カテゴリー:無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

お金で買えないもの
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.11.02

ついに、お金で買えないものが判明しました。そしてそれは、残念なことでもあります。今まで待っていてくれた方、期待させてしまった方、ごめんなさい。

お金で買えないもの、それはSPMの鼻パッドでした。とてもとても悲しいです。

今年、ついにSPMの鼻パッドの製作の話となりまして、製作会議をかけて頂けましたが、無理みたいです。硬くてプレスで抜けないって話でした。

いまの工作機械では抜けないという話なので、新しい機械の配備を待つか、私が宝くじ当てて、自前でプレスのトン数が高い機械を買うか、その2択です。組で販売価格1万円越すかなあとか、甘かったですね。突き詰めて、ついに出会えましたプライスレス。

想像の範疇外のお金がかかるか、例えそれを掛けても、出来るかどうかはまた別ということになります。現時点では、作れない、お金で買えないということの方が正しい表現ということになります。本当に悲しい。

まあ、こうなったら素材を変えるしか無いです。無垢のパッドの、あの独特な薄造りで上品な、豊かな平面を鼻にのせたいその欲求の着地を用意しないといけません。

つまりあのトップの写真は、銀無垢の鼻パッドです。特注で作りました。

見違えます。やっぱり良いですね。無垢パッドお決まりの、鼻パッドの非接地面側に「Ag925」の刻印が入ります。

めちゃくちゃ鋭い方、あれこれ見ておられる方は気付くかもしれませんが、その刻印がレーザー刻印では無く、プレスで浮き上がった文字になっています。これには理由があります。

電話で、そのSPMの鼻パッドが出来ないという報告を頂いた時に、おそらく物凄く悲しみが漏れていました。溜息とか、そんな分かりやすい落胆ではなくて、悲哀が、間で表現されていたのでしょう。

そうしましたら銀無垢はダメ?みたいな話を先方より頂くわけです。それなら在庫で有るよと。相変わらず、おかわりを欲しがるブルバキです。ただしそれは、私も前から把握をしていました。そのパッドは、パッドの接地面にメーカーのファクトリーブランドとしてロゴが、プレスで施してあります。

それがなあ…手彫りの彫金と風合いが異なるからなあ…というのを伝えたところ、それなら削り取りましょうと、先方に言わせてしまいました。メーカーの、意気地が詰まった大事なロゴを自分たちで削り落とすなんて、そんな非道をブルバキ如きがさせてしまっていいのか、罪悪感をズキズキと覚えております。なので、接地面のロゴだけ削り取って、反対側のAg925のプレスの刻印はそのまま残っています。

裏はこんな感じです。やっぱり、違いますね。やって良かったなと。と言いますか、やってくれて良かったな、というのが正しいですね。

ちなみに、腕まで総手彫りです。今回も、パターンはボシュロムの20年代のダイヤ柄にしてみました。

特注で鼻パッドは作ります。小豆二粒くらいで2万円は余裕で超えるので、高いですよね。やりたくなったらしょうがないですね。ご相談ください。

改めまして
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.10.02

毎回毎回、いつも最高なんですけど、今回は特に。もう、工業製品のネジ周りの作りでは無い、異常な光沢です。言ってしまえば、SPMはただの合金ですが、ここまで美しくなるものかと感嘆します。

無垢で再現して、ひと1人の人生よりも長いスパンで保存できるようにした、あのブリッジです。実は、初期ロットでフルリムを片手程度作りましたが、まだちょこっとだけ、ブリッジのみ残っていました。来年以降、どの玉型を作ろうかなと考える中で、あれこれ試してみようと思っていましたが、やめました。ツーポを作りました。

といっても、お客さんのご要望からスタートしておりますから、既に販売先が決まっております。在庫分がありません。一般販売は来年以降です。来年、SPMのラインが動けばなんですけどね。

初めは、載せるつもりは無くてですね、お客さんと私でニヤニヤして終えるつもりでした。ですが、あまりにもメーカーが想像を超える仕上がりで完成させてくれましたから、やはりちゃんと世間様に見てもらう努力をしないと、メーカーが報われないなと思いまして、ブルバキの職務を全うすべく、載せることにしました。

