プッチ
ヴィンテージのメガネ

19.07.09

パパッとインスタに載せただけになってしまっていました。ようやく磨けました。どっからどう見てもプッチです。語らずも、プッチ感がびしゃびしゃに溢れ出ています。その真っ直ぐさが最高です。

表面に光沢が出ると、柄と合わさって顔面が滑らかなスカーフみたいになります。とても良いです。エミリオ・プッチは、プリントの王子という異名があるらしいですが(ウィキペディア調べ)、この時代のサングラスはそこに対して敬意が払われているのを強く感じます。敬意そのものが、サングラスとして形になっています。

図鑑によく載るタイプです。また一つ、所有欲が満たされました。よくよく見ますと、今回のものはフロントにリベットが無いです。それはそこまで大事ではなくて、手元にある物をじっくりねっとり調べてみます。ベースの黒生地に、薄い白を貼り合わせた後、実際のプリントを施した布を敷いて、最後透明の生地で挟んでいます。おそらく白い生地を中間に挟んでいるのは、生地の色を綺麗に出すための一手間です。

近づくと、繊維が見えます。

図鑑の方は、おそらく黒いセル生地にプリントなのか?生地の発色を良くする白い生地の層が確認出来ません。また、布特有の凹凸も確認出来ないので、ひょっとすると作りに差があるのかもしれません。また一つ好奇心が刺激されました。そして、正確な考察のために、リベットのプッチも集めないといけなくなってしまいました…。メガネが終わらない。

このサングラスで改めてわかったことに、プッチの柄の強さが挙げられます。いくら太めにリムやテンプルをデザインしても、限界がありますし、やはり用意できる平面は、服より圧倒的に小さいです。そして写真から分かるように、フロントにはレンズがありますから、どうしても柄が分断されます。

でも、冒頭の通りどう見てもプッチですし、プッチと迷うことなく認識出来ちゃってます。だから、凄いブランドなんでしょうね。

1サイズのみ
ヴィンテージのメガネ

19.07.08

リチャード、何故か50□16のみ集まってきます。昨日は真ん中との眉がブルーグレーの、ホワイトの金張が入ってきました。個人的には、一番精悍で好きなカラーです。馴染みが良いのはイエローで眉が茶色でしょうね。

この頃のローデンは腕が短いです。表記は130ですが、それは蝶番ネジからテンプル終端にかけて130ミリです。フロントからだと大体135ミリです。それでもやや短いです。たしかこの頃のローデンは54サイズくらいから、様々なモデルでも表記でテンプル長が135ミリだった気がします。

自分でも、名作を使っちゃおうかなという気分です。とりあえず、ガラスのカラーマルチ、15%のブラウンを頼んでみました。この時代のサーモントに関しては、それこそFPD=PDこそ正解の掛け方というのは疑わしいです。私のPDは65ミリですが、52ミリか54ミリでも、良いのだろうなと思っています。ぴったりなら、それはそれで、特に今回はガラスなので軽くなって良いですけどね。

負い目
雑記

19.07.08

ファッションに近い距離感で、しかも、ヴィンテージのメガネという響きからオシャレさを醸し出そうとプンプンな物を販売しているのにも関わらず、ゴダールの映画を一本も観たことが無いことに負い目を感じていました。別にそれはそれでいいのかもしれませんが、アパレル関係の方とか、お洒落なひとは結構通っていますよね?なんか観ていないことに負い目を感じています。教科書感ありませんか?

そうとは言えども、とりあえず観とかなきゃいかんなー、くらいな感覚で観るのも、作品に対する姿勢として、しかもおそらく神聖なゴダール作品に対してどうなんだと、言われそうな気がして今まで観ていませんでした。

というような話をしていましたら、お客さんが「いい映画ですよ」ということで、4つくれました。ありがとうございました。

なんか、既に良かったです。コンビニの袋に入っているということが。鷲田清一の本で介護の例で度々出てくる、『ただ一杯のお茶を差し出す』みたいな、スーパーフラットに物を継承するという、稀有な体験をしました。大袈裟ではなくです。

これから観ていきますが、もう好きになれそうな予感がビシビシします。

久々の黒枠
ヴィンテージのメガネ

19.07.08

パッと見て、とても良い顔していました。磨き終わりでこんな感じです。特に、ブリッジの凹凸の付け方が歪でした。写真撮るの忘れました。

気になってしょうがないので、対称になるように修正しています。あんだけ今のプロダクトより優れてるとか言いつつ、例えばこういう箇所に対しては、ヴィンテージならではの味とか、古いからしょうがないとかで済ますのも、何だかなぁという気がします。ダメなもんはダメというのも、しっかり把握しつつ、現行品には無い面白さを見出していかないと、と考えています。サッカーで手を使っても、それは異端じゃなくて邪道ですもんね。それか、そもそものゾーンを変える、ハンドボールに移るとか。

