの入るレンズを使ってみました。遠近両用の超入門みたいなレンズです。単焦点として販売しても気付かれないと思います。それくらいちょびっとのアシストです。正直、ピント調節の不具合、タイムラグ等々を感じていなかったので、手元の見易さを実感出来ずにいました。ですがここ最近、勉強したり本を読んでいて、なかなか集中が続いたなと思いました。気のせいかもしれません。本が面白いからかもしれません。ただ、レンズも若干は関係していると、実感から考え始めています。

流行の恐ろしさ
目のことレンズのこと

17.04.13

フラットレンズ(プラスチック)度なし、濃度50%くらいのカラーレンズを沢山入れようと試みております。入荷は5月くらいでしょうか。

フラットレンズが一般的に認知されている、流行っている兆候がメーカーさんにありました。フラットレンズ(プラスチック)の基材が無いみたいです。恐らくですが、トムブラウンの流れでしょう。ティアドロップとかにフラットレンズ(濃度90%くらいのレンズにミラーコーティング)を搭載するメガネが多いのでしょうね。バッキバキに反射しているサングラスを見るようになりました。アレです。

メガネの全体の風合いを高めるために、ブルバキとしてはフラットレンズを使うことは多々ありました。フラットレンズが急速に流行ることによって、来年あたりに時代遅れと認識されるのが怖いなと思いました。フラットのミラーのみ流行りっぽいですけどね。

50%くらいの薄っすらのカラーに、自然な反射くらいがカッコいいと思うので、いつも通りそれだけやります。また届いたら載せます。

視力至上主義
目のことレンズのこと

17.04.10

例えばですが、ある人が居て、その人は学生のときに勉強が出来た(=テストの点数が高かった)とします。それだけで、その人を素晴らしい人間と直ちに判断出来ますでしょうか?おそらく出来ないと思います。

世間では、「社会に出たら勉強なんて関係ない。学力よりむしろ人間力。」的なワードが飛び交っています。点数や数値では測れない何かを認めているわけです。

眼も同じだと思います。視力の数値が高い低いだけが、眼の良し悪しの全てを表現出来ているわけではありません。

いかんせん、人間ドックですら遠くの視力が高い低いのチェックだけで終始しているようなので、視力が高い=眼が良いというイメージを覆すのには、相当な時間がかかるのだろうなと思います。それか、マジョリティは変わらないかもしれません。

様々な機器を駆使するようになり、より一層、近方を長時間見続ける状況に晒されるようになりました。メガネの立ち位置も、視力矯正というより、視機能改善というふうになっていくのだと思います。ですから、店頭では若干冗談気味にお伝えしますが、全員度数のあるメガネを掛けさせたいというのは、割と本気です。何らかの改善を与える物としての役割に移行するように、ブルバキも頑張る所存です。

 

自分で試しています
目のことレンズのこと

17.03.16

ヴィンテージのメガネに対して、今回はレンズの質感とか見た目ではなくて、性能を重視してレンズを選びました。

上の眉毛のメガネは、70年代のドイツ、ローデンストックのフレームに被写界深度が深くなる単焦点レンズを搭載しました。また、夏場のサングラスとしても使いたいので、青色光カットの第1世代である、短波長吸収のカラーレンズを搭載しました。

下のツーブリッジのメガネは、同じ年代のフランス製です。メーカーはホヤで、この時代ですと製造がフランスのエッセルです。レンズは目線から10ミリ下に、手元をアシストする度数がちょっとだけ入ったレンズです。単焦点ぽく紹介されることもありますが厳密には累進レンズです。420ナノメートルの波長をカットする素材を染み込ませていますので、若干グレーのレンズです。

上も下も、短波長吸収カラーを入れたり420ナノの短波長をカットする素材で、チラツキを軽減しております。それにより遠くがパキッと見えるようになります。手元は、被写界深度を上げてピント調節がしやすくするのか、はたまたサポートする度数を入れるのか、という違いです。いずれにしましても、普通の単焦点レンズに比べて手元も楽になることを意図して選びました。

今のところの実感です。上は、やはりパンフォーカス気味になるのか、遠くも近くも綺麗な感じがします。空間が迫ってくるような感覚があります。手元よりも遠くが鮮明になったのを強く感じます。

下は、手元の作業が今はあまり無いので実感はありませんが、揺れや歪みが無いので、確かにほぼ単焦点と変わらない使い心地で、累進の入門としても進めやすいなぁという感想です。左右上下の視線移動も滑らかな気がします。本は読みやすいかもという感じです。特に、今は室内灯が全てLEDの所為か、420ナノの楽さはちょっと有るかもしれません。

私の場合は、どちらも夜になった時の目のしょぼつきが軽減出来ておりますので、それなりに効果はありそうです。しばらく続けます。もう少ししましたら、度なしの体感キットみたいなのが出来るはずですので、お店で試してみて下さい。今のメガネや裸眼にかざすだけお試しできるキットを作ります。

新レンズの到着
目のことレンズのこと

17.03.16

420ナノのレンズがようやく届きました。一番右です。

(左は通常、真ん中は白コートのレンズ、右は420ナノ)

短波長とか青色光とかあれこれ聞きますが、420ナノメートルの波長は可視光となります。可視光を遮っていますので、色味が出ます。グレーぽいです。茶色っぽいメーカーさんもあります。

自分の度数なので、厚めです。

遠視について
目のことレンズのこと

17.03.15

視力表を載せてみました。

例えば近視(遠くが見えない)の場合。視力0.2くらいの人は、おおよそ S-1.50 くらいの度数が入ります。視力0.2の場合は、間違いなく生活に支障が出ますので、メガネかコンタクトの着用をされていると思います。

では逆に、遠視というものを考えます。近視の逆になりますので、近くが見づらいひとです。

人間は、筋肉を使って近くにピントを合わせることが出来ますので、遠視の「近くが見づらい」という症状は、潜伏しがちです。特に若いうちは筋肉がフレッシュなので、筋肉が衰え始めた老視の訴えの時に、結果遠視でしたという発見が多いです。

遠視の場合、例えば先の例と比較出来るように S+1.50 の遠視は、どのように風景が見えるかと言いますと、年齢や様々な条件にもよりますが、基本は視力1.0以上は見えると思います。ハッキリとしたクリアっぽい視界でしょう。同じパワーの近視は、風景がぼやけて不安を覚えますが、遠視の場合は遠くもクッキリ見えていて、近くも若ければ見えていますから、裸眼で生活していることが多いと思います。メガネなんて考えたことが無いかもしれません。

視力の数値が高ければ高いほど良いという風潮の中では、遠視なのか正常な眼なのか、簡単な検眼では消去されがちです。あれこれ見えておりますし、メガネにも慣れにくいというのもありますので、結局老眼で近くが見えなくなるまで放置されがちです。ただ、自律神経は働きっぱなしですので、種々の身体への影響はあるでしょう。そこが怖いところです。

あとは、遠視は潜伏しがちです。簡単に言いますと、弱く値が出ます。検眼の方法や被検者の緊張の有無等々で、値が +1.00 くらい多めに振れることもあります。

とりあえず、眼が良いと思っている方も検眼をお待ちしておりますよ、という話でした。軽めの遠視のような、昔は問題無かった眼の屈折状態でも、電子機器の長時間の使用・固視によって支障が出始めそう・出始めた、ということでしょうね。

フレームは古いですが、最新の検眼の理論が乗っかるというのが、良いなあと感じて日々過ごしております。

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