修理途中
修理とメンテ

17.06.10

お客さんのメガネ。なんだかんだ申し訳ないことに、珍しく忙しいので纏まった時間が取れずでした。ようやく、修理のメドがつきそうです。

AOのブローです。今回は、両テンプルの亀裂がお題です。ヒビならまだしも、亀裂で隙間が空いてしまっているので、付くかどうか微妙なラインでした。

亀裂以外にも、細かなクラックが沢山入っています。

とりあえず、最終磨きの手前まで漕ぎ着けています。実際は、この段階まで2回ほど到達していたのですが、溶着が甘かったりバフの磨きで溶けたりで、2回失敗しています。

明日以降に、最終磨きの再チャレンジです。

このくっつき具合ですと、今度はいけそうです。

手間を掛けたらその分、愛着が湧くなんて言われたら、なんとしてでも使える状態にはしないとですね。修理は意地です。

眼位
目のことレンズのこと

17.06.07

なぜか、遠視性倒乱視の検眼がつづいています。

視力が1.0とかそれ以上出てて、眼の疲れ(眼の奥が引っ張られる感じとか)や、重たい肩こり等々があれば、結構このパターンが多いです。私のところでも、全く眼鏡を掛けてこなかった、要らないと思っていた人で、実際は、常用が望ましいと判明し着用してもらっています。

遠視性倒乱視の場合、度数の値としては小さく、なおかつ視力検査では1.0以上出てしまって、眼鏡屋でも眼科でも見過ごされてしまうケースが多いようです。

さらに、今日のケースでは外斜位の値が大きく、それが悩ましかったですね。

視力と眼位は連動しています。度数と、眼の位置が連動していることは、あんまり知られていないかもしれません。外斜位(外向き)の力が強ければ、真っ直ぐみようとするときに、内側に力を込めなくてはなりません。つまり、遠くを見るときに、勝手にピントが手前に合います。近視気味に感じるわけです。

遠視の場合、多くは内斜位に振れます。ですが、今回は遠視なのに、そこそこの外斜位でした。ですから、軽い遠視が強い外斜位によって、近視のように見えてしまっていたわけです。眼が見にくくなって、他のメガネ屋で入れた近視の度数が、さらに逆効果だったと考えられます。

そういった症状は、もちろん検眼で判明することもありますが、大方の予想は、商品を選んで貰っているときの目の動きや瞬きの回数、眼があったときの眼位、首の傾き具合などとから予測を立てています。

「目は口ほどに物を言う」

と言いますが、確かにそんな感じかもしれません。

 

ENA眼鏡
ヴィンテージのメガネ

17.06.05

恵那眼鏡さんのヴィンテージです。いまは「恵那眼鏡」と打ち出し、ブランド化を進めている感じがしますが、「 ENA」の控えめな感じが好きです。

ENAに限らず、そして眼鏡業界に限らず、そうせざるを得ない時代ということも分かりつつ、でも何となく感じますのは、背景が意図せず作られていて、物の後ろにぼんやり見えている位が、ちょうど良いかなということです。

いまは背景をまずこさえて、物よりも背景を前面に出して勝負をかけます。背景なのに前に出ちゃっています。それでも良いですが、それらの行為がいき過ぎると、物が置いてけぼりになってしまいます。それが心配です。物の良し悪しと、情報の良し悪しがすり替わってしまいます。あとは、見ていてちょっと疲れます。

物の説明なのか、前述のような作り込みなのか、明確な線引きは存在しません。私も、このブログ含めて作り込んでいると言えばそうですし、加減といいますか、心地よい程良さは何処にあるのか悶々としています。

ヴィンテージ眼鏡、入荷しています
ヴィンテージのメガネ

17.06.05

 

80本くらい入れました。今は順次レストア中です。デッドストックですが、型直し、磨き、クリーンング等々、並べるまでには手入れが入ります。

入荷の中で、特に資料的な意味で面白い眼鏡を載せました。入荷の中心は、70年代のドイツのサーモントです。渋いラインです。

竹内光学さんのセルフレームです。レンズサイズから察するに、50年代から60年代の頭でしょうね。サイズ44◽︎20で、男の人のジャストかやや小さめです。

アメリカンヴィンテージが好きな方ですと、この辺りの太いストレートテンプルを探されている人もいますね。タートの F.D.R. もそうですし、F.D.R. の弾が無さすぎてリバティオプティカルとかSROで探しているでしょうね。