今年の7月頃に特注製作の依頼をかけましたが、納期未定・価格未定、全てが出来てからのお楽しみ状態でした。それで注文して下さるお客さんも、よく考えたら凄いですよね。

今回、載せようと心変わりしたのは、特に横です。こちらが指示をしていない部分に、アレンジを加えて、より1920年代のフレームに近づくようなディテールを追加してくれています。その上で、蝶番の面を合わせ、現代的な透き通る美しさを付加しているわけです。

無垢のパッド作らないと。もう一押し突き詰めたいですね。

特注製作
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.09.27

レンズ横幅44ミリに変更、ブリッジ幅20ミリのタイプに付け替え。あとは総手彫りです。

来年以降、在庫で持てるように頑張ります。レンズの形がフワッとした雰囲気を醸し出しつつ、ブリッジが20ミリに縮まったことでフレーム全体がキュッと締まって見えます。より一層バランス良く見える気もします。

玉型それぞれの形状とそのサイズ毎に、レンズ幅やブリッジ幅、カチッとハマるサイズの組み合わせがあるような気がします。つけてどうとかの前に、もう既に、置いてある時点で良いわーみたいな。いつも、タートのアーネルを例にして話しますが、42□24と44□22は、PD66の人に対して「光学的に」ジャストサイズな訳ですが、フレームのバランスが違うので、もはや別物に見えませんか?と。

特注製作でした。

オーバル追加
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.09.06

やっと、定番に追加しました。一山のオーバル、SPMです。ダンヒルのブリッジを再現した際に、この42ミリのオーバルを用いました。とても綺麗ですし、ブリッジのアーチともあっている気がします。全体の見目がラウンドより美しい気がします。水平方向の乱視が強いときは、オーバルの方がスッキリレンズが収まって仕上がりの美観が良かったりします。

ラウンドだと周りから弄られやすい環境且つ、やっぱり自分は丸いメガネを掛けたいという場合は、オーバルが良いです。瀧廉太郎みたいと、毎度まいど親戚や同僚に言われてうんざりすることが無くなります。あの有名な写真を見る限り、瀧廉太郎は実際にはオーバルっぽいのに。

利益還元祭その2
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.06.30

銀無垢のテンプルの偏平な箇所全てと、ブリッジに全部彫金(巷にある、プレスの模様じゃなくて、ちゃんと手でゴリゴリしたやつ)を施してみました。圧巻でした。眩しくて、目がくらみます。

私も3年ほど使ってきまして、彫金に関しては、彫れば彫るほど良くなっていくことに気づきました。例えば同じ唐草といえど、職人さんの構図の良さや、フレームの流れを生かしたパターンの選択の最適さが、量が多ければ多いほど如実です。

大きい画像を載せてみました。スマホで見るとページ構成が崩れていると思うので、パソコンかタブレットでご覧ください。私のかけている物ですが、渦巻きを一単位とし、それが9個彫ってあります。ペルソールをイメージし矢じりっぽくなるよう彫る箇所を指定して、模様はお任せした覚えがあります。これはこれで美しいです。

全彫の側面です。同じ唐草での指定をかけましたが、構成が異なります。まずは主旋律をリムの付け根からエンドにかけてニョロニョロ彫ってあります。そのニョロニョロの周期は、フレームのパーツのそれぞれの起伏や幅に合わせてあります。そのニョロニョロとフレームの隙間を埋め尽くすように、唐草が生い茂っています。唐草の位置は互い違いに上下し、リムからテンプル終端までニョロニョロが突き抜けていますから、美しさにプラス、ダイナミックな動きがあって、より強い生命みたいな何かを感じます。

カッコいいかどうかは分からないです。丁度いいアンファッション具合かどうかも知らんです。一旦そういうことは、これを見たらどうでも良くなっちゃって、美しいなと思ったそのままを身につける、美しいなと思ったその強い感情を、毎日掛ける瞬間や外した瞬間に想起できることの方が、私にとっては大事だったりします。

なのでこの周辺を掛けていて、カッコいいとか言ってもらえるのは割とレアで、大体値段だけ聞かれて「高っ!」だけで終わると思います。褒められるのは、ラッキースケベくらいな頻度です。機会としては稀有なんですけど、だからこそ、その褒めてくれた人とは深く仲良くなれそうな、より確かな温かい実感が得られます。