この年代周辺は、いつも店頭で雰囲気の良さ以外に何も言いませんが、角を残した磨きが云々ということが語られると思います。そこが職人技的な。ちなみに、外蝶番でピンとネジの面は切ってあって、鼻パッドは透明です。ブルバキとしては、全然分からなくて構いません。ラーメンの常連さんのコールみたいなもんです。あぁ、あの人は慣れてるなーくらいの認識でオッケーです。それ以上でもそれ以下でもありません。

写真をご覧の通り、フレーム製作側の人間ではなく、ただの眼鏡屋ですら、バリバリ磨いても、まあまあ角は落ちなかったりします。私の腕があるとか婉曲的に言いたいのではなくて、本当に落ちないんです。角が。個人的に気をつけているのは、光を反射させた時のバフの布の線が残らない且つ、極力表面が波打たないようにさせるくらいです。角は、あんまり気にしないですね。

現行品のセルフレームの製作工程の中で、ガラ入れというのがあります。それを意図的なのか、そういった概念が無くて工程を飛ばしていたのか分かりませんが、物を触る限りですと当時はガラ入れしてないだけなのかなと予想していたりします。資料が無いので、あくまで物からの予想です。

なんかカッコいい!というのは私も同じ思いなんです。ただ角が残っていること、それが職人技かどうかよく分からないので、個人的にはあまりそこを褒めるのはやめています。聞かれたら、この風合いも良いよねーくらいな返事しかしないのは、それが理由です。ガラ入れして角が取れている方が一手間加わってるやんって、思ったりもします。手触り良くなるし、作り手の優しさが加わっています。

ここで話を戻しまして。このフレームに関しては、それら抜きにしても十分良いと思っています。フレーム全体の角張った感じと、その角が残った仕上げが合わさって、フレームから性格キツそうな感じが出ています。一応褒めています。

で、その印象をどうコントロールするかということが大事なんですけど、それは簡単で、これ掛けて柔和な表情していたら、それだけで十分です。簡単にギャップが生じて、全体としてプラスになるはずです。

楽しい
ヴィンテージのメガネ

19.07.05

久々にヴィンテージの入荷です。今日の夜届いたので、まだ何も出来ていません。パパッと載せてみました。

今までにないほど、楽しい!で溢れた入荷となりました。インスタにも載せた、ほぼ閲覧用みたいな激しいのも多々。個人的に掛けるならコレです。

ものすごく軽薄で素晴らしいです。一応褒めています。シンプルで上質も良いけど、派手で軽薄も最高ですよ。街歩くだけで、なんか楽しくなりますから。たまに、マックの外人の店員さんに不意打ちで褒めてもらえます。

リベットが星になっていて、どこまでもパーティー野郎です。ただ、大理石っぽい生地を選択し、安っぽい感じはありません。レンズシェイプは、やや不気味な正方形で、リムの太さ、丸っこさと合わさってなんとも言えないトータルでの格好良さが滲み出ています。雰囲気イケメンということでしょう。

レンズカラーも最高でした。ほぼグレーなカーキ色で、G15とも絶妙に異なります。これに関しては度付きの場合も、見本色で全く同じ色味で再現したいですね。とにかく、トータルが良いです。

軽薄なんですけど、だらし無い感じはないです。海辺っぽいのに爽やかでスポーティーな感じは無いです。むしろモードで、白なのにダークな雰囲気で怪しさを漂わせています。白いTシャツにこれを掛けるだけで、様々なイメージを他人に与えられますから、それこそ素晴らしいメガネだなと感じます。何にでも合わないし、何にでも合います。これに、カルティエのタンクとかしていたら、あとは何でも良さそうな気がします。遊び効いていて、尚且つ上品だったら無敵でしょうね。

バネ修理
修理とメンテ

19.07.03

リガースのバネ切れの修理でした。いまは、眼鏡業界の代理店が存在していない?のか、アパレルの店ごとに仕入れしているようです。多分。

バネ切れの修理を本家に出すと、つるっと新品が届くそうです。売りっぱなしということは無いようですが、アフターは在庫があればという感じなのかな。修理といいつつ、すぐに新品出しちゃう感じがノーアルチザンで、逆にグッときます。眼鏡は工業製品ですから、それはそれで正しい姿勢な気がします。

今回は、日本の工場で箱バネの取替えです。片方だけの交換ですとバネのテンションが左右で合わなくなります。バッファローホーンで超音波洗浄が出来ず、箱に汚れが溜まってバネ切れをよく起こすということですから、切れたのは片方だけにしても交換は両方です。

溶接で元の箱バネを取り除いて、上に新しい箱を取り付けています。上から見ると、ローの部分が分かりますが、テンプル裏になりますから全体としては分かりにくい雰囲気を醸しています。個人的には十分綺麗と感じています。日本の工場は、使いきれるように最後の最後まで頑張って下さるのでありがたいです。

反対のテンプルも交換です。本来は、薄く砂うちでリガースの刻印が箱に入っています。残念ながらそれは消失します。

バッファローホーンのウリとしては、だいたい「使い込むごとに味が深まる」みたいなところだと思います。であれば、使ってきたものを修理して、もっと味わい深くしてあげたいと、ただの眼鏡屋がアルチザンを吹かせて頑張ってみました。