日本も、このタイプのメガネを作っていたということに驚きでした。生地のコンディションがよく、販売するかどうか、まずそこで悩んでしまっています。他にも型違いで2本、このパターンはあります。

黒のセル枠は、ちょっと前に流行りましたが、そういうのは関係なく不変的な良さが潜んでおります。ジャストサイズ(PD≒FPD)の黒枠は今までかけた事がないので、自分も使ってみようかなと邪念が生じているくらい惹かれております。

開店が遅れます
営業案内

17.06.01

※変更※

すみません、予定が変わりました。明日の金曜日が不在となります。土曜日は通常どおり居ます。明日の金曜日も、商品はご覧いただけます。アナログさんは金曜日も土曜日も通常通りの営業です。

すみませんが、仕入れに行きます。何卒よろしくお願い致します。

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6月3日の土曜日ですが、店頭に戻るのが16時くらいになりそうです。ご容赦ください。アナログさんは通常通り開店しておりますし、商品も見られます。ただ、私が店頭にいるのは、おそらく16時以降です。

初めての倉庫に行ってきます。久々に、無一文になるレベルで買うかもしれません。内容は分かっておりません。私も楽しみにしております。ご期待ください。

おもしろメガネ
メガネのはなし

17.06.01

いまの、オーソドックスなメガネが一番カッコいいという価値観をひっくり返そうと思っておりません。ひっくり返せると、一度も考えたことはありません。では、なぜおもしろメガネに流れたのか?という話をつらつらと書きます。

ブルバキのメガネは、70年代くらいのメガネが多く、今の価値観からすると、おもしろメガネが多いとは思います。おもしろメガネだけでは無いですが。クセはあると思います。

もちろん、私もカッコいいメガネからハマった人間です。ゴツいセル枠が流行っていた時代でしたね。そして、おもしろメガネに流れた人間です。

例えば、美術館に行くとします。ある作品を見て「綺麗だな。美しいな。」と、感じるとします。美術館にいるときは、綺麗さ美しさを大事にしているのに、一歩外へ出てしまうと、カッコ良さを大事にしがちです。今はカワイイの時代ですから、カワイイの方が何となく伝わるかもしれません。ここに、深い分断を感じている訳です。

何を価値のトップにするか、割と局所的に、その場その場で変わる気がします。それが悪いと思っていません。ただ、出来るだけ多くの事に対して、同じ価値観で判断したいなと思います。それを積み重ねますと、共通項が見つかりやすくなる気がするんです。私は気づいたらメガネの道を進んでいました。メガネ人ならば、まずはメガネで、その価値観の分断を接続してみようと、おもしろメガネに走りました。

そもそも一般には、綺麗さ・美しさ・カッコ良さは連結して感じられるのでは?とも考えます。つまり、そこが分断している時点で、やっぱり私はひねくれていそうです。それに、おもしろメガネと表現しましたが、当時はバッキバキのカッコいいメガネとして扱われていたかもしれません。おもしろメガネとみなすその時点で、今のカッコいいメガネを価値の基準としている気もしています。

価値とか考え始めますとキリがないので、戻します。単純に、綺麗とか面白いとか、物を見て気持ちが「わぁっ!」となったそのままに、メガネを掛けてみたいと思わせたのが、ヴィンテージのメガネだったいう感じです。


雑記

17.05.31

今月もありがとうございました。4月末くらいから、あっという間に駆け抜けた感じです。物を販売したあと、渡り方等々を振り返る余裕が無かった1ヶ月でした。ので、まとめて振り返っております。この月曜日くらいからです。昨日も岡崎で椅子に座りながら振り返っていました。

改めて、ヴィンテージの範囲をどうしようか悩み中です。範囲といいますか、入手経路といいますか。今は、海外と日本の倉庫とブレンドです。半々くらいです。

日本の倉庫で見つかった物をお渡しする方が、断然面白かったりします。この年代に、この店の佇まいでこれを仕入れしてたのか!という偶然を、意外な方が反応してくださり買って頂ける。その連鎖が一番楽しいですね。今月は、特にそんな感じの方が多くて、私としては救われた気分です。仕入れの時、多くの場合は日本の当時のメガネの状況とか、どんな感じで販売していたのかを聞きながら商品を見せてもらっています。その時は、引退された方でも表情が蘇ります。いい感じに饒舌になります。そういう瞬間に直面しますと、やっぱり日本にお金を落としたいなとか、業界を築いてきた方々に回したいなと、やはり思うわけです。