利益還元祭その1
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.06.26

特にこの時期だからといって、いつも通り何もしないんですけどね。

日頃のご愛顧に感謝して、彫金のサンプルを、またご用意しました。どの箇所に、どういう風合いで彫金が施されるのか、ご参考になれば幸いです。

ブリッジのカクッと曲がるピークの部分と、模様のピークとなるところを一致させて、違和感なく蔦がびっしりと這うようなデザインになっているところが乙です。「彫金をして下さい」というオーダーだけで、ここまでバランスよく完璧に装飾を施して頂いております。

テンプルも相変わらず美しいです。

月末で締めます
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.06.24

銀無垢、何か作りたいのがありましたら。予想以上にオーダーがあったので、7月まで延ばさずに6末で締めます。ありがとうございました。

ボストンは難しいですね。カーブを強調すると女性っぽくなりすぎるし、緩めるとオーバルやラウンドと区別がつかなくなります。

大事なアレ、伝え忘れていました
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.06.04

銀無垢ですが、スタート価格で今一番イケているアレよりも1.5倍くらい値段します。あーブルバキあれだわ、所謂あれだわ、ぼったくりだわ。

少し前にも書きましたが、個人的には本物の職人物の金無垢や、現行の金無垢を使ってきまして、100万ちょいのメガネは使用経験ありです。それよりも、この製造の作る銀無垢の方が、付き合いやすさやフィッティングのし易さ、掛け易さ、作りの精緻さによって満たされる所有欲等々、総合的に良かったなというので唯一現行品で取り扱いをしています。製造メーカーさんも、160万円くらいのフレームを在庫で持っているのは見たことがあるので、それは素材がプラチナでしたが、そういう価格で通るところの作る10万越えのメガネって、私的には気になるアイツのパターンだったりします。クロムハーツの作る鉛筆削りとか、ティファニーのヨーヨーとかに近い感覚です。

私が初めてこのメガネを見た時のことを思い出してみます。メガネと対峙しますと、美しいなと感じた次の瞬間には何でだろう?とか、どういう感じのメーカーが?みたいな所謂背景を探すいつもの癖が出てしまっていました。多分、このときに西田幾多郎が居合わせたら、バカモノと怒られていたでしょう。ベルグソンであれば、オシャレな皮肉かもしれません。

そう、よく考えれば、私が背景云々を気にしようがしまいが、このメーカーもこの物も、既に存在していて尚且つ既に成立しているわけでして、その上でここに輝かしく存在しています。全てが、いまこの眼の前の物に含まれているはずです。であれば、あとは自分の眼を試すのみ、目の前の物に気を全て向けて、味わうことに全力を注ぐべしと感じたのは確かです。見るとはそういう事だったのかと、いままでの反省もしました。

製造メーカーから直接のお値段でアレの1.5倍くらいですから、驚きますよね。私も初めてのときはそうでした。初めては、何でも、そしてみんなそうでしょう。そう、何でも。

それに、高ければ良いってもんでも無いですしね。私も、メガネから逸れれば、夏はゴワゴワの白Tシャツしか着ないし、靴下はwigwamだし、短パンはワークのやつだし。マック大好きだし、コンビニのめちゃくちゃ甘いみたらし団子が止められないし。それぞれの方に、それぞれの配分があって、メガネにどれくらい大事なお金と精力を注ぐか?という違いがあります。どれくらいの力加減が快適か?というのもそれぞれですから。そして良さの違いも。

ただ私は、メガネが好きだったんで、メガネはやり切りたかっただけです。やり切るとは、自分で考えられる全ての解決、つまりはメガネで形にすることです。結果、本当にとことんやり過ぎてしまいました。そして、ああいう値段になってしまった感じです。

なので、とくに難しい話では無くて、そうだよね、予想より高いよねごめんなさいという大事なことをお伝えするのを忘れていました。

欲しいものがありましたら
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.05.31

銀無垢のオーダー承ります。オーダーといっても、パーツを自由にデザイン出来るとかのアレじゃなくて、

・テンプル長を自分の長さに合わせる

・玉型変更(レンズサイズ・形状)