このブランドに関わらず、アパレル界隈でバッファローホーンを扱うところが増えている気がします。残念ながら、買っただけでは全然最強になれなくて、嫌でも眼鏡屋との付き合いがいると思います。レンズも一発その時に嵌めて、はい終わり!ではなくて、一年ごとにレンズの噛み具合を確認しないと、リムが裂けたりしますし。フレームカーブを、買う前にこちら側で確認出来ると尚のこと良いです。そういった関係まで込みでアルチザンなんでしょうね。変な表現なんで、何となく伝わると有難いです。

持ち込みでバッファローホーンとなりますと、なかなか眼鏡屋さんも受け付けないことが多いでしょうから、関係性を築いてから、フレームを買った方が良いかもしれませんね。まずブルバキも、一瞬あーってなりますよ。

付く場合と付かない場合
修理とメンテ

19.07.03

カザールのお持ち込み。鼻盛りと枠入れ。西ドイツ時代。シルエットやOGにもありそうな、柔らかい雰囲気のカザールです。はじめて見ました。

切り替え時期等、どのタイミングでどのフレームとか分からないですが、たまに鼻盛りパッドがくっ付かない樹脂が用いてある場合もあります。今回はいけました。リムの幅が細くて接地面が少なくて苦労しました。はみ出した鼻パッドを削ることで、滑らかに仕上げています。

明日は15時くらいから、明後日は休みます
営業案内

19.06.30

明日7/1月曜日は15時から開けます。遠方より銀無垢のオーダーをしてくださる方がいて、来店予告をして下さったので閉めます。

明後日、火曜日は休みます。協会が開く講演会を昼から聞いてきます。とくに円錐角膜の講義が楽しみですね。これは割とお医者さんの領域の話なんですけど、眼鏡屋もケラトなり何なりでその疑いに気づくことも出来ます。処方はハードコンタクトになるはず。

早期発見して、まずはお医者さんに行ってもらうよう促すためにも、知れることは全部知っとこうという感じです。

利益還元祭その2
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.06.30

銀無垢のテンプルの偏平な箇所全てと、ブリッジに全部彫金(巷にある、プレスの模様じゃなくて、ちゃんと手でゴリゴリしたやつ)を施してみました。圧巻でした。眩しくて、目がくらみます。

私も3年ほど使ってきまして、彫金に関しては、彫れば彫るほど良くなっていくことに気づきました。例えば同じ唐草といえど、職人さんの構図の良さや、フレームの流れを生かしたパターンの選択の最適さが、量が多ければ多いほど如実です。

大きい画像を載せてみました。スマホで見るとページ構成が崩れていると思うので、パソコンかタブレットでご覧ください。私のかけている物ですが、渦巻きを一単位とし、それが9個彫ってあります。ペルソールをイメージし矢じりっぽくなるよう彫る箇所を指定して、模様はお任せした覚えがあります。これはこれで美しいです。

全彫の側面です。同じ唐草での指定をかけましたが、構成が異なります。まずは主旋律をリムの付け根からエンドにかけてニョロニョロ彫ってあります。そのニョロニョロの周期は、フレームのパーツのそれぞれの起伏や幅に合わせてあります。そのニョロニョロとフレームの隙間を埋め尽くすように、唐草が生い茂っています。唐草の位置は互い違いに上下し、リムからテンプル終端までニョロニョロが突き抜けていますから、美しさにプラス、ダイナミックな動きがあって、より強い生命みたいな何かを感じます。

カッコいいかどうかは分からないです。丁度いいアンファッション具合かどうかも知らんです。一旦そういうことは、これを見たらどうでも良くなっちゃって、美しいなと思ったそのままを身につける、美しいなと思ったその強い感情を、毎日掛ける瞬間や外した瞬間に想起できることの方が、私にとっては大事だったりします。

なのでこの周辺を掛けていて、カッコいいとか言ってもらえるのは割とレアで、大体値段だけ聞かれて「高っ!」だけで終わると思います。褒められるのは、ラッキースケベくらいな頻度です。機会としては稀有なんですけど、だからこそ、その褒めてくれた人とは深く仲良くなれそうな、より確かな温かい実感が得られます。

利益還元祭その1
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.06.26

特にこの時期だからといって、いつも通り何もしないんですけどね。

日頃のご愛顧に感謝して、彫金のサンプルを、またご用意しました。どの箇所に、どういう風合いで彫金が施されるのか、ご参考になれば幸いです。

ブリッジのカクッと曲がるピークの部分と、模様のピークとなるところを一致させて、違和感なく蔦がびっしりと這うようなデザインになっているところが乙です。「彫金をして下さい」というオーダーだけで、ここまでバランスよく完璧に装飾を施して頂いております。

テンプルも相変わらず美しいです。

_170831bk

pageTopLink