 

入荷
ヴィンテージのメガネ

17.05.28

ちょっと入荷しております。写真のような、クレイジー系ばかりではありません。ご安心ください。

久々の、写真のようなおにぎり系メガネが入りました。前回は、ローデンストックのエクスクルーシブラインでおにぎり系だったので驚きましたが、今回はノーブランドです。生地の使い方が綺麗です。ど迫力で、なんだかんだ驚きました。

検眼について
目のことレンズのこと

17.05.28

眼にも癖があります。

ニュートラルな位置が真っ直ぐではないとか、ピント調節が入りやすいとか、寄った眼が開きにくいとか等々。

遠くが見える見えない、近くが見える見えないだけでは、そろそろ検眼としてどうなんだろうかと、問われている気がします。量販の台頭により、見えるだけの処方は価値が薄らいできたこともあります。ですが、それ以上に、生活環境の変化によって眼の癖が問題として浮上することが増えたことが、要因としては大きいと考えております。

近くを、集中して覗き込むことが増えました。朝起きてから夜寝る直前まで画面を注視する生活の方もいらっしゃると思います。今までなら問題とされなかった眼位や、輻輳・開散といった眼の動きの軽微なズレも、支障になってしまっているのかもしれません。支障まで行かずも、メガネの使いづらさにはなっているでしょうね。眼の癖に沿った処方をせずに、コーティング等々でブルーライトカットのような、“刺激”への対処を施しても、効果はぼちぼちでしょう。

そして、眼の癖に対応する場合には種々のやり方があるわけですが、与える度数との関連もあります。ですから度数というのは、視票がマックス見えるミニマムの度数を探すだけでは物足りないです。少なくとも心地良さは追求出来ないでしょう。

メガネは、最後はやっぱりレンズが面白いですよ。当時普及していなかった処方を、ヴィンテージのメガネに搭載することで、現在と過去が融合する感じが堪らないですね。

ザイロナイト再び
メガネのはなし

17.05.26

写真のレンズは、昭和17年頃のレンズです。左半分の字が解読出来ませんが、西暦で1942年です。日本のメガネ屋から出てきています。古いメガネ屋さんに行くと、この年代のAOの金張りフレームとかも出てきます。おそらく、フレームとなると販売してくれませんが…。レンズもフレームも、舶来物をすでに使っていたことが窺われます。

一般にはプラ枠の丸がメインで、その場合はレンズをそのまま嵌め込んでいたようです。たまに50玉(ゴレイダマ)という呼称を耳にします。PDを無視して度数だけ合わせていたのでしょうか?2枚1組で袋に入っている場合もあるので、50ミリの枠に50ミリのレンズを嵌め込んで終わりだったのかもしれません。その辺りの記載のある資料を探し中です。

 

パッケージデザインがカッコいいので集めていましたが、初めて重要なキーワードに出くわしました。

「ZYLONITE」

そうです、ザイロナイトです。

昔の記事①(アメリカンヴィンテージの素材)

昔の記事②(ザイル第2章)

そもそも、プラスチックのレンズが普及し始めるのは70年代です。70年代の暮らしの手帖のメガネの製品テスト記事を見ましても、一般のレンズとして、ガラスレンズを指して記載があります。おそらく80年代初頭の教本を見ても、今後はプラスチックレンズが台頭するでしょう的な文言が記載されているくらいです。

あのパッケージの、上の帯にある ZYLONITE と、下の LENSE の記載は関係ないということでしょうか?だとしたら、なぜに記載があるのでしょうか?

ただ、プラスチックレンズの登場自体は、1942年のアメリカまで遡ることが出来ます。アメリカの Pittsburgh Plate Glass Co. が、今でも屈折率1.50の素材として知られるCR-39を開発しております。たまたま1942年という一致をしてしまいました。

ただ、CR-39とザイロナイトは、そもそも素材が違います。結局このパッケージと出会ってしまったが為に、また違った角度から、ザイロナイトについての謎が深まってしまいました。

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