等々です。

そろそろ2年間、銀無垢のラインは動いておりません。ということで、特別に動かしてもらいます。6月末か、7月頭くらいまで希望をとりまして、年内に完成の予定です。

パーツを自由にデザインする等々を受けないのは、型代という障壁も理由です。ですが、それ以上の理由があります。ある程度、餅は餅屋でプロが細部をデザインした物の方がバランスが良くて美しく、最終的にはそれらの組み合わせの方が納得のいく買い物になると、ブルバキでは考えているからです。なので、頭部の形状等々を鑑みて、構造的に必要な箇所を補うような特注品を作るという流れです。一から好きなデザインを…ということは考えておりません。

店頭のみ特注は承ります。内金もある程度は頂きます。もちろん、キャンセルになっても返却しません。前は性善説で内金なしでやってたんですけど、アレコレありまして不可になりました。

私でお役に立てれば幸いです。頑張ります。

やっぱり手彫りが気分だネ
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.05.09

興奮し過ぎてミスりました。先にインスタにアップしてしまいました。

今日、届きました。ボシュロムの30年代の、あの彫金パターンを、日本の職人さんが再現してくださったのが、写真のオーバルの方です。トノーは、いつもの職人さんの持ちパターンです。

これが彫金の見本でお渡ししたフレームです。この手のフレームに関しては、“世界恐慌が云々かんぬん、ジュエラーが云々かんぬん、彫金師が眼鏡業界に流入云々かんぬん…。”と、言われており、手彫りで尚且つメガネの最高峰だわ、みたいな感じで提供されています。色々な疑問点もありまして、、、まあ、、取り扱いがない=専門外らしいですから、止めておきましょう。次行きましょう次。確かにパターンは、カッコいいです。私も一番好きです。再現してみたいと、ずっと夢見てきました。

そもそも西洋と日本の彫金のスタイルが違うようで、和の技法と西洋のパターンを合わせたときに、彫り方の違いによる不可避な向き不向きがありそうですから、出てきたものが上手く調和を実現出来ているかどうか、届く今日まで大変不安でした。それも杞憂に終わりましたね。

そのままの大きさで貼っとくので、タブレットかパソコンで見てください。もう綺麗な背景とか要らなくて、物だけで十分ですよね。

注文に際して、「多少パターンの簡略化も良いですよ」と、先に手を差し伸べていましたが、ひょっとするとそれが火をつけてしまったのかもしれません。まさかの完コピでした。日本人は凄まじいなと感じる瞬間です。

続きまして、トノー。こちらは職人さんの持ちパターンです。

これも美しいです。そして、比較出来るようにパターンを二つ用意して良かったです。注文の際に、ここにも一つ読みがありました。

彫金師さんは確か60代かそこらと伺っていましたが、様々なメガネ、そしてパターンを彫った歴史がある以上、その方のイチオシは間違い無いはずです。ですから初め、見本彫金を打診する際に確認したことは、「職人さんそれぞれに受け継いだパターンがあって、それ以外をお願いすることは無礼にあたらないのか?」ということでした。結果は全く問題ないとのことでしたので、お願いしてみました。

実物で比較すると分かりますが、やはり違いがありました。自然光で遠目で見たときに、煌めきの量、煌めき具合いのバランスが、やはり持ちパターンの方が断然美しいです。これは、物凄く勉強になりました。掛けた姿は、持ちパターンの方が一層美しいでしょうね。

ただ共通して、やはり彫金を施すことで、本当に物が完成したなと感じました。行為としては削ぎ落としていくわけですが、物には装飾として付加されていきます。彫金の凄みは、この捩れをエネルギーにして生じているのでしょうね。無機質な物に蔦のような有機的なパターンを施しますと、言葉になりません。そしてボシュロムの再現パターンは美しさよりカッコ良さが前に出ていて綺麗です。華やかさが控えめで、日常に潜むにはちょうど良さそうです。

ちなみに値段もそこまで変わりませんから、好みで選んで頂ければ嬉しいです。ブルバキは同時に2個買いも推奨しておりますよ。

_170831bk

pageTopLink