鼻盛りです。
驚きました。ストレートテンプルのトムフォードがあるんですね。しかもクリアの濃紺。60年代によくあるパターンなんですけど、カッコいいです。参りました。
レンズの形状がミソです。例えば向かって右側、業界では左レンズの第2象限にあるカーブが、リムの下がり方に沿わずブリッジ上部に向けて突き出しています。そして目線をテンプル側へ移しますと、レンズの輪郭はそのまま緩やかに第1象限に向かって下がっていまして、リムにブローフレームのようなグラマラスな余白が生まれています。アウトラインは普通のウェリントンより堅い雰囲気なのに、レンズとリムの余白はやや女性らしさも含む色っぽさがあって、尚且つレンズ端はタレ目でどこか優しい雰囲気も秘めています。雰囲気のお子様ランチです。全部入っています。
セルのゴツさを、テンプルの真っ直ぐ抜けた感じ、視線移動の潔さと、クリア生地の透明感で相殺しているところもポイント高いです。なんとなくアクティブな感じもするけど、フォーマルな感じもします。別にトムフォードの代理店からマネーが発生しているわけでも無く、取り扱う予定がある訳でもなく、ただただ驚いたので書き留めておきます。プロのデザイン凄いですね。
で、このタイプのストレートテンプルは、フィッティング不良の場合は耳が千切れるように痛いです。難しいんです。眼鏡屋泣かせです。
消えた構造というのは、やはりそれなりに理由があります。プラスチックのストレートテンプルは、やはり下がりやすいです。しかも、耳の上端に負荷が一点で掛かりやすく、メガネを上げ直す回数が増えると擦れて痛みを生じます。今回のケースも、おそらく過去に、上が切れて出血を伴っていたような痕がありました。
今回は、いつも以上に気を使って鼻盛りです。具体的には、鼻パッドの角度です。土台を斜めに残して融着させました。パッド先が鉛直方向を完全に向くようにしました。
テンプルを水平にしてみますと、パッドの先が地面を向いています。これによって、メガネの重みが、鼻にも分散してしっかり乗っかるようになり、耳への負荷が軽減出来ます。
この辺の見た目はいつもと同じです。
整髪料でやられたテンプルも磨いて戻しました。メガネも、1日一回は洗いましょうね。
あとはフィッティングで、耳の添わせを適切に合わせて終了です。